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【第89回天皇杯4回戦 清水 vs 甲府】レポート:どちらも試すべきことが多かった一戦。フレッシュな2トップが結果を出した清水が、甲府に快勝(09.11.15)

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11月14日(土) 第89回天皇杯4回戦
清水 3 - 0 甲府 (13:03/とりスタ/3,288人)
得点者:33' 原 一樹(清水)、49' オウンゴール(清水)、55' 長沢 駿(清水)
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結果がもっとも重要だった清水にとっては、3-0というスコアは十分な結果。試合内容に関しては、両者の置かれている立場が微妙に絡み合い、お互いに100%のパフォーマンスが出せたとは言えないが、どちらも多くのことを確認することができた。

スタメンは、両チームともいつものメンバーから5人を欠く状況。その中で清水は、公式戦初先発となる191cmの長沢駿とスピードのある原一樹という2トップをチョイス。中盤の両ワイドにマルコス・パウロ(右)、藤本淳吾(左)と攻撃陣を入れ替え、守備陣は変化を最小限にして、守備の立て直しを図った。
一方、甲府は、リーグ戦で次の湘南との昇格決戦(11月21日(土)@小瀬)で山本英臣とダニエルが出場停止となるため、DFラインをどう組むかという部分をテストする必要があった。そこで選んだのが、3バックではなく、右から杉山新、秋本倫孝、津田琢磨、池端陽介という4バック。また、マラニョン、金信泳、林健太郎、石原克哉といった主力を休ませ、山本をボランチに上げて、移籍後初出場となるウェベルトンとのコンビに。そして前線は、右から大西容平、森田浩史、片桐淳至の3トップで臨んだ。

そんな中で、どちらも出場のチャンスを得た選手たちが立ち上がりから気持ちの入ったプレーを見せたが、お互いに少しミスも目立って、なかなか本来のリズムは出てこない。ただ、清水のほうは、リーグ戦前節・柏戦の大敗で課題となっていたDFラインの低さという部分は、かなり改善され、中盤の4枚とDFの4枚で清水らしいコンパクトなブロックを作り、中央の森田や藤田健のところでなかなか起点を作らせなかった。
そのため甲府の攻撃は、自然にサイドに偏ったが、ここでも清水が落ち着いて対応してチャンスを与えない。「1人1人の距離も良かったし、ボールを奪う位置も良かった」と、ボランチの本田拓也も手応えを口にする。甲府の攻撃が「今日は裏に抜けるのが速い選手がいなかったので、一発(の速攻)に関しては停滞してしまった」(山本)と、甲府に一発の恐さがあまりなかったこともあったが、ブロックを整えた状態での守り方には、良いときの安定感がある程度戻っていた。

だが、攻撃に関しては、清水のほうももうひとつ。甲府の急造4バックは、ギャップができやすく、バイタルエリアにもスペースができて、2トップへのクサビもよく入っていたので、そこからのパスに工夫や精度があればもっと崩せたはずだった。だが、それを思うように表現することができず、シュートまで至る場面を多く作ることができない。逆に言えば、最後のところでは甲府の守備陣が身体を張ってよくしのいでいた。
ただ、セットプレーでは清水が優位に立っていた中、33分の藤本の左CKから原が中央にフリーで飛び込みヘディングシュート。これがきれいに決まって、どうしても欲しかった先制点を奪うことに成功した。
さらに後半4分には、またしても藤本の左CKから甲府にミスが出てオウンゴールとなり、2-0。先制されても粘り強く戦っていきたかった甲府には、この2点目が重くのしかかった。

その後は、前半に比べてオープンなサッカーとなり、どちらも攻撃のリズムが徐々に良くなっていく。甲府が攻めてきたことで、清水もカウンターの場面が多くなり、10分には市川大祐のアーリークロスから、長沢が高さを生かしたヘディングシュートで、うれしいプロ初ゴール。これで清水がリードを3点に広げた。
こうなるとリスクを冒して攻めるしかなくなった甲府が、20分に井澤惇と畑田真輝の若い2人を同時に投入し、前に人数をかけて攻めていく。これで攻撃に厚みと迫力が増し、清水を押し込む時間が長くなったが、3点のリードで余裕の出た清水守備陣は、落ち着いてゴール前を固めて良い位置からのシュートを打たせない。甲府はミドルシュートで何本か惜しい場面があり、1本はクロスバーを直撃したが、結局はゴールを割ることができなかった。
清水のほうも、永井雄一郎(18分)、高木純平(27分)、辻尾真二(41分)と攻撃の駒を試していき、43分には高木と永井のコンビネーションでPKを獲得。だが、藤本のキックはGK阿部謙作に止められて、3-0のままタイムアップの笛を迎えた。

甲府は急造布陣で3点を奪われたものの、いずれも修正は可能なもの。J1との対戦で課題が明確になりやすかったことは、この試合の収穫のひとつだろう。
清水のほうは、原と長沢が結果を出し、守備でも良い感触が戻ってきたことは大きな収穫。来週は、清水はG大阪(11月21日(土)@アウスタ)と、甲府は湘南との大一番を迎える。両チームとも、この試合で得たものを次につなげられるか、大いに注目していきたい。

以上

2009.11.15 Reported by 前島芳雄
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