スカパー！生中継 Ch184 12:50〜（解説：野々村芳和、実況：野村明弘 、リポーター：小野寺志保）
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前節の栃木戦、前半途中に負傷交代したフランサは、１７日に右太腿裏肉離れによる全治８週間と診断された。昨シーズンの第３１節清水戦から、５戦連続８発のゴールラッシュを続けていた攻撃の軸の離脱が即座にチームに影響を及ぼしたのか、栃木戦での柏は決定的なチャンスを幾度も作るが、フィニッシュの精度に欠き、結局はスコアレスドローに終わった。したがって福岡戦の焦点は、「一体誰がゴールを挙げるのか」ということに尽きる。
１８日のトレーニングでは、主力組はかなり長時間を費やして攻撃パターンの確認を行った。「我々が我々のサッカーをすればゲームを支配できる」（ネルシーニョ監督）、「崩せなかったわけではなかった。選手個々の精度の問題」（北嶋秀朗）、「チャンスは作れていた」（大谷秀和）など監督・選手が話すように、攻め手を欠いたゆえのスコアレスではないだけに、改善点すべきはあるがネガティブになり過ぎる必要はないのかもしれない。フランサを欠くことはたしかに痛手である。しかし、対戦相手にボールが縦に入った瞬間の狙いどころを絞らせず、栃木戦後半のように前線の運動量増加による、全体のボール周りがスムーズになるメリットをうまく生かしたい。
攻撃のキーマンはＭＦの２人、レアンドロ・ドミンゲスと菅沼実か。栃木戦では、レアンドロ・ドミンゲスが周囲の選手をうまく使いフィニッシュの場面を演出。菅沼は、前半こそ左サイドに張り付き気味だったものの、後半は中と外でのプレーを臨機応変に使い分け、自ら得意の形でゴール前のチャンスを作り出した。また、ひょっとしたら大津祐樹が福岡戦にはギリギリ間に合い、ベンチメンバー入りの可能性もわずかながらにあることを考えれば、「攻め手」に関してはさほど問題はない。やはり最後、「誰が決めるか」だろう。
対する福岡は、開幕戦で甲府、前節は札幌をそれぞれ３−１、３−０と撃破し、目下２連勝中。前評判の高い２チームを降し、上昇気流に乗って６年ぶりに柏の日立台へ乗り込んでくる。前線の大久保哲哉、高橋泰にクサビのボールが入った時、ＦＷをサポートする受け手の動き、そしてボールを持たない３人目の動きと、攻撃の連動性は開幕したてとは思えぬ完成度の高さを誇る。左サイドをえぐり、鮮やかなゴールを決めたＭＦ永里源気のサイドアタックにも切れがある。ただし、福岡の最大のストロングポイントは２試合連続３ゴールの攻撃陣よりも、むしろ守備の安定性にあるのではないだろうか。両センターバック、丹羽大輝、田中誠を中心に、バランスの崩れない中盤と最終ラインの守備ブロック。末吉隼也、中町公祐、両ボランチによる相手のボールホルダーを挟み込む動き。「いい攻撃というのは、いい守備から生まれる」（丹羽）ように、攻撃陣の好調は守備の好調と安定があってのものだろう。
柏もまた、センターバックのパク・ドンヒョク、近藤直也は対人にも空中戦にも強く、大崩れは考えにくい。そこに今節は、開幕から２試合出場停止だった小林祐三が復帰し、右サイドバックに入ると予想される。これによって守備に関してはますます強固、盤石になるため、相手の固い守備をいかに破るかは柏、福岡の両者に共通したポイントと言ってもよい。
ともに固い守備をもつとあって試合はロースコアの１点差勝負になると予想される。それだけに先制点が大きくモノを言う展開になりそうだ。
以上
2010.03.19 Reported by 鈴木潤
