前回のJ2日記は、およそ1ヶ月前の四国ダービー直前。その後は望月一仁監督の電撃解任劇もありましたが、その衝撃の大きさのあまり、なかなか日記を綴ることができませんでした。なにしろ、望月前監督は約5年に渡り愛媛の指揮を執り、JFLからJリーグに押し上げてくれた言わば愛媛の恩人。私自身も、まさに心の中にポッカリと穴が開いたような心境でした。
それでも、J2は待ったなし。次々と試合がやってくる以上、愛媛も後任となる監督を迎え、新しい体制を整えました。それがクロアチアからやってきたイヴィッツァ・バルバリッチ監督。就任当初から選手にハードワークを課し、練習では私語を慎むように求めるなど、規律を徹底してバルバリッチ・イズムの浸透を続けてきました。
そしてバルバリッチ監督が遂に初勝利を手にしたのは、天皇杯も含めて公式戦7試合目、ホームでの富山戦(第46節)でした。来日して初勝利、ようやくつかんだ勝利にどんな心境なのだろうかと注目していましたが、意外なほど冷静。「私の方が喜んでいて(笑)」という北島雅陽通訳を尻目に、試合後も落ち着いた様子で選手やスタッフと握手を交わしていたのでした。
そのバルバリッチ監督の表情がようやく緩んだのが、その後のゴール裏での出来事。今季、愛媛が勝った際にホームゲームで恒例となっているラインダンスに加わり、その感想を問われた時でした。「自分はそういうことをするタイプの人間ではないので」とはにかみながら答えましたが、笑顔を見せたのはその話題だけ。あとは淡々と試合の分析を続けました。後日、「喜びは中に向かうタイプなので」とも話してくれましたが、「引き分けや負けが多くて、勝利も中身は空っぽな気がしました。怪我人も多くて…」と、やはりすぐに冷静な分析に戻っていったのでした。
「旧ユーゴの中でも見たことがないくらいジェントルマンで、向上心の強い人」とは北島通訳が教えてくれたバルバリッチ監督の人となりですが、取材をしていてもサッカーに対する姿勢の真摯さ、探究心の強さはヒシヒシと伝わってきます。と同時に、会見などの最後には「アリガトウゴザイマシタ」と優しい表情で日本語の挨拶も交わすバルバリッチ監督。試合前、ピッチ体験をしたサポーターに対しても自ら握手で応えるなど、1つの勝利、1ヶ月という時を経て、間違いなくバルバリッチ監督は愛媛の選手や、愛媛の人たちの心をつかみ始めています。
今シーズンも残りわずかですが、今後、望月前監督が築き上げてきたチームをバルバリッチ監督がどのように昇華させ、次のステージへと導くのか。その過程を楽しむなら、例え昇格争いとは関係がなくとも、愛媛の今季残り5試合も決して見逃すことはできません。
以上
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2009.10.30 Reported by 近藤義博
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