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【J1:第2節 京都 vs 鹿島】レポート:京都が劇的同点弾で今季初勝点を挙げる!だが、内容は成果と課題の混在するものに(10.03.15)

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3月14日(日) 2010 J1リーグ戦 第2節
京都 1 - 1 鹿島 (13:04/西京極/15,222人)
得点者:63' 野沢拓也(鹿島)、89' ディエゴ(京都)
スカパー!再放送 Ch183 3/15(月)14:00〜(解説:水沼貴史、実況:寺西裕一、リポーター:和田りつ子)
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京都の柳沢敦、鹿島のマルキーニョスに通算100ゴールの期待もあった対戦は両選手ノーゴールに終わり、試合は京都が終了間際に同点に追い付き勝点1を分け合う結果となった。

京都は対鹿島ということで左サイドバックを中村太亮から森下俊を今季初先発で起用し、中盤左サイドに中村太、右に鈴木慎吾を配置。チエゴを中盤の底に、中山博貴とディエゴをその前に置いた。中山は攻撃と共に鹿島の中心・小笠原満男のマークの役割も担う。
「前半だけでもGKと1対1の場面が6回あった」と試合後、鹿島オズワルド・オリヴェイラ監督が語った通り、鹿島はその強さを存分に発揮した。17分には速攻からマルキーニョス、中田浩二、興梠慎三と繋ぎ、24分には野沢拓也にゴールエリア内に侵入し、ボールが浮いたところをGK水谷雄一がブロックして京都は難を逃れるなど、オリヴェイラ監督の指摘通りのピンチが続いた。GKとの1対1だけでなく、中に切れ込んだ内田篤人が鋭いシュートを放つなど京都は数多くゴールに迫られた。
ただ、京都も14分と前半終了間際に右サイドバックの増嶋竜也が相手のエリア内に侵入し、ディエゴのシュートを引き出すなど決定的なシーンを作った。数では鹿島に軍配があがるが、京都も攻める姿勢は見せていたことは事実。

後半開始から動いたのは京都。角田誠を投入し(OUT鈴木)、小笠原のマークにつかせ、56分には右サイドに入れた中村太を下げて渡邉大剛を入れ、守備と攻撃のテコ入れを計る。
しかし63分、興梠のドリブル突破を引っかけてしまいゴール正面でエリアすぐ外という絶好のFKを与えてしまうと、これを野沢拓也に決められ先制を許す。
焦りと気落ちで攻撃意識の減った京都を観て加藤久監督は78分、柳沢に代えて安藤淳を左に入れ、それまで左だった中山をFWに配置する。対する鹿島は81分にフェリペ・ガブリエルから遠藤康とシナリオ通りの采配を見せる。
鹿島の逃げ切りがほぼ決定的となった89分、チエゴからディエゴにボールが入ると、ディエゴがエリア内の中山にパスを出した。中山がそれを浮き球で落とすと走り込んだディエゴが左足を豪快に振り抜き鹿島ゴールを揺らす。京都、同点に追いつく。
これを受けてオリヴェイラ監督は、興梠に代え大迫勇也を入れて決勝点を狙うがタイムアップ。京都、なんとか同点に持ち込み勝点1を奪った。

改めて、鹿島は強かった。様々なポイントがあるが、今節際立っていたのが中田浩二。前半17分、マルキーニョスが左サイドでボールをキープするや否やハーフラインくらいの位置から中田は前線へ走り出した。京都の選手と並列して走っていた中田、パスが出ないと判断したのか、スピードを緩めると京都のマークも同様に足を止めそうになる。すると中田はスピードを上げマークを振り切り、パスを引き出し興梠につなげて決定機を作り出した。中田のシュートは今節3本、そのどれもが自分が仕掛けてチャンスを作り出したもの。シュート数で言えば今節の鹿島でシュートを放っていないのは、曽ヶ端準、岩政大樹、そして執拗なマークを受けた小笠原のみ。他の選手は全てシュートを放っている。それも『打たされたシュート』はなかった。こうした鹿島の選手全員にある『仕掛けよう』、『ゴールを目指そう』とする意識と姿勢という根本部分でまず、京都と大きく差があった。
だが、今節最も多くシュートを放ったのが京都のディエゴの5本。しかも前半の増嶋からの2本、後半の、曽ヶ端が飛び出して触れることができず、裏で頭で合わせたシュートなど決定機のシュートばかり。シュート5本目の同点弾もこうした積極的姿勢があったからこそ生まれたものだろう。

今節、京都で明暗が出たのが右の増嶋と左の中村太。積極的に仕掛けて前半、相手陣内深くえぐってディエゴの決定機のシュートを引き出した増嶋は「ああいうチャンスを鹿島相手に出来たのは自信になる」と話した。中村太はその仕掛ける姿勢に欠けた。前半、鹿島陣内でボールを受けると前を向こうとせず、安易に森下にボールを落とした場面があった。次にボールを受けた時にまた同様に前を向こうとしなかったら、小笠原にボールを奪われた。「この選手は仕掛けてこない」と見透かされたのだろう。仕掛けて得るものがあった増嶋と仕掛けることができなかった中村太とでは今節の意味は違ってくる。試合後、加藤監督は「二十歳くらいの選手が経験を積むのは重要なこと」と話した。それに全く異論はないが、当の選手が仕掛けようとしないのはもったいない。
ただ、後半、渡邉と増嶋が右サイドでコンビになった時、増嶋に預けた渡邉が走り抜けようとしてすぐ止まり足元で要求するシーンがあり、増嶋もまた預けてサイドを走り抜けようとして足を止めてしまった場面があった。そこで各人判断があったのだろうが、足元でボールを受けても鹿島ディフェンスにとっては全く怖くないだろう。増嶋にとっても出来た部分、出来なかった部分があることは確かである。

気になったのは柳沢のポストプレーの巧さを最大限に引き出す攻撃パターン、つまりはロングカウンターの確立は急務ではないかと感じさせたこと。前半、鹿島の猛攻を受け、京都が自陣でボールを拾うシーンが多々あったのだが、京都はそれをカウンターにつなげられなかった。そこには鹿島のプレッシャーがきつかったというよりも京都の選手の判断ミスが多かったように感じる。前に向こうとタッチ数を多くして詰められる。または、サイドバックに前に向いてキープさせたくてサイドのスペースにボールを送る。こうした判断が前線の選手のボールをもらうタイミング、裏へ走るきっかけを狂わしていたように見えたのだ。簡単に落としてすぐ後ろの選手が前へ送る。簡単に落とすと感じた瞬間に攻撃陣の誰かがスペースへ走り出す。こうしたロングカウンターはポストプレーの巧みな柳沢がいれば大きな武器になるはずだ。ドリブルで仕掛ける選手の少ない京都にとって前線の選手がスペースに走りだすタイミング、これを確立するのは重要課題だろう。

とはいえ、鹿島を相手に先制されながらも同点に追いついた京都の粘りと頑張りは称賛に値するものである。特に、先制してから圧倒的な強さを誇る鹿島に対し出来たのは大きな自信になるだろう。初勝利に向けて、期待を持たせてくれる結果となった。

以上

2010.03.15 Reported by 武田賢宗
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