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【J2:第2節 北九州 vs 徳島】レポート:最後の粘りで上回った徳島が開幕2連勝。北九州は若手の有望株・中嶋雄大が待望のJ初ゴールを決めた。(10.03.15)

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3月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第2節
北九州 1 - 3 徳島 (13:05/本城/4,304人)
得点者:44' 平繁龍一(徳島)、64' 倉貫一毅(徳島)、70' 中嶋雄大(北九州)、90'+1 徳重隆明(徳島)
スカパー!再放送 Ch181 3/15(月)12:30〜(解説:小野信義、実況:田中友英、リポーター:麻倉ももこ)
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その瞬間、ともすれば沈みがちだった本城陸上競技場のスタンドがにわかに沸いた。0−2の劣勢の中、徳島が見せた一瞬の隙だった。佐野裕哉の前戦へのフィードに中嶋雄大が絶妙の反応。北九州のJリーグ初ゴールを、上り調子の中嶋が決めた。昨季後半戦にレギュラーメンバーに抜擢され、今季も2戦連続先発出場。起用に見事に応えた。

ただ北九州にとって明るい材料は中嶋の得点だけだったともいえる。
北九州は立ち上がり、立て続けにセットプレーを献上し何度もピンチを迎える。北九州は前半だけで実に17本ものFKを相手に与えてしまう内容で、精彩を欠いたと言えるだろう。
徳島もセットプレーを生かし切れなかった。風上に立った徳島だったが、風が思いのほか強く、濱田武のプレースキックは風に流されて決定機を作れなかった。前半15分頃までが特に徳島のセットプレーが目立ったが、その後の時間帯は北九州も中盤でボールが回るようになる。攻撃参加の少ない桑原裕義が自らボールキープしてミドルシュートを打つなど得点への意識の高さを感じさせた。

両チームとも決定力を欠いたまま試合が進み、均衡が破れたのは前半終了間際だった。徳島の津田知宏が前のめりになっていた北九州ディフェンスの裏に通して平繁龍一に繋ぎ、キーパーと1対1の場面を作った。平繁がこれを落ち着いて決め先制。美濃部直彦監督が「北九州はラインが高いので、背後を突く練習をした」と話す通りの北九州対策が奏功したかたちになった。
ハーフタイムにも美濃部監督が「ディフェンスラインの裏にボールを入れていこう」と指示。後半もラインを下げきらない北九州のもろさを突いていく。64分には速いパス回しで北九州ディフェンスを翻弄。輪湖直樹がスペースの空いた左サイドに走ってクロスを上げ、倉貫一毅が頭で合わせて2点目。北九州には、裏を突かれたり、サイドへ散らされたりと手痛い失点が続いた。

「2点目を取られ攻撃的に行こうという気持ちになった」(与那城ジョージ監督)という北九州は68分、DFの河端和哉に代えてFW長谷川太郎を投入。最終ラインを4バックから3バック気味にし、前戦に人数を割くことでチャンスを作り出そうとした。
そして70分。徳島のクリアボールを北九州の冨士祐樹が左サイドの高い位置で拾い、ボールは冨士から桑原を経て佐野へと渡る。佐野はゴール前にいた中嶋の足元を狙うふわりとした絶妙なクロスを放ち、中嶋がこれを体勢を崩しながらもゴールに蹴り込んだ。北九州が待望のJ初ゴール。練習してきたかたちではなかったが、パスの精度の高い佐野と、成長著しい中嶋の特長がいきた。
その後も北九州は左サイドの関に代えてやはりFWの宮川大輔を投入。前のめりに攻め続けるが、裏目に出る。後半ロスタイムに北九州は徳島・津田の中央突破を許してしまう。攻め上がっていたディフェンスが戻れないまま、津田のパスを受けた交替出場の徳重隆明が落ち着いて3点目のゴール。徳島が勝利を決定づけた。

徳島が時間をかけて培ってきたJリーグでの戦い方が開花した試合でもあった。
ベテランの徳重を終了直前の86分に投入できるのは戦力が厚みを増してきたことの何よりの証左だろう。その徳重も絡み、徳島は3点中2点を前半終了間際と試合終了間際に入れた。また、終盤に輪湖に代えて長身の登尾顕徳を入れたのも、セットプレーでの得点機が多い北九州には効果的。疲れがたまってくる時間帯に得点を奪えた徳島と、最後のツメのもろさが露呈した北九州という対比になった。北九州の冨士が「ちょっとしたところの反応や駆け引きが及ばなかった」と省みるように、北九州にとっては『あと一歩の粘り』が命運を分けるJリーグの真髄が身に染みて分かる試合になった。
負けはしたものの与那城監督はゲーム内容には手応えを感じている。「ラインを上げたまま、コンパクトなサッカーで中盤をコントロールしたい」と次戦も戦い方を変えずに臨む方針。開幕から2戦はディフェンスの安定を欠いたが、ケガで離脱していた選手も復帰してくる見込みで、主力選手は揃っていきそう。残すは90分間集中して粘り強く戦い抜けるだけのメンタル面の強さ、あるいはJFL時代の甘さからの脱却が必要だろう。

北九州を圧倒した徳島は、両サイドの攻め上がりやセカンドボールへの対応が光った。ただ、相手DFも攻撃参加して数的不利な状態でボールを回されると対応が後手に。失点シーンでは得点に絡んだ選手がノーマークの状態で、簡単にゴール前まで運ばれてしまった。美濃部監督も「ボールを振られたときに中のマークがルーズになった」と課題にあげる。カウンターでも相手に十分なスペースを与えてしまっており、前戦からのプレスやディフェンスの連携は確認しておきたい。

開幕から2戦を終え、それぞれのチームの課題がより鮮明に見えてきた。北九州はプロリーグの厳しい戦い方への脱皮をしなければいけないし、徳島はカウンター攻撃への備えを万全にしたい。長いシーズンを戦う上で、この1週間の練習が果たす意義は大きい。

以上

2010.03.15 Reported by 上田真之介
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