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【J2:第49節 東京V vs 熊本】レポート:より自分たちのサッカーを見せた熊本が完封。東京Vは内容で上回るも堅守を崩せず(09.11.22)

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11月21日(土) 2009 J2リーグ戦 第49節
東京V 0 - 2 熊本 (17:03/味スタ/4,736人)
得点者:16' 吉井孝輔(熊本)、43' 小森田友明(熊本)
スカパー!再放送 Ch185 11/23(月)15:00〜(解説:北澤豪、実況:桝太一、リポーター:右松健太/中野謙吾)
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高い位置でボールを奪いショートカウンターを狙う東京Vと、ポゼッションしながら引いて守り、DFが踏ん張ってカウンターを仕掛ける熊本。どちらも互いの色を出し合った結果、軍配は熊本に上がった。

それでも、「負けた気がしないと」というGK土肥洋一の言葉は、決して負け惜しみではないだろう。実際、東京Vの選手たちが90分間のうち多くの時間を熊本陣内でプレーしていたことは、ディフェンスラインを高く保つ意図が統一できていた一つの表れ。東京Vのスタイルともいえるポゼッションで主導権を握り、ゴールに迫るシーンも見られた。

勝敗を分けたのは「先制点」(土肥)。
前半16分、DFからのロングボールをつないだ木島良輔からのパスを藤田俊哉が抜け出して受けたところを、東京Vは5人が囲んで食い止めたが、クリアボールを後方から走り込んできた吉井孝輔に鋭く決められてしまった。
「内容が上回っても、やはり先に点を与えてしまっては難しくなる」。最初の1点の大きさを、土肥はしみじみと語る。だが、その一方で「先制されても、決してディフェンスラインを下げたり戦い方を変えたりしなかった。今やっていることは決して間違っていない」と、現在のチーム状態を高く評価もしている。
このように、自分たちのサッカーに自信を持って戦えるようになったこと自体が、松田岳夫監督に代わって最もチームが大きく変わっている部分ではないだろうか。

ただ、ラインを高く保って攻撃的に攻めるが、意図する中盤の高い位置でボールを奪うことがなかなかできず、逆に裏に出されてピンチを招く場面が見られたことも確かである。2失点目のPKも、中盤で取りきれなかったところから熊本のボランチ・吉井にサイドに出され、MF西弘則がエリア内に仕掛けてきたところで与えてしまった。そのあたりが、今後の課題と言えそうだ。

また、得点が入らなかったという点も課題として残った。
2点差を追う後半、松田監督は頭からボランチ・弦巻健人に代えてFW平本一樹を投入し、「守備にリスクがあることは承知の上で、前に人数を増やした」。より攻撃的になったことで、井上平、河野広貴、飯尾一慶、永里源気もさらに流動的に動いてゴールを狙うが、結果として熊本のディフェンスラインを崩すことができなかった。
「ダイレクトパスなどが浮いてしまって、味方がやりにくそうだった。もっとやりやすいパスが出せたら展開も違っていたと思う」(弦巻)
「引いた相手だとスペースがない分、思うようにプレーできなかった。それでもFWはしっかりと枠に入れないといけない」(井上)
「ポゼッションが落ち着かなくて、(井上)平や河野も動き出すタイミングがとりづらそうだった」(永里)
攻撃陣は、それぞれ反省を口にしている。
松田監督も「最後のフィニッシュの部分で相手の多い人数を最終的に崩せなかったというところでは、課題は多い」と語っており、次節・栃木戦(11/29@栃木グ)へ向けての重要な修正ポイントとなりそうだ。

一方、勝利した熊本にとっては、プラン通りのゲームだったと言えるようだ。
北野誠監督が試合前に挙げた、バイタルを閉じてサイドに追い出す守備、東京Vの守備に対してMFとDFの間で前を向く状況を多く作る、のポイントはしっかりと徹底されていたのではないだろうか。
特にここ数試合安定の続く守備面に関しては、この試合でも非常に機能していた。多くの時間、東京Vが押し込んでいたように見えたが、「特に前半は横パスが多くて、あまり脅威はなかった」とDF市村篤司。北野監督の言う「バイタルを閉じてサイドに追い出す守備」という意味でも、「中へスルーパスを通されることもなかった」と、手応えを口にしていた。
熊本は、これで5試合負けなし、2試合連続完封勝利となった。しかし、MF藤田俊哉は「終盤にきて連勝は、負けるよりは良いことだけど、開幕直後の連勝とは違う。この時期での連勝が昇格争いにつながっているようなチームを目指していかなければいけない」と、決して口元を緩めなかった。
海外移籍、元日本代表経験を持つチームの大黒柱は、「来年が勝負」とも語っているだけに、結果以上に残り2試合をしっかりと来季へつながるものとしたいところだ。

東京Vは、松田監督就任後初の敗戦となった。だが、結果こそ出なかったものの、明確な戦い方のコンセプト、自分たちのサッカーへの自信など、チーム自体が良い方向へ向かっていることは明らかと言えるのではないだろうか。初の敗戦を受け、どのようにチームを修正していくのか。松田監督の手腕に注目、期待したい。

以上


2009.11.22 Reported by 上岡真里江
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