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【J1:第32節 山形 vs 大宮】プレビュー:残留が確定していない2チームが直接対決! “勝ち抜け戦”を制するのは山形か、それとも大宮か?(09.11.20)

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11月21日(土)J1 第32節 山形 vs 大宮(14:00KICK OFF/NDスタ
スカパー!生中継 Ch363 14:00〜(解説:金田喜稔、実況:土井敏之、リポーター:新井麻希)
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大分に続いて前節では千葉が力尽き、J2降格枠は残りひとつとなった。最短距離にいる柏の勝点は30。その柏と勝点7差の13位・山形と6差の15位・大宮が今節で対戦する。

両チームとも3節を残す現時点でJ1残留を確定させていない。しかし、山形は勝てば残留が決まり、大宮が勝てば残り2試合で勝点6差以上が確保され、得失点差で柏を大きくリードする状況を考えれば、こちらも残留はほぼ決定的となる。残留へ向けた勝ち抜け戦の様相を、この試合は呈している。ただし逆のケース、勝点が奪えなかった場合はどうか。山形は名古屋、横浜FMと前回で勝点を奪っている相手との対戦が残っているが、J1初挑戦、残留争いも初めて経験しているだけに、終盤までもつれる展開は避けたいところ。過去4シーズン連続で残留争いを生き抜いてきた大宮にしても、連敗し勝点3差に迫られたなかで次節、柏との直接対決を迎えるケースは望ましくない。連勝で勢いのついた相手と対峙する難しさは推してしるべし。他力、つまり柏がつまずくことで残留確定を得るケースもないわけではないが、そうしたメンタリティはサバイバルに相応しくない。ましてや、崖っぷちから一転、前節で5−0のワンサイドゲームで清水を撃破した柏の戦いぶりは、最終節までのパンチアウトをも予感させ、追われる身でもある両チームを少なからぬプレッシャーの世界へと誘い始めている。一刻も早くこの状況を打破するためにも、今節の勝利は必須だ。

「自分たちが勝てば(残留が)決まるという状況なので、それは生かしたいですよね。前節(鹿島戦)もそうでしたけど、ホームでそれが巡ってきたのでチャンスは逃さないようにしたい」というキャプテン宮沢克行の言葉は、すべての山形関係者の気持ちを代弁する。天皇杯3回戦の明治大戦ではJ1チームとして初めて大学生に屈し、J1リーグ戦に戻り前節・鹿島戦ではシュート0本という記録をつくるなど、最近はマイナスイメージの話題づくりで注目されてきた。チームはさぞ精神的に厳しい日々を過ごしているかと心配する向きもあるが、両試合ともすでにビデオミーティングを終え、ゲーム内容の分析・整理も済み、次なる課題へ向けて切り換えている。プレー精度を高めるためのいつものトレーニング、いつものサイクルにもすでに戻り、決戦に集中できる環境は整っている。

鹿島戦では小林亮が全治6カ月の怪我を負い長期離脱となったが、右サイドバックには宮本卓也が戦列に復帰。さらに、体調不良のレオナルドに代わって石井秀典がJ1のピッチに戻る。クラブとしてJ1初挑戦となる今季、負傷者続出のセンターバック陣のなか、ひとりで踏ん張ってきたが、6月13日のヤマザキナビスコカップ神戸戦後についに離脱。5カ月という長いブランクを要したが、「サッカーから思いきり離れたということもあるし、チームにも迷惑をかけたというのもあるので、そういう気持ちを持って、自分にできることを精一杯やりたい」と石井は復帰戦に向けた闘志を静かに燃やしている。

大宮も天皇杯は3回戦で敗退しているため、公式戦は2週間ぶりとなる。前節は広島をホームに迎え、0−1の敗戦となった。「1人少なくなるまでハードワークして、プレッシャーをよい形でかけてカウンターという、自分たちのペースでゲームが出来ていた」(江角浩司)ゲームだったが、金澤慎が2枚目のイエローカードを受けた58分以降は10人での試合を強いられ、さらに右サイドバック土岐田洸平が負傷し、交代するまでの隙を突かれる形で87分、槙野智章に決勝点を打ち込まれ敗れている。広島が守備的な戦いをしたこともあるが、シュートを6本に抑えていただけに、悔しさが残る敗戦だった。

この一戦に臨むにあたり、山形との最大の相違点を挙げるならば、「前回0−3で負けているのでリベンジしたい」(橋本早十)という気持ちがあることだ。ホームで戦った第8節は前半1分と13分に失点し、終盤にはPK弾を喫した。セットプレーを含めて決定機もつくれていたが、山形のGK清水健太の好反応に得点を阻まれている。その強いリベンジの気持ちが、相手を蹴落とす必要がある直接対決では、動かない足を動かすエネルギー源になる。

両チームとも「勝ちにいく」試合ではあるが、展開は非常に読みづらい。トータルな得点力がともに高くないことを考えれば、ロースコアで推移する可能性は高いが、「失点は避けたいが主導権は握りたい」チーム同士の対戦だけに打ち合いも守り合いも予想され、大きな振り幅のどのあたりに落ち着くのかは蓋を開けてみなければわからない。

ただ、相手の最終ラインの裏は互いに狙いどころとなる。山形は右サイドハーフの宮崎光平が中へ絡んでいくことを好むが、攻撃に切り換われば基本的にサイドハーフは外へ広がる。一方、大宮は中盤をボックスにし、サイドバックを上げることでポゼッションを図ろうとする。同じ4−4−2ではあるが、システム的なギャップはある。切り換えで上回れば攻撃側はスペースを突いて数的に有利な状況をつくり、フィニッシュシーンに持ち込むことも可能だ。その際、ともに足元が巧みな山形・長谷川悠、大宮・ラファエルの長身フォワードを活かすことができれば、それはさらに確実なものとなる。どちらもボール保持する時間はつくれそうだが、勝負を決めるのは訪れた決定機で決め切れるかどうか、という部分。その大きな要素となるセットプレーでは、山形・西河翔吾、大宮・マトとヘッドで確実に折り返せる選手がいるだけに、それを絡めた攻め方、守り方もポイントになる。

Jの世界に身を置くクラブは、この先何年、何十年と浮き沈みを繰り返していく。山形や大宮もその例外ではない。この1試合がクラブの運命すべてを決めてしまうわけではないが、大事な1試合を積み重ねたそのものが歴史を形づくる。何に邪魔をされようとも、譲れる試合ではない。

以上


2009.11.20 Reported by 佐藤円
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