3月21日（日） 2010 J2リーグ戦 第3節
岡山 0 - 0 熊本　（16:03／カンスタ／6,513人）
スカパー！再放送 Ch185 3/22（月）15:00〜（解説：佐藤慶明、実況：川崎祐一、リポーター：守口香織）
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ハードワークの光る好ゲームだった。岡山は、対応に追われた前節の立ち上がりを反省し、テンポのいい動きを意識していた。開始早々、FW西野晃平、小寺優輝の素早いプレスが合図であるかのように、全員が今日の「スピーディな戦い方」を再確認した。ひそやかな合図は、この後も何度か繰り返された。右サイドバック・澤口雅彦のミドルシュートしかり、後半の小寺のボールを引き出す動きもしかり、である。各場面をチャンスに転じるため、最大限の手段を講じた選手から発せされるサインが、ほかの選手の意識を高めることとなった。

両監督は試合後、「予想通り、五分五分の戦いとなった」と話した。「互いに頑張り合った試合で、痛み分けの勝点１となった」（影山雅永監督）。「ミラーゲームでチャンスを手繰り寄せるには走り切るしかない、と選手に伝えた」（高木琢也監督）。岡山と熊本の昨シーズンの対戦成績は、１勝１分１敗と、イーブン。ともに、ボールをつなぐ攻撃、攻守の素早い切り替えといった課題にも取り組んできた。熊本の市村篤司、筑城和人の両サイドバックからボールを集め、展開させていたボランチ・原田拓は、同じようにディフェンスから中盤につないで崩してくる岡山に対して、「昨年とは別のチームになっている」と述べた。

拮抗したゲームで、攻撃のカードを最初に切ったのは岡山。61分、右サイドハーフ新中剛史に代えて、喜山康平を投入した。開幕に間に合わなかった岡山の11番は、大歓声に迎えられた。以後、両チームは86分の岡山MF川原周剛投入まで、順に交代枠を使い切った。喜山は、シュートに直結するパスのアイデアを持ち込み、バイタルエリアでボールを引き出していた小寺の好プレーを前線につないだ。また熊本は、藤田俊哉が投入された78分あたりから、ゴール前に進入する回数を増やした。どちらのチームも、交代選手がチームにもたらす精神的効能が図られていた。

結果は互いに決定機を生かせず、スコアレスドローに終わったが、複数の選手がイメージを共有しながら、ボールをつないでくる熊本の前線は、やはり魅力的だった。そんな熊本の形を、岡山も手に入れつつある。また今回の岡山は、タイミングを心得たミドルシュートでもスタジアムを湧かせた。「風などの条件から、選手自らが判断したこと。よくトライしたと思う」（影山監督）。それでも岡山のシュート数は合計７本と、ほかのＪ２のチームに比べると少ない（今節）。試合後、「つなぐことを意識したけど、あの場面はシュートにいってもよかったかもしれない」と、数人の選手が口にした。ここでつなぐか、シュートに持ち込むか。これからも場面ごと、瞬時の判断は続いていく。そしてゴールという「正解」を、導き出すのだ。

以上

2010.03.22 Reported by 尾原千明