ある日の練習後、ふいに反町康治監督が口にした。
「2月の頃を思い出すよ」
その日は練習生がトレーニングに参加していた。初めて体験する湘南のサッカーに彼らの動きはぎこちない。まっさらな状態なのだから当然だろう。そんな練習生の姿と、始動して間もない頃の湘南の選手たちを指揮官は人知れず重ねていた。
思えば、指揮官は当初、こんなふうにも語ったものである。
「育てるというより、『育て』。つまり選手自身が向上心をもって取り組むべきことだ。その点、うちの選手たちには吸収力や向上心がとてもある。逆にいうと真っ白な選手が多い。どれだけ色付けできるかだ」
あれから約10ヶ月、練習生とおなじように真っ白だった彼らもいまや色づいている。湘南のサッカーという色に。いや、彼らの色がそのまま、湘南の色に。からだに染み付いたその証拠に、トレーニングのなかで指揮官が流れを止めて指導する光景はほとんどない。
ふと、反町監督が練習中にもっとも発する言葉は何だろうと考えてみた。でも、すぐにやめた。考えるまでもなかった。接触プレーに倒れても止めない、オフサイドに見えても止めない、青い笛の代わりに響くはいつも「プレイオン」の声――そこには、笛が鳴らないかぎりゲームは続いている、プレーを止めてはならないというメッセージがこめられている。「試合の運命は練習で決まる」という信念とともに。
今季のリーグ戦も残りあと360分とちょっとになった。「選手がつくりあげていくもの」と指揮官が語り、色を重ね続けてきた絵も、最後の仕上げに入る。暴れん坊らしく、ピッチというキャンバスにありったけの「湘南色」をぶちまけて。
以上
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2009.10.30 Reported by 隈元大吾
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