3月13日（土） 2010 J1リーグ戦 第2節
横浜FM 3 - 0 湘南　（14:05／日産ス／32,228人）
得点者：22' 栗原勇蔵（横浜FM）、61' 渡邉千真（横浜FM）、90' 狩野健太（横浜FM）
スカパー！再放送 Ch183 3/16（火）21:00〜（解説：金田喜稔、実況：清原正博、リポーター：石川葉子）
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横浜Ｆ・マリノスの中村俊輔が、Ｊ１復帰戦で格の違いを見せつけた。
例えば15分。山瀬功治へのサイドチェンジのロングパスは秀逸だった。低い軌道の速いボールに、湘南ベルマーレDFは触れそうで触れず、山瀬に絶妙なタインミングで渡る。19分には、ゆっくりしたドリブルでボールキープしてから、兵藤慎剛にミドルパスを送る。そこから、中村が作ったタメによりオーバーラップできた田中裕介へと繋がり、流れる展開を生む。『中村効果』について、木村和司監督をはじめ、多くの横浜FMの選手が「タメができる」と口にした。中澤佑二は「緩急がつく」と表現。それが中村の魅力の一つと言える。今季の開幕戦を含め、昨年までの横浜FMの攻撃は、どこか一本調子の部分があったが、この日は攻めにはメリハリが。それを引き出したのが中村である。
また、中村は十八番のセットプレーから先制点をアシスト。22分に右CKからピンポイントパスを蹴り、栗原勇蔵が頭で合わせて奪う。61分の渡邉千真が決めた２点目、これも中村が右サイドで絡んだ後に生まれている。
さらに、間接的な『中村効果』も。試合終了間際、中村と交代して出場した狩野健太が、弾丸ミドルを突き刺す。ところが得点後、狩野は喜ばなかった…。それは、中村の出場により先発を外れた悔しさがあったから。木村監督は「すごく気持ちが入っていたね。彼はあのぐらい気持ちを前面に出していったほうがいい」と、狩野の奮起を称える。中村の加入が、狩野を発奮させたと言えるだろう。

一方の湘南は、中村対策として「我々のディフェンディング・サードの時に、ボールのもらい手のマークをしっかりする。それと（中村の）視野を広げさせないようなディフェンスをする」（反町康治監督）という意識で臨んだ。しかしながら、湘南選手たちはどちらも体現することができなかった。それは個の能力の差と言ってしまえば簡単だが、その差を埋めるのが難しい。坂本紘司は、こう振り返る。
「中村選手には、飛び込んだらワンツーでかわされる。警戒して間を開けてしまうと、そこからいいパスを出してくる。チーム全体としてプレスに行くタイミングを見てしまった」
90分間を通して、後手を踏んでしまった要因は、そこにあったに違いない。特に後半は１トップの田原豊を前線に残しズルズルとラインが下がり、守備で手一杯の状態に。後半だけで20本のシュートを打たれ、Ｊ１の洗礼を浴びたのだ。
ただ、湘南にまったく好機がなかったわけではない。25分に島村毅が豪快なミドルを放つも、GK飯倉大樹のファインセーブに阻まれる。そのほか前半、後半とも終了間際に決定機があった。しかし、ことごとくGK飯倉が好反応でストップ。この日の飯倉は本人いわく「当たっていた」。それは湘南にとって不運そのもの。とはいえ、得点を決めなければ勝機は見えてこない。主導権を握られたゲームでの守備と、少ない決定機をいかにものにするか。それが次節・サンフレッチェ広島戦（３／２０＠平塚）でのテーマになりそうだ。

横浜FMの次節の相手は強豪、川崎フロンターレ（３／２０＠日産ス）。『中村効果』の真価は、優勝候補の一角と言われる相手との『もう一つの神奈川ダービー』で問われる。

以上

2010.03.14 Reported by 小林智明（インサイド）