3月7日（日）J2 第1節 愛媛 vs 岡山（16:00KICK OFF/ニンスタ）
スカパー！生中継 Ch184 15:50〜（解説：大西貴、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
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愛媛の2010シーズンは3月7日、ホームのニンジニアスタジアムで幕を開ける。愛媛のサポーターなら、誰よりもその雄姿を期待していたであろうFW福田健二の出場は先送りとなってしまったが、それは第2節以降のお楽しみ。彼以外にも、FWなら石井謙伍、中盤では杉浦恭平やドウグラス、さらにDF小原章吾やGK鶴田達也ら新戦力は、故障者を除く5選手とも開幕スタメン、ベンチ入りを狙う状況。即戦力の選手たちを加え、新しくなったユニフォームを身にまとった愛媛FCが、どんなサッカーを見せてくれるのか。まず今節は、その期待を膨らませたい。

こうして、新しい環境の下で、新しいシーズンがはじまる前に期待を膨らませるのは例年通りのことかもしれない。ただ、それだけでなく、開幕に向けて気持ちが高ぶるのは指揮官から発せられるポジティブなメッセージにも影響されていることは間違いない。

「やるべきこと、やりたかったことはほぼできた」と今週、バルバリッチ監督は新シーズンの開幕に自信をのぞかせた。今季の始動後、2月4日の熊本戦を皮切りに、韓国Kリーグのチームや大学生と対戦した8度のトレーニングマッチでは無敗。相手の状態やレベルは様々だったことを踏まえながらも、残した結果を評価した上で「選手たちのサッカーに対する姿勢や共同作業、攻撃性などはよくなったと思う」と準備期間の収穫も語ってくれた。

ただ、最後のトレーニングマッチとなった2月27日、高知大学戦は2−2のドロー。1人がスペースを空ければ、また別の選手がそのスペースに飛び出す攻撃の連動性に関しては新チームのカラーも見えたが、終了間際にコーナーキックから失点。物足りない試合内容にバルバリッチ監督も「気を抜いたり真剣に入らないと相手に支配されてしまう。今後の教訓になった」と厳しい口調で語った。その後、水曜のトレーニングでは「いつも大事だといっているサポーターに、いいサッカーを見せるためには集中して取り組んで欲しい。トレーングで集中を欠いたので警告をした」とゲキも飛ばした。しかし、その翌日には選手がリラックスできるメニューを交えるなど、メンタル面のコンディションにも細心の注意を払いながら、バルバリッチ監督は開幕に向けて選手たちのモチベーションを高めようとしている。

その一方で、アウェイで開幕を迎える岡山はどうか。「キャンプから、戦術以前にスタンダードな部分を高め、戦う集団にすることを心がけたが、選手たちは真剣に取り組んでくれた」と、影山雅永新監督もまた、新チームに対する手ごたえを語ってくれた。そして「サッカーを離れて山登りもした。何のために、といわれるかもしれないが（笑）」と、選手間のコミュニケーションを高める工夫も織り交ぜながらチームの基礎固めを行ってきたことを明かしてくれた。

さらに今季の岡山はキャプテンを置かない方針だが、「複数のリーダーが出てきているので、そのよさを消さないようにしたい」という影山監督の話を聞けば愛媛同様、岡山も開幕に向けてチームの雰囲気はよさそうだ。そして、愛媛にとっては昨季の対戦成績を振り返れば、1勝1分1敗と全くの五分。DF近藤徹志やMFキムテヨンといった、かつて愛媛に在籍した選手が加わったことでさらに嫌な存在となったが、楽しみな対戦相手となったことも確か。また、DF西原誉志やFW出井正太郎と、昨季はファジアーノ岡山ネクストでもまれた愛媛出身選手が評価を高め、開幕ベンチ入りを狙えるポジションにいることにも注目したい。そういった点からも、開幕のこのカードは両チームのサポーターにとって様々な角度から楽しめそうだ。

影山監督は昨季のヘッドコーチで、バルバリッチ監督も昨年の9月から指揮を執っている。その意味では両チームとも「継続」を武器に、新しいシーズンでどれだけチーム力の上積みを図り、ジャンプアップできるかが問われる2010シーズンになる。その下地はこれまでの準備期間で整えてきた。今季のJ2は昨季の51試合から36試合と試合数が減り、1試合の密度は確実に高まる。その濃密なゲームの中で、準備してきた力を発揮することができるか。愛媛にとっても、岡山にとっても、新たな挑戦のスタートとなる開幕戦がいよいよキックオフを迎える。

以上

2010.03.06 Reported by 近藤義博