3月21日（日） 2010 J2リーグ戦 第3節
草津 0 - 3 横浜FC　（13:04／正田スタ／3,856人）
得点者：7' 大黒将志（横浜FC）、27' 大黒将志（横浜FC）、79' 大黒将志（横浜FC）
スカパー！再放送 Ch182 3/23（火）04:30〜（解説：遠藤雅大、実況：山田浩史、リポーター：木村雅子）
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開幕２戦までの勢いが、そのままゲームの結果として表れた。連敗を止めるべくピッチに立った草津は、チームとして戦うことができずに０−３で完敗を喫した。３試合連続無得点で開幕３連敗。サポーターの信頼を取り戻さなければいけないゲームで、あまりにも重すぎる現実を突きつけられた。対する横浜FCはエース大黒将志がハットトリックを達成するなど勝負強さを発揮して快勝。３戦無失点で開幕３連勝。チームには大きなことを成し遂げそうな雰囲気が漂っていた。

「静」の副島博志監督と、「動」の岸野靖之監督との対戦だったが、先に動いたのは意外にも草津の指揮官だった。チームの活性を狙った副島監督は、ラフィーニャ、杉本裕之、山田晃平、御厨貴文を先発に抜擢、メンバー４人を入れ替えてゲームへ挑んだ。序盤、風上に立った草津は新しい力も追い風にして横浜FCを押し込んでいく。「スタートは勢いが感じられたし悪くなかった」。（高田保則）。だが、その時間は長くは続かなかった。

７分、スローインから左サイドを突かれた草津は、柳沢将之にサイドをえぐられてクロスを許してしまう。そのボールに反応したのは大黒だった。一瞬の駆け引きによって草津センターバックを置き去りにした大黒は、ニアサイドへのクロスにうまく合わせて先制ゴールを奪ってみせる。センターバック・御厨は「完全に逆を突かれて（大黒への）対応が遅れてしまった」と振り返ったが、この１点によって草津のプランは簡単に崩れていくことになる。

27分には草津のミスからミドルレンジのFKを与えると、高地系治がゴール前へ入れてきたボールへのマークが緩む。そのギャップを突いてきたのはまたもや大黒だった。GK常澤聡とDFラインの間で、ヘッドを合わせて序盤にして２得点。「あのレベルの選手をあれだけフリーにしてしまったらやられるのは当たり前」（佐田聡太郎）。アドバンテージがある風上で２失点のビハインドを負った草津は、前半から窮地に追い込まれた。

後半になっても横浜FCの優位は変わらなかった。草津は勢いにかげりがみえてきた山田、杉本に変えて、廣山望、氏原良二を投入。リズムを取り戻しにかかるが、中盤に根占真伍を入れてきた横浜FCの組織的な守備網を打ち破ることができずに、チームはしだいに分断されていく。ラフィーニャが個人技で打開を図り、松下裕樹も自らを奮い立たせるかのように気迫のプレーを見せるが、チームとしての形を作ることができなかった。そして79分に大黒が叩き込んだ３点目のゴールでゲームは決まった。

横浜FCは、磐石の戦いぶりで開幕３連勝となった。個の能力、運動量、気迫・・・すべての部分で草津を上回っていた。チーム全体の守備意識が高く、草津の選手が判断に迷うとすぐに２、３人の選手がボールを囲んだ。３戦連続無失点は、チームが一体となって戦っている結果だ。「３連勝したが、まだ何も得ていない。36試合の最後までチャレンジャーとして戦っていく」（岸野監督）。首位に立った横浜FCは、次節ホームニッパツ三ツ沢球技場に２位徳島を迎え撃つ。

不甲斐ない戦いで敗れた草津だが、試合後コアサポーターが陣取るバックスタンドから大きなブーイングが起こった。今ゲームでは先発メンバーを大幅に替えて挑んだが成功したとは言えず、チームにはしこりが残った。今季、就任した副島監督は守備の再構築を掲げてチーム改革に取り組んできたが、３試合を通じて決して安定した状態とは言えず守備の基盤が揺らぎ始めている。また、チーム全体の連携不足も気掛かりだ。総得点０、総失点５、３戦３敗で最下位。草津の春は遠い。

以上

2010.03.22 Reported by 伊藤寿学