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【J1:第32節 清水 vs G大阪】レポート:決めるべきところを決めたG大阪が終始ゲームをコントロールして完勝。清水はホームで意地を見せることができず、トップ3入りも消滅(09.11.22)

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11月21日(土) 2009 J1リーグ戦 第32節
清水 0 - 2 G大阪 (14:04/アウスタ/20,011人)
得点者:14' ルーカス(G大阪)、70' チョジェジン(G大阪)
スカパー!再放送 Ch183 11/23(月)08:00〜(解説:川勝良一、実況:桑原学、リポーター:小野響子)
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ホームの大声援を受けて戦った清水にとっては、非常に残酷な結果であり、試合内容だった。選手たちは現状の出せる力を90分間精一杯出し続けたが、経験値の差を見せつけたG大阪の前に、勝機を見出すことはできなかった。 清水サポーターの壮大なコレオグラフィーをバックにスタートした大一番。清水は2トップに岡崎慎司と原一樹を起用し、枝村匠馬をトップ下に置くダイヤ型の中盤を採用。これまでも、この布陣はG大阪戦で好結果をもたらしており、長谷川健太監督は「この試合に勝つために」と、布陣変更の狙いを言葉少なに説明した。また、最終ラインには岩下敬輔がケガから復帰し、枝村の背後には右からマルコス・パウロ、伊東輝悦、山本真希という守備力の高い3人を配置して、守備面でも強化を図った。 対するG大阪は、ケガで欠場となった橋本英郎の代わりに佐々木勇人が右MFに入り、左サイドバックには昨年まで清水にいた高木和道が入ったほかは、ここ最近のベストな形。そしてキックオフ直後から、両者とも気持ちを前面に出し、鋭い出足を見せて、初めから緊迫感十分のゲームが展開された。

その中でも、序盤の勢いでわずかに上回ったのは清水。前線から最終ラインまでボール保持者に対して積極的にアプローチし、G大阪のパスを前に出させない守備を展開。日本代表から戻ったばかりの岡崎も、激しいチェイスでG大阪のDFラインやボランチにプレッシャーをかけ、G大阪のパスワークに自由を与えなかった。 そうしてボールを奪ってからの清水の攻撃は、縦に速いシンプルなもの。ただ、G大阪のほうも、その狙いは十分に承知のうえで、危険な位置でボールを失わないことと、攻撃から守備への素早い切り替えを徹底。そのため、清水のほうもなかなかつけ入る隙を見出すことはできなかった。 清水の布陣からみれば、ある程度G大阪にボールを持たせながら、カウンター気味に岡崎の動き出しや原のスピードを生かし、そこにG大阪キラーの枝村が絡んでゴールを狙うというパターンが予想された。だが、清水が前から精力的にプレスをかけたこともあって、序盤からそのようなシーンはあまり見られなかった。

そして、G大阪が先制点を奪ったことによって、これまでの両者の戦いとは違う流れが、より強調されることになる。
立ち上がりに比べてG大阪が徐々にパスをつなぐ本数を増やし始めた14分、細かいパスの出し入れで右センターバックの岩下を前に引っ張り出し、その裏に高木が左から浮き球のパス。これでゴール左に飛び出したルーカスが、ワンタッチでうまく児玉新をかわし、左足できっちりとゴール右にコントロールした。G大阪のチャンスらしいチャンスは、これが初めてだったが、それをきっちりと決めてみせた。
それに対して、反撃に出た清水は、17分に伊東の右クロスを枝村が頭で落とし、岡崎が飛び込んでシュートするが、ここはGK藤ヶ谷陽介に阻まれる。33分にも、右クロスを岡崎が粘って後ろに落とし、枝村がシュートを放つが、大きくふかしてしまう。このあたりは、前線にトライアングルを作った効果が発揮されていたが、限られたチャンスを生かせるか生かせないかの差は、勝敗を大きく分ける要素となった。

また、リードしたG大阪は、それまで以上にリスクを抑える戦い方にシフト。その中では、本来センターバックの高木を左サイドバックに起用したことが奏功し、ハイボールではヨンセンを欠く清水に対して完全に優位に立ち、岡崎にクサビが入った場面でもDF陣とボランチでサンドイッチして、味方につながせない。原が積極的にドリブルを仕掛けた場面でも突破を許さず、清水の攻め手をきっちりと封じた。
G大阪は、DFラインは多少下がったものの、中盤もそれに合わせて下がり、コンパクトな守備陣形は維持。それによって清水がボールを持つ時間は少し長くなったが、逆にG大阪がカウンターを仕掛ける場面も増えていった。 後半に入っても、その流れは大きく変わることなく、清水はサイドチェンジを増やして何とかG大阪の手堅い守りを攻略しようとしたが、クロスやセットプレーでは高さで勝てない。そのセカンドボールもなかなか拾えず、厚みのある攻撃でG大阪を消耗させることもできなかった。
清水としては、この展開を変えるには何とかゴールを奪うしかなかったが、その中で浮き彫りになったのは、大一番での『落ち着き』の差。「1人1人の経験の差を感じる。落ち着きが全然違う」と昨年まで清水でプレーしていた高木が振り返ったように、G大阪は守備の比重を高めた戦いの中でも、コントロールすべきところはきっちりと自分たちでコントロールした。

逆に、チーム自体の調子が多少落ちている今の清水には、じっくり時間をかけてさまざまな工夫を試みながら攻め崩す余裕はない。中盤や前線の選手が自由な動きを繰り返しながらスペースを作り、そこを突いていくという好調時の攻め方もあまり見られない。それでも後半8分に、山本真の右クロスに枝村が頭から飛び込むなど、少ないながらも惜しい場面はあったが、ゴールにはつなげられなかった。 そんな中で、25分にGK西部洋平のミスも絡んで途中出場の元清水 チョ・ジェジンに2点目を決められ、さらに清水は苦しくなってしまう。最後は、前線に長身の永井雄一郎(25分〜)と長沢駿(33分〜)を投入し、シンプルなクロスから攻撃を試み、191cmの長沢に2、3度良いボールが入ったが、これも決定的なシュートにはならず、ノーゴールのままタイムアップ。終わってみれば、試合巧者ぶりを発揮したG大阪の、予想以上の完勝劇だった。

清水はこれで4連敗となり、暫定の6位に転落。優勝の可能性が消えただけでなく、3位以内に入ることもできなくなった。ただ、ACL出場の可能性を少しでも高めるには、何としても4位には入らなければならない。「何とかあと2試合でエスパルスの意地を見せたい」と長谷川監督は最後に語ったが、天皇杯準々決勝(12/12@アウスタ vs新潟)に向けても、そこだけは絶対に譲れないところだ。

以上

2009.11.22 Reported by 前島芳雄
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