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【J2:第1節 水戸 vs 栃木】栃木側レポート:足りなかった「コミットメント(懸ける気持ち)」。ロボ、レオも活かしきれず。松田体制2年目の初陣も黒星スタート。(10.03.07)

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3月6日(土) 2010 J2リーグ戦 第1節
水戸 2 - 1 栃木 (16:05/Ksスタ/3,581人)
得点者:37' 遠藤敬佑(水戸)、67' 吉原宏太(水戸)、78' オウンゴ−ル(栃木)
スカパー!再放送 Ch181 3/8(月)19:00〜(解説:前田秀樹、実況:加藤暁、リポーター:佐藤愛美)
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戦前に松田浩監督は今季の水戸ホーリーホックの印象を、こう述べている。
「昨年、上位に進出したことで自信を身に付けたと思う。主力が抜けても弱くなっているとは思わない。一朝一夕に身に付けられない強さを持っている」
「強さ」を「厳しさ」と置き換えてもいいだろう。独特の緊張感が漂う開幕戦で最もイニシアチブを握りやすい、「序盤に球際の攻防で優位に立つ」という条件を満たしたのは、水戸だった。対する栃木SCは、どこか頼りなく、激しさもアグレッシブさもなかった。J2の2年目、開幕からスタートダッシュを狙うチームとしては、「北関東ダービー」のタイトルを懸けた大事な初戦に臨むチームとしては、あまりにも気迫が足りな過ぎた。

集中力にも欠けていた。特に切り替えの速さで上回られたことで、後手を踏む機会が多かった。6分にカウンターから吉原宏太に冷やりとさせられたことから、十分に攻守交代の際に準備をしておくべきだったが、どうにも意思統一がなされていなかった。だから、何度も前に出た後のスペースを使われ続けた。37分、自分達のCKのセカンドボールをあっさりと縦に繋がれ、カウンターを食らい、失点を喫した。切り替えの悪さを引きずり続けたことによる必然の結果だった。「流れが悪くても、最低でも0-0で折り返すべきだった」と廣瀬浩二は唇を噛み、「前半に失点をしてしまったのは、もったいなかった」とは大久保裕樹。苦しい前半を耐え抜き、風上に立つ後半に勝負を懸けられなかったことを悔やんだ。

なかなかリズムを作り出せなかったことの弊害は攻撃にも及ぶ。「今日は後ろからのロングボールが多かったので難しい試合になった」とリカルド・ロボが振り返るように、ピッチがスリッピーだったにしても安易にボールを蹴り過ぎた。空中戦に強い林祐征や崔根植が前線に居ればロングボールも雨の日の有効な手段なのだが、胸より高い位置のボールをロボとレオナルドに入れても、上背がないのだから競り合いに勝てるはずはなく、自ら攻撃の権利を放棄し、幅を狭めてしまった。2トップの能力がいくら高くても特徴が発揮できなければ宝の持ち腐れだ。トレーニングを積んでいるピッチの奥行きと横幅を使う意識を、中盤の選手はより高めなければいけないだろう。

67分にPKで追加点を許してリードを広げられるも、78分に大久保のロングスローから相手のオウンゴールを誘って1点差に詰め寄る。崔と林、さらには佐藤悠介と、高さとキックの精度を交代カードで補い、松田監督はパワープレーに打って出る。ロスタイムには狙い通りに林がボールを収め、ロボが仕掛けてミドルシュート。強烈なシュートは枠に向かうも、クロスバーに嫌われ、劇的な同点弾は生まれなかった。

覚悟を持って挑んだシーズンの初戦を落としたことは痛かったが、それよりも「コミットメント(懸ける気持ち)」がキックオフ後のひとつひとつのプレーから伝わってこなかったことの方が寂しかった。水戸のアグレッシブさは織り込み済みだったはずで、だからこそ選手達は「気持ちだけは負けないようにしたい」と話していたのだが。幸い今季は日程が詰まっていない。修正を図れるチャンスが与えられている。1週間を有意義に過ごせれば、次節のホーム開幕戦となる柏レイソル戦では何物をも恐れない「戦闘集団」となり、J1昇格最有力候補にひと泡吹かせる勇姿を見せられるはずだ。

2人でシュート4本。脅威を与えるはずのロボ、レオの2トップは不発だったとも言えるし、周囲が使いこなせなかったとも言える。ロボがポストプレーからレオにはたき、ワンツーのような形でフィニッシュに持ち込めた後半のシーンは、トレーニングでもよく目にするパターンだった。しかし、コンビネーションプレーは数えるほど。2トップが呼吸を合わせなければいけないし、チーム全体として2人だけで崩せる強みをもっと前面に押し出す必要があるだろう。

ロボは知っている。「自分はできるだけゴールに近い位置でプレーしたいと思っている。それが栃木のためになると思う」ということを。栃木のためになること。スタメン、サブ、ベンチ外も含めて全員で考え抜いてほしい。ひとりひとりに必ず答えがあるはずだ。


2010.03.07 Reported by 大塚秀毅
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