3月14日(日) 2010 J1リーグ戦 第2節
C大阪 1 - 1 G大阪 (16:06/長居/37,860人)
得点者:65' 明神智和(G大阪)、71' アドリアーノ(C大阪)
スカパー!再放送 Ch185 3/16(火)05:00〜(解説:長谷川治久、実況:本野大輔、リポーター:森田純史、プレーヤー解説:西澤明訓)
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鶴ヶ丘駅や長居駅からスタジアムに足を運ぶ人の波。C大阪のピンク色のユニフォームがそこかしこで見られる。その姿はまるで一足早く桜が開花したかのようだった。
2010年3月14日、Jリーグのある日常が、C大阪のホーム、長居に戻ってきた。ただし、これまでの3年間と明らかに違うのは、C大阪がJ1の舞台に帰ってきたこと。さらに、このホーム開幕戦の相手は、同じ大阪の宿敵、G大阪。これ以上ないビッグカード、「大阪ダービー」で、新シーズンを迎えられる。誰もが胸躍る思いで、スタジアムに入っていく。
集まったその数、3万7860人。J2時代では決して見られなかった光景がスタジアムには広がっていた。確かにJ1、さらにはAFCチャンピオンズリーグの大舞台に慣れているG大阪サポーターの圧力はすさまじかった。しかし、C大阪サポーターも負けてはいなかった。G大阪からやってきたFW播戸竜二、家長昭博の名が場内アナウンスされたとき沸きあがった大ブーイングにも、それを跳ね返すほどの大声援を送り、選手入場時にはチームカラーのピンクとネイビーを使ったコレオグラフィーをゴール裏で披露。「最高の雰囲気」(香川真司)のなか、待ちに待ったJ1ホーム開幕戦、そして「大阪ダービー」がキックオフされた。
前節、今季初戦では大宮の気迫の前に完敗していたC大阪だが、今節も前回からメンバーはそのままでG大阪に挑んだ。序盤、遠藤保仁を中心にポゼッションを取って攻めてくるG大阪に押し込まれ、ファウルで止めるケースが増えたC大阪だったが、大宮戦で苦杯をなめたセットプレーのピンチにもGK松井謙弥がアグレッシブなセービングでゴールを死守。また、DF茂庭照幸はF東京時代の同僚だったルーカスに再三激しくマッチアップして相手のキーマンをつぶし、DF羽田憲司や上本大海らも球際で集中した守備を展開するなど、得点を許さない。
すると、「立ち上がり相手の猛攻をしのいでから、互角にできている」とレヴィークルピ監督がハーフタイムでも語ったように、MF香川、乾貴士、マルチネス、FWアドリアーノを軸としたカウンターがはまるようになり、MF高橋大輔、尾亦弘友希の両サイドも積極性を見せて攻め上がるなど、次第に攻撃の形ができてくる。それでも、G大阪MF明神智和やDF高木和道らが作る守備ブロックをかいくぐれず。結局、前半はスコアレスのままでハーフタイムを迎える。
後半も互いに決定機を作りあう展開となったが、65分、一瞬のエアポケットが生まれた隙に、C大阪は先制を許してしまう。それまで再三ミドルシュートを外していた明神にフリーで右ミドルを打たれると、そのブレ球をGK松井は弾き返せず。ボールは無情にもゴールラインを越えてしまった。「きれいなゴールではなく、防げるところもあった」(羽田)失点。絶対に与えてはいけなかった先制点を献上し、C大阪は劣勢に立たされる。
しかし、「焦りはなかった」と羽田。「ウチのカウンターもはまり出していて、点は取れるんじゃないかと思っていた」という言葉が、失点から10分も経たないうちに、現実のものとなる。71分、自陣で香川がボールを受けると、巧みにドリブルで相手をかわして前を向き、カウンター発動。左のアドリアーノにパスを出すと、「トラップした瞬間にあそこのコースが見えた」という新9番は、相手DF中澤聡太との間合いをうまく計りながら、切れ味鋭い左足のシュートを炸裂させた。ボールは中澤の股を抜き、ファーポストに当たりながらゴールイン!喜びをバック転で爆発させたアドリアーノのJ初得点で、C大阪は試合を振り出しに戻した。
さらにC大阪は83分に尾亦の左クロスから、G大阪ディフェンスラインを抜け出た乾がワントラップから絶妙ボレーを繰り出すも、ボールはわずかに枠を越える。87分にもボランチのアマラウが強烈ミドルを狙い、GK藤ヶ谷陽介を脅かしたが得点ならず。試合終了間際には播戸、家長を同時に投入して前線を活性化したが、勝ち越しには至らず。試合は大阪ダービー史上初の同点決着で幕を閉じた。
4年ぶりのJ1勝利とまではならなかったC大阪だったが、「チームのパフォーマンスには満足している。選手たちの熱い気持ちが伝わるゲームだった」とレヴィークルピ監督。「チームとして組織的に戦えましたし、個人の反省はありますが、次につながる勝点1かなと思う」(高橋)、「これからのきっかけにはなるのかもしれないゲームになった」(羽田)と言うように、今後に期待を抱かせる試合となった。そして、C大阪サポーターをはじめ、大観衆を満足させる内容だったことは確かだ。しかし、まだまだこれは序章に過ぎない。次こそは、結果が求められる。勝って初めてJ1の仲間入りとなるのだから。
以上
2010.03.15 Reported by 前田敏勝
J’s GOALニュース
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