スカパー!生中継 Ch182 12:20〜(解説:布部陽功、実況:南鉄平、リポーター:森田みき)
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■リーグ戦上位クラブ 直近3節の試合結果と次節対戦相手
第45節 | 第46節 | 第47節 | 第48節 | 第49節 | |
甲府 | ○2-1 栃木 | ●0-1 横浜FC | ○2-1 鳥栖 | 福岡 | 湘南 |
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「とにかく勝ちにこだわって戦いたい。特に、残り2試合となったホームゲームは2連勝するのが絶対条件だと思うし、それしかサポーターに見せるものはないと思っている。絶対に2連勝して、僕たちはまだやれるんだということを見せたい」。第46節の岐阜戦終了後、六反勇治はそう話した。
思うように戦えないままに過ごした2009年シーズン。第3クールでは守備に安定感が出てきたものの、思い通りに勝点を挙げられたのかと問われれば、まだまだ不完全燃焼の部分も多い。そんな中でチームが見せられるものは、支えてくれる人たちのために、チームのために、そして自分自身のために、戦う気持ちを見せること。それは今までと変わらない。そして必要なものは勝利。その思いを胸に、福岡はレベルファイブスタジアムのピッチに立つ。
迎える相手は甲府。昇格争いの大勢が決まりつつある中、湘南と激しい3位争いを繰り広げている相手だ。負けられないプレッシャーと、昇格に対するアグレッシブな思い。相反する2つの思いを抱いてリーグ戦を戦っている。しびれるような緊張感の中での戦いは、時として自らを固くし、時として高い集中力を生むものだが、今の甲府は後者。サバイバルレースへの生き残りをかけた前節の鳥栖戦を2−1で制し、続く天皇杯3回戦では延長戦の末、J1の京都を破っている。
最大の特長は、マラニョン、金信泳のスピードとパワーを活かした攻撃にある。かつてはショートパスを繋いで狭い地域を突破するサッカーにこだわりを見せていた甲府だが、今シーズンは縦に早いサッカーへ変更。その傾向はさらに強まっており、まずはロングボールを前線にシンプルに送るところから攻撃が始まる。前節の鳥栖戦で挙げた2得点は、まさにその形から。1点目は最終ラインからの縦パス1本で裏へ抜け出したマラニョンがゴールネットを揺らし、2得点目はロングボールを鳥栖DFがクリアしたこぼれ球を金信泳が左足ダイレクトで叩き込んだ。
この2人をフォローするのが中盤の5人。落としたボールに素早く働きかけてセカンドボールを拾い、2トップが流れることで開いたスペースへ藤田健、大西容平が飛び込んでいく。そして、中盤の底では林健太郎がボールを効果的に捌き、さらには両サイドもアグレッシブに攻撃に参加する。その流動的な組織力は相手にとっては脅威。福岡との対戦では、石原克哉、ダニエルの2人が出場停止だが、基本的な戦い方は変わらないだろう。
その2トップに自由を与えないこと、セカンドボールの処理で先手を取ること、2列目から飛び出してくる相手を捕まえること、更に両サイドからの攻撃参加を抑えること等々、福岡が守備面で求められることは多い。しかし、最優先事項は前の2人を確実に潰すことにある。長いボールを恐れて下がってしまえば、間延びした中盤でセカンドボールを拾われて、甲府のパスワークに翻弄されるのは必至。ボールホルダーに対する素早いアプローチで出しどころを制限するとともに、ボランチと連携して2トップを挟みこむことで、相手の自由を奪いたいところだ。
そして、奪ったボールをどうやって前に繋ぐかがゴールへの鍵を握る。出場停止の阿部嵩の代役を誰が務めるかは流動的だが、ボランチの1人としてプレーすることが確実視される鈴木惇が、その重責を担うことになる。「マラニョンは速いので、ビルドアップのときにミスをしないように注意すること、そして、ボールを奪ったら相手を上手くはがしてスペースを使いたい。まずは相手の2シャドーを抑えてから攻撃に転じたい」とは本人の弁。ボールを捌いてスペースへ飛び出していくプレーにもキレが見られるようになっており、攻撃の起点として期待される。
粘り強い守備から入ってリズムを作る福岡の戦い方に変わりはないが、奪った後に積極的に押し上げて、攻撃陣をサポートする勇気も求められるのが甲府戦。それが戦う気持ちを伝えることであり、勝負を手にする手段でもある。
「甲府に2敗した時と今の福岡は状態が違う。今の自分たちが甲府相手にとどんな試合が出来るか楽しみ。相手は昇格争いをしているし、天皇杯でも京都に勝って勢いに乗っていると思う。その力を逆手にとってやれるくらいの試合がしたい」(丹羽大輝)
福岡イレブンが、秋晴れの空に向かって両拳を突き上げる姿を誰もが待ち望んでいる。
以上
2009.11.07 Reported by 中倉一志