本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第3節 名古屋 vs 磐田】レポート:白熱の攻防戦を制したのは強風を味方につけたホームチーム。名古屋は完封とローテーションも成功させる快勝で、今季ホーム初勝利を手にした。(10.03.22)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月21日(日) 2010 J1リーグ戦 第3節
名古屋 2 - 0 磐田 (16:03/瑞穂陸/12,749人)
得点者:1' ブルザノビッチ(名古屋)、88' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch185 3/23(火)12:00〜(解説:沢入重雄、実況:吉田太一、リポーター:水谷陽介)
顔写真クイズ | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------
勝負の行方は何に左右されるかわからない。運の時もあれば、単なる実力差の時もある。この日の名古屋と磐田の一戦においては、それは風だった。ホームのサポーター席からアウェイのゴール裏へ。試合前から吹きすさんでいた強い風が、今季のホーム初勝利を狙う名古屋にとって、文字通りの追い風となったのである。

ここ3シーズン勝ち星を挙げられずにいた磐田を迎え撃つにあたり、名古屋のストイコビッチ監督はまずメンバーにメスを入れてきた。巨大戦力となったラインアップのコンディションを保つため、不動の左サイドバックである阿部翔平と前節でゴールを挙げているマギヌン、アンカーで奮闘していた吉村圭司をベンチに下げた。代わりにピッチに送り出されたのは、三都主アレサンドロとブルザノビッチ、そして負傷から復帰した中村直志である。各ポジションに2名以上のスタメン候補がいることを見せ付けるかのような布陣は、明確な選手のローテーション起用が始まったことを意味していた。

対する磐田はサイドハーフの位置に松浦拓弥を起用し、サイドに突破力のある選手を並べることで、いまだ勝利なしという現状の打破を試みた。右に駒野友一と西紀寛、左に松浦とパク・チュホという布陣からはサイド攻撃重視の意図が読み取れる。すべては前田遼一、イ・グノというリーグ屈指の2トップを生かすため。リーグ2試合でわずか1得点の攻撃陣に、カンフル剤を打ち込んだ形だ。

試合は開始20秒ほどでいきなり動く。キックオフでロングボールを磐田が打ち込み、DFが跳ね返したボールが中盤で奪い合いになった。その瞬間、名古屋の背番号9が自陣から大きくボールを蹴り出す。「とにかく良い方向に飛ばすことだけを考えた」(ブルザノビッチ)。風に乗ったボールはぐんぐんと伸び、そのまま磐田GK八田直樹の頭上を越えてゴールイン。推定60mはあろう超ロングシュートで、ホームの名古屋が開始早々の先制に成功した。

まるでキックオフから名古屋がリードしていたような展開となった試合は、ここから両者譲らぬ激しい攻防戦となる。シュート数は前半、後半ともにほぼ同数。決定機の数も同様で、常にそれぞれに得点の匂いが漂う好ゲームとなった。ここで勝敗を分けた遠因となったのが、先制ゴールを生んだ強風である。前半、風下に立った磐田は前線へのロングボールが風に押し戻され、FWにうまくボールを収めることができなかった。「もう少し意識的にショートパスを使うべきだった」と悔やんだのは、ほとんどボールに触ることができなかった磐田のサイドハーフ、松浦だ。磐田は風上に立った後半も、指揮官からサイド攻撃とミドルシュートを意識するよう指示されたものの、ミドルシュートについては数えるほどしか打つことができなかった。

一方の名古屋は、風上にいた前半を守備面で優位に立ち、風下の後半はその影響を感じさせない戦い方を見せた。もともとショートパスをつないでビルドアップし、人数をかけたサイド攻撃を展開していくチームだが、この日の後半はさらにそれを意識して臨んだとDFの増川隆洋は語った。結果として、名古屋は試合を通じて常に名古屋らしいダイナミックなサイド攻撃を展開。さらには、各チームが狙いを定めているアンカー横のスペースの守備にも柔軟な対応も見せた。時にインサイドハーフが、時にはセンターバックが自らの担当エリアを飛び出して危険なエリアを埋める。またそのスペースにパスを入れさせない、前線からの守備も効果を挙げたと、増川やGK楢崎正剛は胸を張った。環境への対応と自らの構造的欠陥への対応。その両面において臨機応変な戦い方を見せた名古屋は、終了間際の88分にケネディが追加点を決め、追いすがる磐田に引導を渡した。

風を味方につけた名古屋と、味方にできなかった磐田。試合後の磐田の選手、監督ともに「ゴール前の精度だけ」と前を向いたが、環境を敵に回したことで後手を踏んだ部分は否めない。誰が出ても変わらぬスタイルで得点し、連係が必要な守備面でもこれといった綻びを見せなかった名古屋は、着実にチーム力を上げてきていることを感じさせた。多くの決定機をものにできず、なかなか勝負を決定付けられなかった部分では課題が残るが、布陣的にも戦術的にも幅を見せたことはそれ以上に大きな収穫といっていいだろう。さらには分厚い選手層に均一なモチベーションが与えられたことで、個人のプレーの質が向上する効果も見込めるはず。指揮官のチームマネジメントが好循環につながり始めたチームは、今後どのような戦いを見せてくれるのか。隙のない戦いで得た今季のホーム初勝利は、大きな可能性も感じさせる快勝劇となった。

以上

2010.03.22 Reported by 今井雄一朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/05(月) 00:00 ハイライト:いわきvs秋田【明治安田J2 第25節】