11月28日(土)J1 第33節 大宮 vs 柏(17:00KICK OFF/NACK)
スカパー!生中継 Ch181 16:50〜(解説:水沼貴史、実況:田中雄介、リポーター:長友美貴子/桑原学)
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決して名誉な称号でもなければ、ほめ言葉ではない。できればそんな力にお目にかからずにシーズンを締めくくりたいものであるが、昇格以来そんな恵まれた年は一度もなかった。だが、今はなんだかんだとガタガタ言っていられるときではない。不本意な力ではあるが今年もまた見せなくてはならない。大宮が毎年シーズン終盤になると発揮するアレだ。「残留力」そんな言葉、なくったって良いと思うが、またもやその出番がやってきてしまった。勝点4差で迎える第33節大宮対柏戦、一大決戦となることは間違いない。
大宮にとって予想外だったのは、柏の今季初の連勝だ。第30節、柏が山形に敗れ、大宮が浦和に勝利したときはどことなく安堵のムードが漂った。この勝利で山形は残留戦線を少し抜け出した大宮サイドとして、考えるべきは柏より上に行くことだけだと思われた。残り4節、大宮は下位との対戦を残しているのに対し、柏は上位との対戦が目白押し。どう考えても有利だと思われた。だが、違った。その後天皇杯をはさみ、大宮はホームで広島に敗れ、アウェイで山形から勝点1を奪うにとどまった。一方の柏は清水、新潟に連勝。勢いからすれば、柏に分があると見るのは決して不自然ではない。
現状は大宮勝点37、柏は同33。残り2節なので、大宮がこの試合に引き分けさえすれば大宮の残留は確定する。一方の柏は何が何でも勝たなくてはならない。大宮のウリが長年培った守備力であるのに対し、柏は勢いあるサイド攻撃とフランサのクリエイティビティだ。
どちらも、試合展開もメンバーの予想もたやすい。なぜなら、この一年で一番大切な試合に変化球を投げてくることなどしないからだ。大宮は前節のメンバーに藤本主税とラファエルが先発復帰。誤算なのは金澤慎が2試合出場停止だということではあるが、青木拓矢が前節山形戦でリーグ戦初先発にして出色の出来を見せている、「すごく良かった。能力が高い」と藤本が手放しでほめれば、金澤は「最終節の大分戦、僕は先発復帰できるとは限らない」と警戒心をあらわにするほど。世代別代表で注目され続けてきた若武者は、もはや若手のひとりではなく軸として機能するはずだ。柏もこのところ定番となりつつあるメンバーでの4−4−2で臨んでくるはずだ。
だが、その予想を覆すドラマがあるかもしれない。シーズン半ばの6月に柏に移籍した小林慶行の存在があるからだ。先発起用の見込みは低いものの、大宮イレブンの彼に対する思いは小さくない。「今年を象徴するような試合だなって思います。15位のオレたちと移籍したコバ(小林慶)のいるチームが16位でこのタイミングでの対戦。おもいっきりやるだけですけど」と話すのは波戸康広だ。涙ながらに大宮を離れた小林慶とのこのタイミングでの対戦は、ドラマチックとしかいいようがない。
振り返れば05年、シーズン終盤の7連敗をストップさせ大宮がJ1残留するきっかけとなった勝利は柏戦だった。しかも、柏はその後チームを立て直せずJ2に降格。メンバーも入れかわり、当時を知る人間は多くはないが、毎年繰り返される残留争いでそのマインドは受け継がれている。
両チームにとって今季一番の決戦、優勝争いに勝るような手に汗握る試合を期待できるだろう。
以上
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