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スカパー!生中継 Ch185 12:50〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:風戸直子)
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開幕から1ヶ月が経った時点でこの位置にいることを予想できた人はそう多くなかったはず。当の高木琢也監督も9日の練習後、「こんなに早く3位なんて過去に経験がない」と話していた。開幕直後は、それぞれに新しい監督や選手を迎えてチームとしての戦い方や選手同士のコンビネーションを構築している段階。だから現在の順位は最終的な成績には当然直結しない。だがシーズンが終わって1年を振り返った時、この時期の貯金が効いたと思える結果を手にできる可能性はある。熊本にとって昇格はまだ全く現実味がないが、3年後の昇格を狙う上で今シーズンの結果を土台として成長を続ける為にも、手に入るものは手に入れておきたい。
今節迎える甲府はここまで1勝1分2敗の勝点4の14位と、昇格候補に挙げられながら本来の力が結果に反映されていない。前節はボールもゲームも支配して相手の倍のシュートを放ったが決める事ができず、逆にミスから2点を失って鳥栖に敗れた。しかし初先発した養父雄仁からは効果的なスルーパスが出ていたし、パウリーニョ、金信泳、大西容平ら3トップは高さも早さも強さもあって、何度も鳥栖ゴールに迫っていた。単純にショートパスをつなぐだけでなく、選手たちがバランスのいい距離感でポジションを取って、ロングパスでの大きな展開とそこからセカンドボールを拾う形でピッチを広く使った攻撃も織り交ぜている。
「野球で言えば、ホームランバッターもいるし機動力もあるし、イチローみたいなセンスのいい選手もいて、ベンチには強烈な指名打者もいる。いろんな形を持っていて、要は我々より力が上ってこと」と高木監督は言い、前節、風の状況を見て見事なロングシュートで決勝点を挙げた福王忠世も「過去2シーズンのイメージが強烈で、あたるのが一番嫌なチーム」と話す。
そんな甲府との一戦は熊本にとって、ここまで取り組んできた攻守の切り替えや守備の意識が、昇格候補のチームにどれだけ通用するのか、そしてチームとしての力が本物なのかどうか試される試合。加えて、攻撃面での課題となっているラスト1/3での崩しや昨シーズン築いたパスサッカーの土台、相手の出方やゲームの流れを見て何を選択するかという判断の質も求められる。
甲府はここまでの4試合で前半の得点がなく、前半を無失点に抑える事ができれば熊本のペースで試合を運べる。甲府のメンバーがどうなるか分からないが、3トップをしっかりと抑えて、流動性のある中盤の出どころに対して連動したアプローチからボールを奪いたい。切り替えやリスタートも早いが、後ろからのコーチングでディレイさせ、前のスピードを抑えたいところ。攻撃ではアンカーとDFラインの間で受けて前を向く形と、両サイドバックが上がってできる裏のスペース、サイドの深い位置で起点を作れるかが鍵。その意味では、お互いにボールを奪った後の切り替え合戦になりそうだが、できることなら攻→守の切り替えが少なくなるよう、マイボールを簡単に失わずにフィニッシュまで持ち込んで攻撃をやりきることも大事になってくるだろう。
この一戦に向け、高木監督は「最低限、メンタルで上回らないとだめ」と話す。3勝2分の勝点11で3位という状況に決して慢心があるわけではないと思うが、「甘えがあると身体が(ボールに)行かない」と指揮官は言い、「今週はそういうことを口にすることが多かった気がする」と振り返った。鞭の入った馬は、序盤のリードを生かすべく加速できるのか。昨シーズンの最終戦から4ヶ月、両者の思いが再びぶつかる。
以上
2010.04.10 Reported by 井芹貴志