スカパー！生中継 Ch182 13:50〜（解説：三浦泰年、実況：桑原学、リポーター：小野響子）
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開幕戦はどちらもアウェイで１−１の引き分けに終わった両チーム。ここで勝って今季の初勝利を挙げたいという思いは同じだが、ホームの清水はことさらその思いが強い。
ここ数年、リーグ序盤のもたつきが目立つ清水は、タイトル獲得のために“今年こそ開幕ダッシュを”という目標を掲げて準備に取り組んできた。Ｗ杯による中断が入ることも踏まえて、フィジカル面でも例年ほどのハードなトレーニングはあえて行なわず、その分戦術的なトレーニングに時間をかけ、疲れを残すことなく開幕に臨めるようにコンディションを整えてきた。
ただし、長谷川健太監督が05年の就任以来貫いてきた４−４−２から、４−３−３へのシステム変更を行なった分、戦術面、とくに攻撃に関しては未完成の部分も多い。開幕の広島戦も、小野伸二の加入やシステム変更によってボール支配力が上がっていることは確認できた。だが、最後の崩しの部分、フィニッシュに至る工夫や攻めのバリエーションという面においては、まだまだ物足りなさが残ったのも事実。立ち上がりで先制して守りを固めた広島をなかなか攻め崩すことができず、93分にセットプレーで何とか１点を返し、同点に追いつくのが精一杯だった。
もちろん、その点はチームの全員が強く認識しており、「サイドだけでなく中央も使って相手を中に絞らせないと、サイドもうまく使えない」（長谷川監督）、「もっと激しく、もっと頭を使って攻めていきたい」（小野）などと課題を口にする。今週の練習でも、攻撃力の向上を大きなテーマとして取り組んでいる。また今季は、攻撃に関しては選手に任されている部分が多い。小野だけでなく、藤本淳吾も昨年に比べて明らかに復調し、キャプテンの兵働昭弘もいつものクレバーさを発揮している。非常に組織的で守備の堅い山形に対して、ホーム開幕戦でどれだけ変化に富んだ攻撃が表現できるのか。それが、この試合最大の見どころとなる。
一方、アウェイ２連戦となる山形は、今季は意欲的な補強を行ない、田代有三、増田誓志、下村東美、キム・クナンなど強力な新戦力を獲得した。開幕の湘南戦では昨年のメンバー主体で戦ったが、そこでは相変わらずの粘り強さを発揮し、終盤に同点に追いついて勝点１を得たのは清水と同じ。先発した期待の田代もまだ十分に機能せず、現段階では新戦力を十分に生かす段階までには達していない。
そのため、今回も湘南戦のメンバーをベースに戦う可能性が高いとみられるが、２トップは長谷川悠と田代という前回と同じ形になるのか、長谷川と古橋達弥という昨年の組み合わせになるのか微妙なところ。清水はセンターバックが非常にハイボールに強いが、その前のボランチが本田拓也１枚になったため、古橋が少し下がり目でバイタルエリアをかき回し、セカンドボールを拾う形のほうが有効と判断する可能性もある。
また、久しぶりに山形に帰って（キャンプから山形には戻らないまま湘南戦に臨んだ）精神的にはリフレッシュできたものの、季節外れの大雪の影響により、練習が制限される日もあった。それが吉と出るか凶と出るかという点も注目したい。
清水の守備に関しては、１トップ２シャドーの広島に対して、シャドーの２人にもうまく対応できていたため、山形がどう出てきたとしても適応は可能だろう。だが、攻撃に意識が向くばかりにカウンターのケアを怠ってしまうのは危険。当然、山形もそこは狙っているはずなので、清水のカウンター対策という部分も、引き続き注目点となる。
アウスタでのゲームということもあって、清水が攻めて山形が守るという時間がある程度長くなることも予想されるが、その展開は、山形にとっては想定の範囲内。清水がその想定を上回るほどの攻撃を見せられるのか。そして今度こそ勝点３を取って開幕ダッシュに勢いをつけられるのか。今後の戦いにも大きく影響しそうなホーム開幕戦が、いよいよ始まろうとしている。
以上
2010.03.12 Reported by 前島芳雄
