11月29日（日）J2 第50節 札幌 vs 横浜FC（13:00KICK OFF/札幌ド）
スカパー！生中継 Ch180 12:50〜（解説：野々村芳和、実況：宮永真幸、プレーヤー解説：大森健作、リポーター：藤井孝太郎）
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いよいよラスト２節となったリーグ戦。この第５１節では勝点７５で６位の札幌と、勝点４３で１６位につける横浜FCが札幌ドームで対戦する。札幌にとっては今シーズン最後のホームゲームだ。

この試合は札幌にとって色々な意味を持つ試合と言っていいだろう。２５日に石崎信弘監督の契約延長が正式決定し、この試合は来季に向けての重要なスタートとなる。今シーズンは常に負傷者が多く、今回も宮澤裕樹が腰周辺の痛みで出場が微妙な状況。キャプテンの上里一将も出場停止となっており、石崎監督は「ボランチ（守備的ＭＦ）が手薄になっている」とメンバー構成に頭を悩ませている状況だ。

だが、ここに来て台頭している選手もいる。前節の岐阜戦でプロ初ゴールを記録した岩沼俊介は本来は守備的ＭＦながらも、ここ数試合は左サイドバックとしてチャンスメイクなどで活躍中。「やはりサイドバックが起点になってくれると大きい」と石崎監督。また、ここまで出場機会はないものの、２年目の堀田秀平もアピール中だ。この選手についても石崎監督は「マジメにコツコツやっているから、着実に成長をしている」と評価する。次なるシーズンに向けての土台はしっかりと底上げされつつあるようだ。

前節を振り返ると、敵地で岐阜に４−２のスコアで勝利。２失点は余計だったかもしれないが、ダニルソンが強烈なミドルを含む２得点を挙げたり、ここにきてよりチームにフィットしてきたハファエルが効果的なチャンスを演出するなど、外国籍選手と日本人選手がガッチリと融合を見せている。

一方、横浜FCの方は樋口靖洋監督の契約解除が決定してから最初の試合となる。しかし、だからといって札幌と状況が真逆になるわけではない。前節の試合後、樋口監督は「あと２つしっかり勝って４連勝で締めくくれるように、札幌戦に向けて準備したい」とチーム強化のためにラスト２ゲームをしっかりといい形で終えられるよう、全力を注ぐ構えに揺らぎはない。

そんな横浜FCは前節、駒沢競技場で戦った栃木戦を１−０のスコアで勝利しているのだが、この試合ではチーム全体のメンタル面での成長が見えたと言っていいだろう。
相手の栃木は４−４−２のシステムで堅い守備ブロックを形成し、マイボールは徹底して前線にロングボールを蹴るスタイルだった。それに対し横浜FCは我慢を続け、ミスをすることなく対応を継続し続けた。そして逆に、相手にミスが生まれたところを見逃さず、エデルがきっちりと得点を奪って勝点３を掴み取ってみせたのだ。シーズン中盤まではなかなか安定したゲーム運びを継続することができずにいたが、この試合では局面に応じて的確に対応。大人なゲーム運びを演じてみせた。この試合でも、その流れを維持したいところである。

さて、そんな両チームの対戦。展開を予想するならばやはり、アグレッシブに攻撃を仕掛ける札幌を、横浜FCが我慢強く受け止めるという流れになるはず。ただし、そうした中で札幌は、「エデルの動きには注意したい」（岩沼）と、相手の隙を見逃さないハードワーカーを警戒する。そして石川直樹も「三浦アツ（淳宏）さんのフリーキックには注意したい」と一瞬の気の緩みも許されない試合であることを認識している。どういった展開になろうとも、先の読めない緊迫したゲームになることは必至だ。

さて、この試合のもうひとつの注目点は、今シーズンでの現役引退を表明した札幌の曽田雄志にとっての最後のホームゲームになるということ。地元出身で、札幌一筋の「チームの顔」（矢萩竹美社長）である曽田がいよいよユニフォームを脱ぐ。現時点では試合に出場するかどうかはわからないが、「引退を発表したとはいえ、今はまだ選手のひとり。最後までポジション争いをしたい」と曽田は最後のホームゲームに闘志を燃やしている。そんな闘志を感じに、ぜひ、多くのサッカーファンに札幌ドームへと足を運んで欲しい。

以上

2009.11.27 Reported by 斉藤宏則