本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第3節 湘南 vs 広島】レポート:わかっていても、やられる。広島の質の高さの前に、湘南は膝を屈した。(10.03.21)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月20日(土) 2010 J1リーグ戦 第3節
湘南 1 - 3 広島 (13:03/平塚/8,250人)
得点者:21' 佐藤寿人(広島)、29' 佐藤寿人(広島)、57' 山岸智(広島)、66' 坂本紘司(湘南)
スカパー!再放送 Ch183 3/22(月)11:00〜(解説:前田秀樹、実況:西岡明彦、リポーター:児玉美保)
顔写真クイズ | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------
「サンフレッチェのサッカーは我々の想定どおり。何の驚きもなかった」
湘南・反町康治監督の言葉どおり、広島はいつもどおりの「自分たちのサッカー」を仕掛けてきた。緩急をつけ、ショートパスでポゼッションを高めつつ、ストヤノフを中心としたロングパスでの展開で裏を狙う。ストッパーの槙野智章や森脇良太も積極的にオーバーラップを仕掛け、人数をかけて攻撃してくる。
そういう広島のスタイルを湘南の選手たちは「スカウティングのビデオでイヤというほど見せられた」(坂本紘司)。当然、相手がどういう形で攻撃を仕掛けるか、理解した上で選手たちはプレーしていたはず。ただ、だからといって抑えられるとは限らない。それがサッカーの怖さであり、面白さでもある。

実際、湘南の守護神である野澤洋輔は、失点シーンを振り返りながら「佐藤寿人に(ああいう形で)クロスが入ってくることは、わかっていた」と言う。だが一方で、「相手は日本でもっとも動き出しの巧い選手だから」とも。佐藤が裏を狙ってくること、広島がサイドから攻撃を仕掛けること、共に彼は理解していた。それでも前半のうちに同じ形で2失点してしまったのだ。
最初の失点は、森崎和幸の正確なロングパスを右サイドの山岸智が収めたところから。対面した島村毅は内側を切って対応。縦に行かせてクロスをカットしようと試みる。ただ、山岸のスピードについていけず思惑どおりにはいかない。
この時、もっとも危険なストライカーである佐藤を見ていたのはジャーンだ。もう一人のCB=村松大輔はニアに飛び込んできた山崎雅人に対応し、それぞれが1対1の状況。とはいえ、組織を崩された感じはない。
だが、佐藤の「オフ・ザ・ボール」が湘南の守備を引き裂く。一度外側にフラリと広がった後、一瞬にしてギアチェンジして内側に切り込む。その動き出しにジャーンは一瞬遅れたために、ストライカーの前への侵入を許してしまった。そこに山岸からのクロスがタイミングよく入ってくる。佐藤は左足でクロスをチョンと合わせて方向を変え、ボールをネットの中に流し込んだ。湘南としては裏にスペースを与えていたわけではなく、DFも精一杯対応していたのだが、走る方向やスピードを細かに変え、ギアを何度も入れ替える佐藤の動きの質に、わずかな隙とスペースをつくられてしまったのである。

2点目は、ストヤノフのロングパスに対応した湘南DF島村毅が足を滑らせて倒れてしまったことが起点。この日の平塚は強烈な風が右から左に吹きすさび、記者席に持ち込んだ筆者のパソコン(重さ1キロ強)が、風にあおられて吹き飛ばされそうになったほど。その強風が、転倒の遠因となった。
ボールを拾った山岸が村松を振り切り、クロス。この時、ジャーンはファーサイドにいた佐藤へのハイクロスを警戒して後へと下がった。が、その動きを読み切っていた佐藤は、キュンと内側に入ってジャーンの逆をとる。フリーになった紫のエースは、右足でクロスに合わせて今季3点目をゲット、試合の流れを広島へと引き寄せた。

湘南は広島のサッカーを封じようと、広島の最終ラインに対して生真面目にプレスを仕掛けた。FWに配置された中村祐也と阿部吉朗は広島の両ストッパーの攻撃参加を警戒し、トップ下の寺川能人と坂本紘司がサポート。誰一人、さぼっている選手はいない。
チャンスもあった。特に8分、裏に抜け出した中村が放ったシュートは決定的。決まっていれば、試合の流れは変わったのかもしれない。だが中村との1対1に挑んだGK西川周作は「間合いも詰めていたし、先に動かなければシュートは身体に当たる」と確信、彼が身体に当てた後も服部公太がサポートしてクリアする。広島も湘南同様、やるべきことを全員でやりぬくチーム。だからこそ、公式戦5試合(ACL含む)を通して流れの中では1失点も許さない守備を表現できるのである。
佐藤の2得点、山岸の1得点2アシスト、森崎浩司と山崎雅人も得点に絡み、チーム全体の状態が右肩上がりにあることを広島は示した。一方の湘南は「相手の出方がわかっていても、頭の中が整理できていない」と反町監督が指摘するなど、課題が大きく浮き彫りとなった。

だが、野澤は言う。
「(以前所属していた)新潟の時も、最初は勝てなかった。対戦して、そこから学んで、強くなっていけばいい」
彼が指摘した昇格1年目(2003年)の新潟は第9節まで1勝しかできず、ファーストステージは3勝5分7敗、16チーム中14位と苦戦した。しかしセカンドステージは7勝をあげて7位と躍進、見事に残留を決めたのである。その時、新潟で指揮をとっていたのは、反町康治という男だったはずだ。

以上

2010.03.21 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/04(日) 00:00 ハイライト:横浜FCvs千葉【明治安田J2 第25節】