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【J2:第2節 東京V vs 熊本】レポート:悔しい敗戦も、今季東京Vが目指すサッカーの「顔」はしっかり見えた。熊本は粘り強い戦いで成長ぶりをアピール(10.03.15)

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3月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第2節
東京V 1 - 2 熊本 (13:03/味スタ/5,755人)
得点者:52' 平本一樹(東京V)、59' 松橋章太(熊本)、75' 井畑翔太郎(熊本)
スカパー!再放送 Ch181 3/15(月)16:30〜(解説:遠藤雅大、実況:関根信宏、リポーター:大竹七未)
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DF平本一樹のヘディングで先制しながらも、1−2逆転負け。
東京Vにとっては、悔しい、悔しい結果だった。

試合後の会見で、「多少硬さが出るかなと思っていた」と川勝良一監督(東京V)が語った通り、やはり“開幕戦”という緊張感はプレーに影響したようだ。
「いつもより距離が遠かった」(飯尾一慶)など、立ち上がりから何となくの違和感を覚えながらのゲームとなった。

それでも、特に前半は、ラインを高くとり、ボールを回して主導権を握る、という自分たちのスタイルで試合は運べていた。また、それと同時に「相手チームが相当ウチのボール回しで足元を狙ってくるので、前半の早い時間帯を含め、少し裏を意識してプレーしようと言っていた。前半の20〜30分ぐらいまでは、意図的にいつもの逆のプレーをして、そこからリズムをとりたかった」(川勝監督)との狙いから、DFラインからの縦への長めのボールや、大きなサイドチェンジボールなど、通常よりもロングボールが多く見られた。

チームのテーマの1つ『BOX内でどう崩すか』に対しても、スタートのポジションこそ井上平の1トップ、その下に飯尾、河野広貴、高木俊幸が並ぶという形だったが、展開ごとにトップ下3選手も入れ替わり立ち替わり中央最前線に入り、変化をつけた。しかし、決定的な場面はほとんど作れない。良い流れでボールは回すが、結局フィニッシュには持ち込めないという課題が顕著に表れてしまった。

一方、熊本としてみれば、思い通りのゲームだったようだ。試合開始から、松橋章太、井畑翔太郎の2トップにロングボールを簡単に入れ、カウンターでチャンスがあれば、という狙いは徹底していた。
それに対して東京Vも、前半は何度か危ない場面は作られながらもボールは拾えており、そこから上手く攻撃に転じるまではできていたが、「いつものように人が集まって回すというのが今日は最後までうまくできなかった」と川勝監督は振り返る。何回か訪れた、流れを引き寄せるチャンスをモノにできなかったことが、結局は相手に逆転を許す結果を招いてしまったようだ。

先制された熊本だったが、前節の千葉戦同様、決して下を向かない。失点した7分後、後半14分に井畑のヘディングがポストに当たって跳ね返ったところを、「最初から詰めようと思って走りこんだ」松橋が押し込みあっさりと追いつくと、同30分にはスローインを受けた井畑がそのまま反転して逆転。

「前半の後手、後手になった時間帯をよく耐えてくれた」こと。そして、先に点を取られても、「自分たちのプレーを続けていくということが非常に良くできていた」ことが勝因だと、高木琢也監督は熊本の選手たちを讃えた。しかし、「もっともっと動かして、前からボールを奪うことが」、「もう1点取れるチャンスがあった。そこを決めきれるかどうかで、同点に追いつかれたかもしれない。そういう厳しさをもっとわからなければいけない」と、今後の課題も口にした。

また、選手たちも、前節・今節と、先に失点しても追いつき、追い越せるようになったことは大きな成長だと捉えながらも、「2試合連続で追いかける展開は、正直キツい。次は絶対に先制しなきゃいけない」(原田拓)、「失点しているというのは、気の抜ける部分があるということ。勝利に満足せず、もっと追究しなければいけない」(南雄太)と、反省しきりだ。チーム状態が良い時ほど、欠点を素直に受け入れられるはず。チーム全体で思い切り話し合い、次へとつなげていきたいところだろう。

敗れたものの、東京Vにも明るい話題はあった。初先発だったルーキー・高木俊幸、Jデビューした同じく新人・福井諒司、ユース所属・高木善朗など、若手が存在感を示していた。
また、新加入した菊岡拓朗も完全にフィットし、すでにチームの心臓部となっている。背番号『10』が決して飾りではないことを、サポーターにも十分証明したのではないだろうか。

だが、最も大きかったのは、サポーターなど観ている人に対し「チームがどういうサッカーをしたいのか、すごく伝わってきた」(30代男性・東京Vサポーター)ことだろう。
元々、「パスをつなぐ、面白いサッカーは時間がかかるもの」と、川勝監督は百も承知である。土屋征夫はじめ、土肥洋一、富澤清太郎、飯尾など、選手たちも『続けること』の大事さを常々口にしている。今後もブレることはないだろう。

当然、結果は重要だ。
しかし、それ以上に、今季川勝監督が目指すサッカーとはいかなるものか。初戦にして少しでも周囲に伝わったことをまず、大きな収穫と捉えたい。

以上

2010.03.15 Reported by 上岡真里江
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