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スカパー!生中継 Ch183 15:50〜(解説:大西貴、実況:三宅きみひと 、リポーター:重橋秀香)
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愛媛の前節、アウェイ・草津戦では前半24分にチームの今季初ゴールが生まれた。GKの動きを見ながら、そのペナルティキックを冷静にゴール右へと沈めたのはキャプテン・福田健二。福田は草津戦の前日まで、前所属クラブ・ギリシャのイオニコスFCから国際移籍証明書が発行されず、選手登録ができないアクシデントに見舞われていた。開幕直前に沸き起こったこのトラブルを乗り越え、7シーズンぶりにJのピッチに立った福田。攻撃では前線でしっかりとボールをキープし、守備ではファーストディフェンダーとして草津の守備陣にプレッシャーをかけ続けた。そして76分に退くまで、「自分を見失わないこと、そして自分のスタイルでやること」と、以前に語っていた言葉通りのプレーを存分に披露した。
これにより、ひとつチームに大きな軸が生まれ、攻守に安定感が増した愛媛。福田の合流に合わせるように、岡山戦の4−4−2から4−3−3へとシステムを変化したこともあったが、攻撃でも守備でもチームとしての流動性が高まり、躍動感が生まれた。「健二さんがポストプレーをしてくれるので役割がハッキリした。ボールがおさまるから信頼できるし、飛び出しやすくなった」とFW石井謙伍は語ったが、福田の加入で最前線だけでなく、2列目からの攻撃も厚みを増した。「ゴールに近いところでつぶれてくれたり、突っ込んでくれる。いままでにいなかったつぶれ役になってくれるので、その空いたスペースに入っていけばいい」と表現したのはMF赤井秀一。福田がディフェンダーをひきつけることで周りの選手に対するプレッシャーも減り、多彩な攻撃が可能になった。
さらに、守っては草津の反撃をかわし無失点。「我慢できたし、規律だった動きをしていた」とバルバリッチ監督も評価したが、2試合で失点は岡山戦のPKだけ。「前半、終わりごろの10分間は落ちて主導権を握られ、後半は2点目を奪うこだわりが足りなかった」と、バルバリッチ監督は課題も指摘したが、大きな流れを見れば愛媛はいい形でホームに帰ってきたといえる。
一方で、水戸も上々のスタートを切っている。開幕戦ではホームで栃木を下し、北関東ダービーを白星で飾ると、前節はアウェイで甲府とドロー。FWの荒田智之や高崎寛之をはじめ多くの主力を移籍で欠きながら、今季も水戸の攻撃サッカーは面白い。新加入のFW白谷建人や小池純輝にはスピードがあり、彼らを生かすことができるMF大橋正博というパサーも加わった。そして、FW吉原宏太は前線で起点も作れる。守るほうにしてみれば、ラインをコンパクトに保つことで彼らに前を向くスペースを与えたくないが、裏へ抜けるスピードにも気をつけなければならず、厄介な存在。昨季とは違う攻撃パターンに生まれ変わった水戸だが、はまった時の攻撃力は既にこの2試合で実証済みだ。
「我慢も必要だが、より攻撃的にやる」とバルバリッチ監督は今節のホームで開幕戦の雪辱を期すが、岡山とも、草津ともタイプの違う水戸の攻撃力は侮れない。先にゴールを奪われると、彼らのスピードが生きてくる。そうならないためにも、愛媛にとしては前節のように先制点がほしいところ。今季のニンスタ初ゴールが、ホーム初勝利へのキーポイントとなる。
「開幕戦は自分の中で納得がいかない試合。PKを与えて悔しい思いもあるが、個人としても、チームとしても悔しさを晴らしたいし、結果にこだわる」という赤井の言葉は、チーム全員が胸に秘めた気持ちだろう。ホームのサポーターと一緒に勝利の喜びを分かち合う時間。2010シーズンのニンジニアスタジアムは、その瞬間を待ちわびている。
以上
2010.03.20 Reported by 近藤義博