キャンペーンが始まる15:00には、天神新天町時計塔広場は女性ファンを中心に黒山の人だかり。町ゆく人たちも何事かと集まってくる。すると、ご年配のとても雰囲気のいいご夫婦に「惇君はどこにいるの?」と声をかけられた。なんでも鈴木惇の実家の近所にお住まいのご夫婦で、「惇君が小さな頃から知っとるんよ」とのこと。穏やかな表情で話しかけるご夫婦に、普段は見せたことのない照れくさそうな、懐かしそうな笑顔で応える鈴木惇。地元の選手が、地元のクラブでプレーするとは、こういうことなのだなと何だか温かな気持ちになる。
さて、街頭キャンペーンは「レベルファイブスタジアムに、是非、足を運んでいただいて、選手を応援してください。その力をもらって選手たちはピッチの上を走ります」との大塚社長の挨拶で開始。選手たちは3か所に分かれて、3月28日にレベルファイブスタジアムで行われる第4節・富山戦に向けてのキャンペーンチラシを道行く人に配り、ファンと一緒にカメラに収まり、そして、集まってくる人たちと笑顔で言葉を交わしながら、来場を呼び掛けた。誰でもが簡単にチラシを受け取ってくれるわけではない。けれど、選手たちの姿勢に足を止めて「頑張って」と声をかけてくれる人たちも多い。
そして大塚社長は、篠田善之監督と中町公祐と連れだって、新天町商店街の店舗に1軒ずつ挨拶回り。ちなみに新天町商店街は、2005年シーズン終盤に、J1復帰を目指してラストスパートに入った福岡を商店街を挙げて応援してくれたところ。そのほかにも、様々なクラブのイベントに協力してくれており、どの店も温かな表情で迎えてくれる。今回の街頭キャンペーンに尽力してくださった、新天町商店街宣伝部の中西泰弘さんは「地元のサッカーチームとして全力で応援しています。是非、お客さんがたくさん集まるような強いチームになってほしいと思っています。みんな期待しているので、いまの調子でJ1昇格に向かって頑張ってほしいです」とコメント。その気持ちは選手たちにも届いたことだろう。
街頭キャンペーンは約1時間で終了。大塚社長は次のように話す。
「選手たちが町の人たちとの距離感を近く感じてくれて、これだけの人たちが自分たちを応援してくれているんだと感じてくれれば、それは選手たちの力になるはず。商店街の方も、みなさんが応援してくれると言ってくれています。選手たちも商店街の方や、町の人と触れ合うことで福岡の町を好きになってくれたらいいなと思います。地域と密着するために『町を走る』とは、こういうことなのかなと思います」
そして、「福岡の中心地で、こういう形で町の人たちと触れ合うことで僕たちはパワーをもらえるし、アビスパの存在を広く知ってもらうための、すごくいい機会だと思います。地域密着型のクラブにすることは必要なことだと思うし、時間がある限り、こういう活動を続けていきたい」と話すのは丹羽大輝。選手たちにとっても、自分たちの存在意義を知るきっかけになった1時間だったようだ。
町の期待に応え、多くの人たちに活躍を知ってもらい、そして応援してもらうためには、厳しい戦いを乗り越えて勝利を積み重ねるのが一番。けれど、それだけでは地域に密着することは叶わない。チームと、町に住む人たちとの距離が近くなってはじめて、地域密着への道が見えてくる。チームは町の誇りを背負って戦う特別な存在。けれども、同じ町に住む同じ仲間。そんな関係が当たり前になるように、この日の街頭キャンペーンがきっかけになってくれればと思いながら新天町商店街を後にした。
以上
★【J2日記】のバックナンバーはこちら
----------
3月28日(日)J2 第4節 福岡 vs 富山(13:00KICK OFF/レベスタ)
![チケット販売はこちら チケット販売はこちら](/jsgoal_archive/images/icon_news_ticket.gif)
スカパー!生中継 Ch185 12:50〜(解説:吉村寿洋、実況:南鉄平、リポーター:森田みき、プレーヤー解説:中払大介)
----------
2010.03.26 Reported by 中倉一志