スカパー!生中継 Ch181 16:20〜(解説:外池大亮/菅野将晃、実況:吉岡秀樹、リポーター:難波紀伝/児玉美保)
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★スカパー!×ELGOLAZO×J's GOAL J2シーズン表彰2009★
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■リーグ戦上位クラブ 直近3節の試合結果と次節対戦相手
第46節 | 第47節 | 第48節 | 第49節 | 第50節 | |
甲府 | ●0-1 横浜FC | ○2-1 鳥栖 | ●1-2 福岡 | 湘南 | 岡山 |
湘南 | ○1-0 鳥栖 | ●0-1 熊本 | △2-2 東京V | 甲府 | 草津 |
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☆湘南側プレビューはこちら
「どっちでもない。ウチが苦手にしているのは明治大学くらいだ」と、反町康治監督が囲み取材で記者を笑わせた。「甲府に対する印象は苦手か得意かではどちらに近いのか」という質問に対しての答えだが、本心を簡単に晒さないから意味のない質問になってしまった。お互いに下位や中位のチームに負けているので、どことやっても難しいというのが現実。しかし、担当レフリーの特徴まで詳しく分析して臨んでくる監督なので、甲府にとって本当にやり難い相手。追い詰めたと思ってもへこたれるチームではないし、最後の最後まで諦めないで挑んでくる。内容で優位に立つことが出来たとしても、セットプレーやカウンターでそれをひっくり返しにくる。こういうチームに簡単に勝つ方法は無い。しかし、FCバルセロナと戦うわけじゃない。勝てる相手。それも17,000人に膨らむホーム小瀬が背中を押してくれる。恐れることも奢ることもなく、やるべき戦いを直向にロスタイムが終わるまでやり続ければ想いは叶う。
山本英臣とダニエルと3−5−2の3バックの2枚を出場停止で欠く甲府が苦しい台所事情であることは事実。しかし、それを苦にするようでは勝てる訳が無い。どうなるのか凄く心配した時期もあったが、今週の練習を見ていると「充分にやれる」と選手は思わせてくれた。安間貴義監督は「(対策を考えるのが)楽しみなだけ」と天皇杯の清水戦後(4回戦)に話していたが、その通りになりそうな気がする。一時期はケガ人が多かったが、その多くが戻ってきており安間監督の選択肢は狭くは無い。ただ、湘南も山本とダニエルを欠く甲府の守備力が大きく下がるとは思っていない。田原豊は「代わりに入る選手のモチベーションは上がるし、結束するからチームワークはよくなる。油断はしない。相手を尊重してやる」と、物凄く賢く冷静な考え方でいる。これが反町監督の受け売りなのか田原自身の言葉なのかを聞く根性は無かったが、ヤンチャ星からやってきたストライカーだと思っていた田原のイメージとは違っていた。甲府が最終節(京都戦)で3位に滑り込んだ2005年の田原とは随分違う。このことを京都で同僚だった横浜出身(湘南ユース)の関西人・美尾敦に告げ口すると「アイツ(田原)は、素直でええヤツやで。勉強は出来るタイプじゃないけど(笑)」と言う。記録を見ても第1クールの甲府戦で退場になった他では、イエローカードは1枚だけ。もうちょっとの運と我慢でフェアプレー賞でも貰えそうな勢い。リンコンを補強したけれど湘南の選手で代わりが効かない選手のひとりが田原。反町監督によればシュートが相手チームのスローインになることもあるそうだが、常識では測りきれない能力に恵まれている選手だけに甲府の守備陣が粘り強く田原を抑えることは物凄く重要になる。
甲府の攻撃陣は、FW登録選手だけで1チーム出来そうなくらいの選手構成なので総攻撃システムも可能だが、軸はマラニョンと金信泳の2枚。マラニョンは「満員のスタジアムを見るのが楽しみ。多くのサポーターが来てくれればモチベーションが上がる。湘南はセットプレーでもゴールを狙ってくるから、そこまでしっかりと防ぐことが大事になってくる。攻撃ではしっかりと動いてマークを外してシュートを打ってゴールを挙げたい」と積極性を誓い、金は「安間(監督)さんのアドバイスを受けて自信を持ってプレーが出来るようになっている」と自信と落ち着きをいいバランスで保っている。夏場の金は体力不足が目に付いたが、秋以降は運動量が落ちることなく、もう少しシュートの精度が上がればコリアン・ボンバー(金度勲・元神戸)の称号を継承出来そうな勢いだ。最近ではお洒落なプレーもする。J1でプレーをするという夢もある。彼をマークしなければならない湘南の選手は大変だと思う。湘南のマッスルマシーン・村松大輔は「今の甲府は(パス回しで崩そうとするよりも)FWが勝負してくるので楽しみ。1対1は得意」と言っていたが、この対決は見所になる。でも、今の金はバレーの1割引くらいのミドルシュートもあるので、完全に抑えることは出来ないはずだ。ベンチでは左足にRPG-7を仕込んだ甲府のコブラ・片桐淳至も「早く出せ」と対戦車ロケットのようなシュートを打ちたくてうずうずしてケツを浮かせている。
今節は昇格争いの最後のうねりを決める戦いになるが、全てではない。最後の最後で流れが変わり、最終節・第51節で決まる可能性も充分ある。明日、望んだ勝点を手に出来なくても残り2試合で相手がダメージを負うような戦い方が必要になる。ダメージとは、出場停止一歩手前の選手がカードを貰ってしまうほどの積極的なプレーをすること。甲府はジャーン相手にどんどん仕掛けてプレッシャーを掛けることが必要。こういう強かさでは湘南に分がありそうな気もするが、甲府が小瀬のサポーターの声援を背中に受けて戦えば、結果としてそれ以上のことが出来る。湘南が11年ぶりのJ1復帰を願い想うのなら、甲府はJ1で鹿島やG大阪や川崎Fを倒した甲府スタイルの挑戦を更なるレベルアップで再現したい。あの情熱は素晴らしかった。しかし今度は探検ではない。J1の下のほうに引っ掛かっているだけのクラブになりたいのではなく、弱点を指摘されようとも山梨にヴァンフォーレ甲府を根付かせた情熱と誇りの原点となった、ボールを大事にし、主導権を取って戦う甲府スタイルを思う存分発揮してもっと勝ちたい。今年はその想いを封印してでも昇格に賭けているだけに、そのボーナスを逃すわけにはいかない。想いの強さは年数ではない、最後は情熱の強さだ。人口が20万人に満たない甲府市にあるクラブは平均で1万人を超える観客動員を誇るクラブに成長した。サポーターと選手の想いを一つに束ねた情熱で湘南を倒す準備は出来ている。
以上
2009.11.20 Reported by 松尾潤