3月13日(土) 2010 J1リーグ戦 第2節
清水 3 - 0 山形 (14:04/アウスタ/18,517人)
得点者:13' 藤本淳吾(清水)、88' 岡崎慎司(清水)、90'+4 伊東輝悦(清水)
スカパー!再放送 Ch186 3/14(日)23:00〜(解説:三浦泰年、実況:桑原学、リポーター:小野響子)
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今季は何としてもホームで良いスタートを切りたかった清水にとっては、願ってもない完勝劇だった。
開幕の広島戦では立ち上がりで硬さが見られた清水だが、このホーム開幕戦では、意識的に立ち上がりからエンジンをぶん回し、人数をかけて厚い攻撃を仕掛けていった。今週の課題であった、中央にクサビを入れて相手を真ん中に寄せてからサイドを使うという意識も十分に見られ、サイドを効果的に使いながら押しこむ展開を作った。
そして13分には、本田拓也からの鋭いクサビを藤本淳吾が落とし、ヨンセンがミドルシュート。これが藤本に当たってコースが変わるというラッキーもあったが、意図した攻撃から先制点を奪うことに成功した。
山形のほうは、清水に先制点が入るまでは耐える時間帯が続いたが、その後は徐々に自分たちの攻撃の時間も作っていく。1人しかいない清水のボランチ・本田拓也を前の4人の動きで引っ張り、それによって空いたバイタルエリアのスペースにクサビを通すという狙いは、何度か形にすることができた。だが、そこからうまくサイドに展開したいという過程で、ミスが出たり精度が甘かったりして、なかなかチャンスを作れない状況が続く。シュートも前半はわずか1本しか打てず、今後に課題を残した。
逆に清水は、山形が前線からプレスをかけてきても、そこでボールを簡単に失うことなくしっかりとパスをつなぎ、攻撃につなげていく。ここでは小野伸二のキープ力が効いて、昨年より進化した部分を見せた。
また、左サイドのポジションに慣れてきた岡崎慎司が、これまでよりも中に入る動きを増やし、そこからクサビを受けたり裏を狙ったりすることで本来の持ち味を発揮。ヨンセンや藤本との距離感もこれまでより近づけ、お互いにサポートし合うことで、前線に起点を作った。
そんな中でしばしばサイドをうまく使った攻撃が表われ、中には今後が楽しみになる鮮やかな攻め崩しも何度か見られた。33分には、左サイドバック・児玉新のクサビをインサイドに入った岡崎が受け、その落としから藤本が左サイドにパス。岡崎と入れ替わるようにサイドに開いていた兵働昭弘が、そこからフリーで裏に抜け出してクロス。最後の藤本のシュートはミスに終わったものの、練習していた通りの速くて美しい攻撃が出た場面だった。
それだけに、清水としては追加点が取れなかったのはやや不満だが、山形の守備陣も、最後のところで身体を張ってよくしのいでいた。
後半は、強風の中で立ち上がりから仕掛けていった清水のほうに先に疲労の色が表われ、前線からの守備がうまく連動しなくなったこともあってラインが下がり、山形がボールを支配する時間が多くなった。
だが、このような展開になっても、ブロックを固めて守る戦いができるのは、清水の強みのひとつ。ここは、昨年まで積み重ねてきた堅守が生きる部分だ。欲を言えば、もう少しDFラインを高い状態に保って守りたかったが、最後の砦は十分に堅く、交代で入った山本真希や伊東輝悦がバランスの回復に貢献。後半も山形のシュートを4本に抑え、本当に危ない場面はほとんど作らせなかった。
山形にとっては、エースの長谷川悠が前半の最後に膝を痛め、ハーフタイムで負傷交代したことも痛かった部分。後半はボランチが前を向いてボールを持つ場面は多く作ることができたが、そこから危険な位置にボールを入れることがあまりできなかった。
そして、2点目がなかなか取れないジレンマが清水に残っていた中で、43分に市川大祐の右クロスからファーサイドの岡崎がヘディング。角度はあまりなかったが、非常に狭いところを抜いてゴール右隅に待望の2点目を決めた。ここは岡崎の個としての強さが存分に出た場面で、彼自身にとっても非常にうれしい今季初ゴールとなった。その直後、岡崎は顔面を打撲して負傷交代。前歯を折った可能性が高いとのことだが、大事に至らないことを祈りたい。
さらにアディショナルタイムの49分には、伊東が3年ぶりのゴールを決めるというオマケまでついて、清水が3-0の完勝。もちろん、新システムの成熟度はまだ不十分だが、開幕戦より進化した部分も数多く見られ、取るべき人が点を取ったゲーム。開幕ダッシュに向けて、大きな手応えのある1勝となった。
以上
2010.03.14 Reported by 前島芳雄
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