スカパー!生中継 Ch179 15:50〜(解説:西村昭宏、実況:三宅きみひと、リポーター:藤原美佳)
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■リーグ戦上位クラブ 直近3節の試合結果と次節対戦相手
第45節 | 第46節 | 第47節 | 第48節 | 第49節 | |
鳥栖 | △1-1 仙台 | ●0-1 湘南 | ●1-2 甲府 | 徳島 | 岡山 |
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今季ホームで戦うのはあと2戦。それを考えれば言うまでもなく今節は負けられない戦いだ。絶対に勝利を譲るわけにはいかない。しかし、結果へのこだわりは持ちながら、それだけを追いかける一戦でないのもまた今節の事実─。
「目の前にある課題と向き合いながら成長するための努力を継続し続けたのが今シーズン」(美濃部直彦監督)であっただけに、徳島にはその取り組みの成果を充実の内容という形でしっかり表現することも求められると言えよう。
そうした観点から見れば、今節の徳島が最も意識すべきは組織としての一体感であろう。選手全員が90分間攻守両面において共通の理解と狙いを保持し、労を惜しまず連動性のある動きを続けること。それこそが手にしたい結果と内容に繋がるのはきっと間違いない。
事実、前節までで3戦連続完封を見せている守備の安定はそれから生まれている。攻から守へと状況の切り替わった瞬間、DFラインがリーダー・三木隆司を中心にマーカーへの注意を配りながら素早くブロックを形成すれば、その前の青山隼や倉貫一毅も2列目の相手を捕まえるとともに巧みなポジショニングで中央エリアをケア。さらには両翼の六車拓也と柿谷曜一朗も献身的に帰陣してサイドのスペースを埋めつつ、ボール奪取の機会を虎視眈々と狙っているのだ。まさに意志統一の図られた一体感のあるチーム守備。積み上げられた進化が伝わってくる守りと言っていいだろう。
ただその反面、攻撃にはまだそれが不十分と言わざるを得ない。特にボールを奪った後すぐのプレーには何かズレが感じられ、前への早さを出そうとする選手と一旦落ち着かせようとする選手が場面場面で混在。攻撃の歯車が微妙に噛み合っていないのが現状である。実際に前々節・C大阪戦ではそうしたズレからファーストパスのミスが多発し効果的な仕掛けをほとんど見せられなかったし、前節の栃木戦でも意図の合わないロングボールが何度も見られるなど苦しい状況に陥ってしまっていた…。
となればやはり、守備のような一体感を攻撃でも出すことが徳島にとっての大きなポイントであるのは間違いない。この一戦で結果を得るためはもちろんのこと、今季の成長を自ら手応えとして掴み来季への基盤をより頑丈なものとするためにも、チームはピッチ上でその部分を向上させるいっそうの努力を重ねなくては。
また加えて言うなら、今節対するのが鳥栖であることがさらにそれの必要性を強める。
鳥栖は昇格争い生き残りのヤマ場と思われた前々節・前節に連敗。それによってまだ数字上の可能性こそ残るものの非常に厳しい立場へと追い込まれた。それだけにチームがそこで受けたショックは小さくなかったことだろう。しかもその直後、鳥栖にはさらなる激震が走る。5年(うち2年はヘッドコーチ)にわたって選手たちを引っ張ってきた情熱溢れる指揮官・岸野靖之監督が来季の契約を行わないことが発表されたのだ。とは言え、結果として、この激震が選手たちに前節までの連敗ショックを振り払わせることになったようで、岸野監督の花道を飾ろうとこれまで以上の団結力を発揮したチームはその後10月31日の天皇杯3回戦でJ1・広島を撃破。見事な金星を挙げた。
それからも分かるように、今の鳥栖が一枚岩と言えるまとまりを纏っているのは疑いの余地なく、それを打ち破るには彼らを上回る一体感が求められよう。
いよいよリーグは大詰め。今節にもJ1昇格内定させるチームが出る可能性があるが、今季の徳島を見ていると近い将来にはその夢のステージアップを果たしてくれそうな期待感さえ抱かせてくれる。だが、それも止まらない成長あってのもの。だからこそチームにはまず今節また一歩の前進を遂げてもらいたいものだ。
以上
2009.11.07 Reported by 松下英樹