スカパー！生中継 Ch181 15:50〜（解説：藤川久孝、実況：吉田太一、リポーター：尾原秀三）
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実に２００４年シーズン以来のアウェーでの開幕となった名古屋は、まさに“凱旋”といった趣でホームでの開幕戦を迎えることになった。元日の天皇杯決勝で１−４と惨敗したＧ大阪を２−１で破り、これ以上ない好スタートを切ることに成功したからだ。豪華補強の反面で練習不足が危惧されていたチームにとっては、開幕戦の勝利だけでも好材料。内容面もまずまずだっただけに、チームは良い流れに乗ることができている。
だが、油断は禁物だ。２節・豊田スタジアムで迎え撃つのは昨季公式戦４戦１勝と大きく負け越している川崎Ｆである。ジュニーニョと中村憲剛を欠く布陣ながらも、開幕戦では新潟に勝利。その前後に行われたAFCチャンピオンズリーグでは連敗しているが、そのチーム力の高さに疑いの余地などない。名古屋との相性の悪さは昨季以前からもので、昨年のACL準々決勝第２戦で勝利するまで、実に４年間も未勝利が続いていた。また、昨季唯一の勝利は川崎ＦのACL４強への道を閉ざすものでもあった。川崎Ｆがリベンジの意味でのモチベーションを高めるとすれば、昨季同様の手強い相手となるに違いない。
名古屋の予想スタメンは開幕戦のメンバーが基本となる。変動があるとすれば中盤の３名の編成だが、小川佳純、マギヌン、吉村圭司のトリオは補完性も高く、結果を出している現状では変える必要はない。特に中盤からの積極的な飛び出しで攻撃のアクセントとなっていた小川は新境地を開きつつある。ゲームメーカー・マギヌンとのバランスを補正すれば、開幕戦以上に多才な攻撃パターンを生み出すことができるだろう。
一方の川崎Ｆも同様に、メンバーに大きな変動はないと見る。開幕戦で活躍した小宮山尊信や黒津勝、そして稲本潤一には最大の注意が必要だろう。中村憲不在もあって際立った縦に速いスタイルは、各ラインからゴールへ向かう迫力を持った彼らの能力によるところが大きい。主力を欠いた相手と侮れば、痛い目に遭うことは必至だ。
名古屋と川崎Ｆの対戦といえば、ポゼッション対カウンターのせめぎ合いというのが毎回のパターンだった。メンバーが変わり、同じ４−３−３のフォーメーションを採用している今季も、その構図は変わらないだろう。昨季多かったのは、名古屋のポゼッションを分断するインターセプトから、川崎Ｆが電光石火のカウンターを仕掛けるという形だ。その中枢で前線へ鋭いスルーパスを供給していた中村憲がいないのは名古屋にとって朗報だが、今季の川崎Ｆのボール奪取位置が高くなっていることを見逃してはいけない。稲本や谷口博之らのボール奪取が起点となるショートカウンターは、よりゴールに近い位置から始まることで、昨季よりもむしろ厄介になっている。名古屋はまず着実なボールキープとポゼッションを心がけ、攻撃機会をシュートで終えたいところだ。開幕戦でもキレのある動きを見せたケネディ、玉田圭司、金崎夢生ら３トップの活躍が、その鍵を握るといえる。
一方で最も心配されていた守備陣も、田中マルクス闘莉王を中心に想像以上のまとまりを見せている。名古屋の守備戦術を理解するだけでなく、自らの指示で周りを動かせる日本代表DFの力は守護神・楢崎正剛も一目置くところ。川崎Ｆには鄭大世というリーグ屈指のヘッダーがいるが、ゴール前での制空権争いでも負けることはないだろう。ほぼ、ぶっつけに近かった開幕戦で及第点以上の連係を披露できたことで、手応えも得ているはずだ。Ｊ屈指の攻撃力を誇る川崎Ｆの攻撃陣との真っ向勝負は、その実力を測る格好の物差しとなる。
名古屋が狙うは優勝候補相手の連勝。不確定要素が多いまま開幕を迎えたチームにとって、これ以上の追い風はないだろう。しかもこの試合で２得点を決めれば、名古屋はホーム通算500得点を達成するという巡り合わせも重なった。ホーム開幕戦を良いニュースずくめの快勝劇で飾ることができるか。それをやってのけるだけの実力は、すでに名古屋に備わっている。
以上
2010.03.12 Reported by 今井雄一朗
