3月6日(土) 2010 J1リーグ戦 第1節
F東京 1 - 0 横浜FM (14:01/味スタ/29,011人)
得点者:90'+1 平山相太(F東京)
スカパー!再放送 Ch183 3/9(火)21:00〜(解説:金田喜稔、実況:佐藤文康)
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F東京が、味の素スタジアムで横浜FMと開幕戦を戦い、1−0で勝利を収めた。平山相太の劇的ゴールで、F東京が4年ぶりとなる開幕白星発進。横浜FMは、木村和司監督の初陣を勝利で飾ることができなかった。
決着は、試合終了間際に待っていた。後半ロスタイム、F東京のカウンターがはまる。ハーフェーラインの手前でボールを受けた石川直宏がドリブルで駆け上がる。DF小椋祥平を振り切るとグングンと加速。バイタルエリアを突っ切り、そのまま得意のエリアに持ち込む。ボックスやや手前、石川には十分な射程距離。だが、そこで選択したのはパスだった。DFを引きつけ、フリーでファーサイドにポジションを取った平山相太へとパスを送る。平山が、これをダイレクトで押し込んで勝負を決めた。
「Jは甘くないという洗礼」。試合後、木村監督は悔しさを滲ませた。横浜FMは掴みかけていた勝点がこぼれ落ちた。内容は横浜FMだが、勝点を得たのはF東京だった。両チームともに決定機は少なかった。スリッピーなピッチと、互いの堅い守備が停滞ムードに拍車をかけた。横浜FMの最大の好機は、前半35分、渡邊千真の落としたボールを兵藤慎剛が拾ってフィニッシュに繋げたシーンだった。山瀬功治のミドルシュートや仕掛けはその後も続いたが、ここに2人、3人と連動した攻撃を仕掛けるシーンは少なかった。局面における判断の精度は、今後の課題だろう。木村監督が、ターゲットマンを前線に並べたことからも、数多くの決定機を作り出したいという意図が見える。そこまでボールは入っていた。だからこそ、狩野健太や、復帰する中村俊輔が、局面でより良い選択へと切り替える弁のような役割を果たせば、魅力的なサッカーが展開できるはずだ。
逆にF東京も、前半29分の中村北斗が鈴木達也とのワンツーでボックスに侵入したようなシーンを作り出すことはほとんどなかった。攻撃の基準点となる平山がバイタルエリアで横浜FMの厳しい守備に囲まれてしまったこと。そこで平山からダイレクトで叩くような距離に選手が少なかったことも、主導権を奪いきれなかった一因だった。ただ、最後の局面で見せたカタチは、今シーズンの取り組みのひとつでもある。カウンターを見逃さない。ピッチを三分割したときの最後の局面でジャストな判断を下す。それが噛み合った。平山相太が石川のドリブルに合わせて走り込み、石川もファイナルサードでより確率が高いプレーを選択した。試合後の指揮官は殊勝に語ったが、確かな手ごたえもあったようだ。
「昨シーズンには、あまり見られなかった勝ち方。試合内容は満足できないけど、ゲーム展開は『そう、こういう勝ち方もあるよね』という意味ではこれも積み上げのひとつだと思う。内容がいいことだけが、積み上げじゃないからね。もちろん、内容を考えれば、修正はしなければいけない。でも、積み上げてきたことが出せなかったということではない。違う意味での積み上げは出せた試合だった」(城福監督)
F東京には、昨シーズンの苦い経験もある。内容がいくら良くても、終わってみれば…。辛酸を味わってきた。開幕前、指揮官が語った壮大な目標『ポストワールドカップ』には、内容とともに勝点の積み上げもなくてはならない。ワールドカップ前の中断期間まで、まずそこまでが勝負だ。1−0、0−0でもいい。ポストワールドカップをトーンダウンさせないためには、まずはそれを叫び続けられる位置を確保しなければいけない。城福トーキョーの一歩ずつの積み上げが今年も始まった。
以上
2010.03.07 Reported by 馬場康平
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