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【国際親善試合 南アフリカ vs 日本】レポート:不発の新システムを、中村俊輔の投入で改善。ボール支配率は高まるが、得点は奪えず。勝ち切る強さを出せなかったという点で不満の残る試合となる。(09.11.15)

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11月14日(土) 国際親善試合
南アフリカ 0 - 0 日本 (22:30/ネルソ/人)
■SAMURAI BLUE(日本代表)今後の試合スケジュール
AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ
11月18日(水)19:30(日本時間)/香港・香港スタジアム
香港代表 vs SAMURAI BLUE(日本代表)
※この試合はNHK-BS1にて全国生中継

日本代表特集
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 細かい評価は別として、試合がああしたものになってしまった最大の理由は、中村俊輔の不在と、それに伴う新しいフォーメーションへのトライにあった。岡田監督は、疲労が懸念される中村俊との面談で先発起用を断念。その判断に伴い、「自分たちのオプションを増やすという意味でのチャレンジ」として、慣れ親しんできた4-4-2のフォーメーションではなく4-3-3を試す事となる。

 日本が新しいシステムを試す一方で、南アフリカはパレイラ監督体制下での初めての試合であり、明らかにチームとしての完成度で見劣りする内容となる。組織的なコンビネーションは皆無といってよく、攻撃はカウンターからのものに限定されていた。お互いに新しい状況を経験しており、そういう点で試合が難しいものになる下地は存在していた。ただ、それにしても日本は4-3-3というシステムを消化する事ができなかった。3トップの頂点に位置する岡崎慎司に対し、その岡崎を両翼からフォローする大久保嘉人と本田圭佑との距離感や、彼らをフォローする2列目以降とのコンビネーションは低調なものに終わった。

 この試合を試合をベンチから見ていた中村俊は「4-3-3でやって、前の3人が流動的に動きすぎて(大久保)ヨシトも本田も中に来ていた」事がまとまりのない攻撃の要因であると指摘。それに対し、実際にピッチでプレーしていた遠藤保仁は「前を孤立させないように」意識しており「CB2枚とイナ(稲本)が残っている」という約束事を背景に「できるだけ前に行こうと思っていた」と言う。その遠藤と共に、前線に絡む動きを意識していたという長谷部誠は「前に人がいなかったので、岡崎が一人になっていた。ボールの収まりどころがなかった」と試合を振り返り、4-3-3のフォーメーションが機能不全を起こしていた事を認める発言を残している。

 この日の日本代表に発生していた問題は、トップの岡崎に対し、彼をフォローする選手同士の距離感にその原因の一つを求める事ができそうである。前線でボールが収まらないという点。つまりはコンビネーションの欠如は厚みのある攻撃の実現を阻害し、それにより、日本が完成を目指しているサイドからの攻撃にも問題が波及する事となる。

「展開が速かったですね」と口にする内田篤人は「ボールを奪ってから前に行くんですが、3列目が出て行けなかった。そこは時間を作ってほしかったです」と攻撃参加のための時間のなさを指摘。またこの問題については闘莉王も「途中から急ぎすぎてしまい、そこで奪われてカウンターを受けてしまっていた」と反省していた。

 大久保は自ら仕掛けられるという点、そして攻撃にスピード感を出せるという特徴を持つ選手である。また本田に関してもペナルティエリア周辺で前を向いた時に可能性を感じさせられる選手であり、共にタテへとボールを運べる選手という点で共通のスタイルを持っている。そしてそれが、攻撃が「急」のみに偏った要因であり、ひと呼吸置くという意味での「緩」を作り出せなかった原因だった。中村俊の不在時に、いかに攻撃のリズムに緩急をつけていくのか。大きな課題が露呈した形である。

 岡田監督はそうした問題点を前半40分ごろの4-4-2へのフォーメーションチェンジによって解消させる。まず大久保がポジションを一つ上げ、岡崎と2トップを形成。稲本潤一のパートナーとして長谷部がポジションを一つ下げ、ダブルボランチに。遠藤がサイドへと開いた形となり、本田と両翼からの攻撃を意識する形になる。中村俊に言わせると「4-4-2でいままでやってきて、土台を作ってきたわけだから、阿吽の呼吸じゃないけどそういうのはあるし、誰が何をして、だからこのタイミングで何をするというのもわかっていた」という形となったわけである。

 ポジティブに捉えれば、4-3-3での問題点が明らかになったという収穫があったという事になるのだろうし、4-4-2に戻した事で攻撃面でのバリエーションが増えたという事実から、4-4-2での熟成が進んでいる事を改めて示した形である。日本代表は後半の59分に本田と稲本に代え、中村俊と松井大輔を投入。フォーメーション的にも、選手の特性としても、緩急をつけられる形へとシフトする事となり、実際にペースは変わる事となる。

 明らかに連携不足の南アフリカは、守備に枚数をかけており「相手は4-3-2-1みたいな形で、人はいた」(内田)という状況にあった。だからこそ、ボールは持てていた。しかしそれが攻撃面で効果的な状況を生み出していたのかというと、そうではなかった。岡田監督は「前半に関しては我々はアウターゾーン(南アフリカのプレスがかからない安全な地域)でしかボールは回らずに、インナーのトップ(南アフリカの守備網の中)に、孤立したトップ(主に岡崎)に入って取られる、というパターンで。これは我々の戦い方ではなかった」と前半を総括。それに対し後半は「ビルドアップのところを修正できた」と評価。その時間を長くしていく事でチャンスを作り出して行きたいと述べている。

 効果的なパスワークができていたのか、それとも回させられていたのかの違いはあるが、いずれにしてもボール保持率に関しては日本は高い数字を残している。だからこそ、得点がほしい試合だった。世界の強豪国は、こうした試合でも確実に勝ち星を拾える勝負強さを持っている。そしてそれが世界の強豪国としての地位をもたらしているのだとも言える。日本がそういう地位を目指す立場である以上、こうした試合でも勝ち星を手にしてほしかった。試合前日に松井が口にしていた「どんな相手であっても勝ちたいですし、勝ち慣れたチームになりたい」という言葉を現実のものとしてほしかった。

 得点する事ができなかった攻撃に対し、守備に関しては「非常にディフェンスラインは安定してきたという実感」(岡田監督)を得られており、またW杯開催国で、ホストカントリーと対戦するという経験を含め、いくつかの収穫はあった。あとは、ワンチャンスをものにする力強さをどのように出すのか。勝ち切る事ができないという課題をどう克服していくのか。残された時間は長いようで、短い。

以上

2009.11.15 Reported by 江藤高志
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