4月11日(日) 2010 J2リーグ戦 第6節
札幌 1 - 1 柏 (13:04/札幌ド/13,002人)
得点者:48' 上里一将(札幌)、86' レアンドロドミンゲス(柏)
スカパー!再放送 Ch185 4/13(火)15:00〜(解説:野々村芳和、実況:永井公彦、リポーター:藤井孝太郎、ピッチ解説:大森健作)
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スコアは1−1で、ともに勝点1ずつを分け合った試合ではあるが、放ったシュートは柏が14本で札幌が5本。CKも柏が7本、札幌が2本。札幌が柏の5倍のゴールキックを蹴ったという数字の部分だけを見ても、柏が押し込んでいた試合だということがわかる。そして内容としても、柏のチームレベルの高さがうかがえるものだった。
札幌のシステムは前節までの4−4−2から変わり4−2−3−1。「こっちの方が相手へのプレスはかけやすい」と石崎信弘監督が言うように、どちらかと言えば守備のことを考えての変更だということなのだろう。トップ下には守備的MFだった宮澤裕樹を一列上げて起用している。そして前節の岐阜戦で左足に強い打撲を負ったCB石川直樹が痛みを抱えながらの出場。試合に出たからには足の痛みを考慮することはできないが、石川はその重圧も跳ね除けて見事にプレーしてみせた。体の線は細いが、人に強い石川の存在は札幌にとってやはり大きな存在だった。
そして一方の柏は4−2−2でスタートしているものの、厳密に言えば4−2−2−2と言うべきか。最終ラインを下としたならば凸のような形である。ブラジル人のネルシーニョ監督らしい布陣とも言えるが、ポジションチェンジや後方からの追い越しというその場のアイデアを織り交ぜたプレーはそれほど多くなく、約束事がハッキリしたやり方。日本での豊富な指導経験を持つネルシーニョ監督が、南米流の布陣に日本人の適正をうまくミックスしたやり方を導入したと見るべきだろう。
そうして始まった試合は、柏がコントロールする形で進んでいく。CBのパク・ドンヒョクを中心に最終ラインでボールを動かし、札幌の守備網が前進してきところで栗澤僚一、大谷秀和が組む守備的MFにボールを預け、左右に展開していく。4−2−2−2というシステムは左右を広く使えないような印象を受けるかもしれないが、中盤の内側に多くの人数を置くことで札幌の選手を内側へと引っ張り、そうして生まれたスペースに橋本和、小林祐三という左右サイドバックが駆け上がっていく。味方にスペースを消されることもなく、非常に合理的に機能していた印象だ。
ただし、その戦術が機能したのも個々の能力が高いからだろう。具体的に言うならばパスの精度が高い。最終ラインから守備的MFあるいはもう一列前のMFにしっかりとパスを通しているため、相手選手を内側へと集めることができる。ここでミスが生まれるようであれば札幌はサイドのスペースをケアできただろうし、一気にショートカウンターへと持ち込むことができたはず。だが、パク・ドンヒョクにしても近藤直也にしても、ほとんどミスすることなくパスを蹴っていた。結果的に前半は0−0で終えたものの、札幌がハードに動き回って守備に奔走したのに対し、柏は人ではなくボールを動かし続けていた。フィジカル的な部分を考えても、後半は柏がさらに押し込むのではないか、そんな印象だった。
しかし、ひとつのビッグプレーが流れを変える。後半立ち上がりの48分、相手ゴールまで40メートルほどの位置で得た直接FKを上里一将が豪快に蹴り込んで札幌が先制したのである。「試合の流れを変えるのは、やはり得点」と石崎監督が常々口にするように、この得点は札幌に活力を与えるものとなった。
勢いを得た札幌は、守備にもメリハリがついてくるようになる。プレスに行く場面と行かない場面がハッキリし、全体の守備が安定した。そうすると、前半は有機的に動いていた柏の攻撃が徐々に単調なものへと変化してしまった。柏は前節までの5試合で失点は僅かに1で4試合連続無失点中だが、逆に言えばリードされた局面での戦いはあまり経験していないということ。ネルシーニョ監督は北嶋秀朗を投入して3トップに近い布陣に変更をするも、縦に急ぐ場面が目立ちなかなか良い形でのフィニッシュができない。札幌が地元の声援を受けて粘り強く守備を継続し、そのまま逃げ切るかとも思われた。
だが、ここで流れを食い止めたのも個人の力。前の枚数を増やし、それに対応すべく札幌DF陣がラインを下げたことで生じたスペースでボールを受けたレアンドロ・ドミンゲスが見事なミドルを叩き込んで引き分けに持ち込んだ。
あらためて試合を総括すると、やはり柏の強さが印象に残る。もちろん、引き分けに終わったのだから結果はイーブンだし、粘り強く戦った札幌も十分に健闘したと言うべきだろう。けれども、足下で正確にパスをつなぎ、あまり体力を消費せずにジワリジワリと敵陣へと押し込んでいく柏のプレーぶりは見事なもの。長いシーズンを勝ち抜くにはこれ以上ないスタイルだとも言える。これで強力なストライカーがいれば文句のつけようがないところだが、そうそうすべてのパーツが揃わないのがサッカーの面白いところである。
一方の札幌だが、要所に選手のアイデアを尊重するサッカーをしているため、なかなか結果が伴い難いという部分がある。だが、それは今後の伸びシロが大きいと見ることもできる。これからの成長が楽しみなチームと言えるだろう。
以上
2010.04.12 Reported by 斉藤宏則
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