スカパー！生中継 Ch181 15:50〜（解説：川本治、実況：八塚浩 、リポーター：長友美貴子）
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今でも、ありありと興奮がよみがえる。
昨季、NACK5スタジアムで行われた鹿島戦のことだ。開始４分、内田智也の左足ゴールで先制。王者相手に１点のアドバンテージは決して安心なものではなく、その後も手に汗握りながら戦況を見つめた。試合終了を意識し始めた81分に土岐田洸平が追加点、85分にはマトがダメ押し点を入れ、ようやくドキドキから解放されたものだった。そして、今思う。願わくば、あの90分の再現を、と。
しかし、そう簡単ではないことは明らかだ。「こっちは大きくメンバーが変わっている」と張外龍監督が指摘するとおり、前回の鹿島戦からは５名の先発メンバーが入れ替わりそうだ。いわば、新生大宮と言えよう。更に鹿島の状況も違う。「当時は鹿島の状態が悪かったが今回はそうはいかない」（内田智）、「最近の鹿島にスキはないし、なんでもできる。まさにチャンピオンチーム」（藤本主税）と選手たちも気を引き締めている。更に状況を難しくするのは、鹿島側のメンタリティだ。「チャンピオンチームは同じ負け方は2度はしない」と張監督。おそらく、鹿島にとって大宮に連敗を喫することは許されざること。それだけに「そんなチームに勝ったら自信になる」（アン・ヨンハ）こともまた事実だ。
大宮は現在、１勝１敗。開幕戦で勝利を飾ったものの、前節アウェイで仙台に敗戦。長いシーズンではあるが、精神的にも連敗は避けたいところだ。痛いのは、ラファエルに続き、今節は村上和弘も離脱すること。大宮のウリとしていきたい、サイド攻撃の一翼を担う存在だっただけに、その穴は小さくない。その左サイドバックには大宮で初出場となる坪内秀介が入ることになりそう。村上とタイプは違い、バランスをとるタイプだが「バランスをとりつつも、こっちが主導権を握りたい。そのためには相手の内田篤人に高い位置でプレーさせない、つまり自分が高い位置でプレーすることも大事」と試合を見据える。
また鹿島を相手にすることで何よりも警戒するのは、攻撃につながるボールの出所。つまり小笠原満男の存在だ。そこで、大宮は中盤を厚くした４−１−４−１のフォーメーションで試合に臨む可能性が高い。中盤の底にはアンが入り、ディフェンスの穴を埋める。中盤の４枚は左から内田智、金澤慎、橋本早十、藤本と並ぶことになりそうで、橋本、金澤はそれぞれのサイドバックとポジションチェンジしつつ、守備の穴を作らないことに重点を置く。
「鹿島の長所はやっぱり攻守の切り替えの速さ。簡単そうではあるけれど、どのチームも出来ていないから逆に鹿島はすごい。大宮も今年切り替えの速さをテーマにしているだけにそこを見て欲しい」と中盤で要となるアンは語る。「鹿島は、味方のミスからのピンチを自分たちの切り替えの速さで逆にチャンスにしたりする。僕たちもそれくらいの気持ちでやりたい」と続ける。鹿島に負けない切り替えのスピードを求めなければ、守備の穴は生まれなくとも、得点機を作ることが難しくなるだろう。鹿島は、ここまでリーグ戦は１勝１分。だが、FUJI XEROX SUPER CUPに始まり、AFCチャンピオンズリーグもすでに２試合こなしている。それだけに「確かにスキはないが、後半になると落ちる印象はある」と藤本。その思惑通りに試合が運べば、後半にチャンスが訪れるかもしれない。
大宮にとって、一筋縄ではいかない試合だろう。だが、ここで連敗するのと持ちこたえるのとでは先行きが大きく変わる。鹿島戦後のホーム戦は、Ｆ東京、Ｇ大阪と強豪との戦いが続くだけに、鹿島相手といえど臆せず勝利を目指したい。
以上
