11月14日（土） 第89回天皇杯4回戦
鹿島 2 - 1 神戸　（15:04／カシマ／4,033人）
得点者：48' 石櫃 洋祐（神戸）、55' 野沢 拓也（鹿島）、88' ダニーロ（鹿島）
☆天皇杯特集
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お互いに日本代表への招集や負傷で、主力選手を欠きながらの対戦となったこの試合。いつもとは違う布陣になることから、神戸の三浦俊也監督でさえ「どのような流れになるかは、ちょっと予想がしづらい部分もあるゲームだった、というのが個人的な最初の先入観でした」と、述べたほど。
実際、前半は圧倒的に鹿島が試合を支配したが、後半早々に神戸が先制点をあげる予想外の展開。しかし、終わってみれば鹿島が逆転勝ち。リーグ戦の順位通りの順当な結果となった。

午前中に激しい豪雨に見舞われたカシマスタジアム。しかし、試合開始前にはその雨も止み、薄日が差す中でキックオフを迎えた。
試合開始直後からペースを握った鹿島。今季初先発となった田代有三が、前線で圧倒的な存在感を放つ。2分、左サイドのパク・チュホからのセンタリングをすらし、逆サイドから走り込んだ増田誓志の決定機を演出する。7分には右サイドを抜け出した野沢拓也のセンタリングに飛び込み、さらに10分には増田のクロスを落として野沢のミドルシュートを引きだした。
神戸のディフェンスが身体を投げうってシュートを阻止するなど、ゴール前での集中力を見せたため得点には到らなかったものの鹿島の攻撃が目立った。

その後も攻め立てる鹿島は前半3度の決定機を迎えたが、いずれもものにできない。
27分、高い位置でボールを奪ったマルキーニョスがGKと1対1となるチャンスを迎えるが、背後から現れた宮本恒靖のクリアにあいシュートを放つことができない。また、34分にはゴール右からのやや距離のあるフリーキックから田代が頭で合わせるも、徳重健太が横っ飛びして枠外に弾き出すスーパーセーブ。さらに、38分にはペナルティエリア内で田代が倒されたが笛は鳴らず、結局前半はノーゴールに終わる。

試合が動いたのは後半開始早々だった。
47分に、左からのクロスを茂木弘人がシュート。曽ヶ端準の間一髪のセーブで防がれたものの、直後のコーナーキックで小林久晃の折り返しを再び茂木がシュート。惜しくもポストに弾かれ左サイドに転がっていったが、そこにいたのはコーナーを蹴った石櫃洋祐。鹿島の選手が間合いを詰めるのが遅れると、思い切って右足を振り抜きゴールに突き刺さる先制点をあげた。
「とりあえず浮かさないように打ちました」と石櫃。子供が生まれた直後の試合ということもあり、ゆりかごダンスで喜びを味わった。

いい流れで来ていたなかで、相手に先制点を許す嫌な展開。しかし、鹿島の選手たちに焦りは見られなかった。失点から7分後の55分、右サイドにいた野沢からゴール右にいたマルキーニョスへパス。マルキーニョスが走り込んできた野沢にヒールパスを出すと完全にフリー。右足を一閃すると鋭いシュートが神戸ゴールに吸い込まれた。
「失点して焦るかなという思いもあったけど、すんなり同点に追いつくことが出来た」
右サイドバックとして出場し、攻守に活躍した増田は慌てることがなかったことを評価した。

しかしこの後、前半から飛ばした鹿島の足が徐々に止まり、70分までに吉田孝行、楠瀬章仁を投入しボッティをトップ下に置いた神戸がペースを握る。
「吉田孝行が出た前後からボッティを真ん中に置いてからは、完全にこちらのペースになって、これは十分にやれると。鹿島の足もやや止まりはじめていたので、この時間帯で取れればいけるかなと思いました」
三浦監督も主導権を握りつつあることを感じていた。しかし、80分過ぎに左サイドで楠瀬がシュートチャンスを迎えるもトラップミスでシュートのタイミングを逸してしまうなど、追加点が奪えない。
すると88分、FKからダニーロがヘディングシュートを決め、土壇場で鹿島が逆転。そのまま逃げ切り、公式戦では6月末の大分トリニータ戦以来の逆転勝利で準々決勝へ駒を進めた。

試合後、「4人も変わった中での勝利ということに関しては、チームにとっても非常に大きな意味を持つ勝利だと思います」と、選手たちを讃えたオズワルド　オリヴェイラ監督。天皇杯だけでなく、リーグ戦にも弾みを付ける勝利となった。

以上

2009.11.15 Reported by 田中滋