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【J2日記】福岡:丹羽大輝という男(09.10.30)

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(C)中倉一志

的確なコーチングでチームの守備をオーガナイズするのが丹羽の最大の特長。守備に安定感が出来てきたのは、彼の力によるところが大きい。

 キックオフを待つスタンドの興奮が高まる中、フェアプレイフラッグとともに両チームの選手たちがピッチに登場する。その先頭に立つのは丹羽大輝。腕に黄色いキャプテンマークを巻き、胸を張り、ピッチを睨みつけるようにして歩く。その姿にスタンドから大きな声援が飛ぶ。チームを牽引し、チームの守備をオーガナイズするCB。キャプテンとして、DFとして、福岡には欠かせない存在だ。

 丹羽が福岡にやってきたのは昨シーズンの終盤。チームに合流して初めて紅白戦への参加が許された日、ピッチに入った丹羽は誰に支持されることなく、真っ先に久藤清一のもとへと進んだ。そして大きなジェスチャーを交えながら話を終えると、次は布部陽功のもとへ行って同じことを繰り返した。自ら両ベテランのもとへ歩み寄り、自分の主張を伝えながらチームの約束事を確認する。当たり前のことかもしれないが、プロとしての実績が少ない22歳の若者が、合流した直後のチームで、しかも両ベテランに対して堂々と自らを主張した姿が今でも印象に残る。

 そして迎えた2009年シーズン。周囲の期待とは裏腹に、丹羽に与えられた役割はバックアッパーとしてのもの。回ってきた出番で結果を残しても、レギュラーポジション獲得はならずにベンチスタート、あるいはベンチ入りさえも叶わない日々が続いた。5月中旬のある日、そんな彼に声をかけた。チーム事情からみて、これから先も多くの出場機会が与えられることは難しいだろうと思われた頃のことだった。ところが、返ってきたのは「すごく充実していますよ」という言葉だった。

 先日、当時の気持ちを改めて彼に尋ねてみた。
「サッカー選手として常にいい準備をして、いつでもトップパフォーマンスを出せる状況を維持しているのがプロだと思うんです。だから、試合に出ていても、出ていなくても、そこに対するアプローチが出来ているから充実しているし、それが出来ていなかったら充実した日々は送れません。それに、腐っても何ひとつメリットはないし、逆に、試合に出られない時期だからこそ練習に専念できるので、自分が上手くなれる時期だと思ってトレーニングをしていました。プロとして当たり前のことをやっていることは自分自身が分かっていたし、それが出来ていたから充実していると答えたんです」

 第27節の栃木戦で、CBとして約1カ月ぶりの先発を果たした丹羽は、その存在感を発揮。以降、DFリーダーとしてだけではなく、チームを牽引するキャプテンとして先発フル出場を続けている。いまや押しも押されぬ中心選手だ。

「いまは体の調子が良くて、勝手に反応してくれる感じですね。相手の特長をある程度頭の中へ入れておいて、その通りに来たらOKだし、違っていれば試合の中で対応する、それをずっと意識しています。選手には動き方とか、ボールの持ち方に絶対に癖があるので、それを見抜いて、そこを突いて、そして駆け引きの部分で頭を使いながらプレーするのがすごく楽しい。サッカーはメンタルスポーツ。そこの部分で先手を取っていけば相手に勝つことや、ボールを奪う可能性が高くなりますから」

 そして、単なる結果ではなく、常に課題とテーマを持ってプレーすることこそがプロだと話す。
「何も考えずに試合に入っても、何も得られないし、何の充実感も得られません。自分の中にテーマを決め、それを考えながらプレーすることが積み重ねだろうし、それが次の試合にもつながっていくんだと思います。アマチュアなら、がむしゃらに頑張って、出た結果に対して、嬉しかった、悔しかったでいいかもしれないけれど、常に試行錯誤しながら、自分たちがいいサッカーができる可能性が高まるように作業を続けるのがプロ。そういうところを徹底的に詰めていっているチームが上位にいるチームだと思います」

 自らの力で周りの環境を変えてレギュラーポジションを獲得した丹羽。しかし、これからも、その姿勢と行動は変わることはない。
「公式戦であろうと、練習試合であろうと、どんな試合でも意味のない試合は1試合もない。だから、僕にとっては消化試合は絶対にありません。チームとしても、個人としても、試合を重ねるごとに良くなっていけるように、頭を使いながら、考えながら、今までと同じ姿勢を続けていくことにこだわっていきたいです」

 どんな状況に置かれようとも、プロとしての姿勢を見失わず、やるべきことを常に追求し続ける丹羽大輝。これからもピッチでチームを牽引し続ける。

以上

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2009.10.30 Reported by 中倉一志
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