10月31日（土）第89回天皇杯3回戦 神戸 vs 柏（13:00KICK OFF/ホムスタ）
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2009年のJ1リーグ戦が残り4試合と大詰めを迎えたなか、その合間に行われる天皇杯3回戦で、神戸と柏がホームズスタジアム神戸で対戦する。J1では神戸が14位、柏が16位と、ともに残留争いを強いられているが、その状況は先週、第29節を終えて、実に対照的。神戸は、松岡亮輔のプロ入り初ゴールにより１-０で新潟に勝利。リーグ戦6試合ぶりの勝利で勝点を37に伸ばし、J1残留に大きく近づいた。一方の柏は、同じく残留争い中だった山形との直接対決に惜敗し、これで3連敗。勝点27での足踏みが続き、15位大宮との勝点差が9と広がったことで、次節にもJ2降格条件の16位以下が確定してしまう苦しい立場に追い込まれた。

J１リーグ戦での成績、日程のことも影響があるかと思われる今回の天皇杯の一戦だが、神戸の三浦俊也監督は「相手はJ1のチームなので、基本はベストになり得るメンバーで臨みたい。（柏も）1週間試合間隔が空くし、（ネルシーニョのような）ブラジル人監督はターンオーバーを考えていないと思う」と、天皇杯でもいつもと変わらず真っ向からぶつかり合う試合を予想している。

その神戸と柏は、今季すでにJ1リーグ戦で2度、そしてヤマザキナビスコカップで1度対戦済み。リーグ戦では神戸が2連勝、そしてカップ戦では柏がホームで3-0と勝利しており、対戦成績は神戸の2勝1敗となっている。ちなみに過去のリーグ戦通算対戦成績は10勝3分15敗と神戸が負け越しているが、ともにJ1に復帰した2007年以降は、2007年が神戸の2連勝、2008年が柏の2連勝と、その1年により結果が偏っている。

さて、今年4度目の対戦ということで、お互い手を知り尽くしているという見方もあるが、この両者に限って、そして今季に限ってはそうも言えない。なぜならば、ともに監督交代を行い、戦い方も、メンバーも、この1年のなかで刻々と変わっているからだ。神戸はカイオ・ジュニオール氏（現アル・ガラファ／カタール）、和田昌裕氏（現ヘッドコーチ）を経て8月6日から三浦監督に、柏も高橋真一郎氏から7月20日にネルシーニョ監督に、それぞれ指揮官が入れ替わっている。そのため、現在の両監督での対戦は、今回の天皇杯が最初となるわけだ。

それでも、参考になる試合といえば、直近の直接対決、J1第20節になるだろう。そのときには神戸がアウェイで河本裕之のゴールにより1-0と勝利。当時の和田体制では初白星となり、和田氏の試合後のうれし涙が印象的だった。対する柏はネルシーニョ監督の初陣を飾ることはできなかった。

この第20節でも勝負を決めたのはCK、つまりセットプレーだったが、今回の天皇杯でもセットプレーが勝負の分かれ目となりそうだ。なかでも、「（柏の）セットプレーは脅威になる」（松岡）と警戒する神戸は、「ポポはいいFKを蹴る」（三浦監督、小林久晃）と柏の11番、ポポの存在を気にしている。実際、第20節ではポポが欠場し、第13節もポポが途中出場した5分後にゴールを決めた。さらに昨シーズンのホムスタでのJ1最終節ではポポがFKで先制点を挙げているなど、神戸戦では何かと鍵を握っているのは間違いない。

またセットプレーに限らず、一発勝負だからこそ、「流れ」をつかむことも大事になる。「過去に下のカテゴリーに負けたこともあるし、難しさは分かっている」とカップ戦独特の雰囲気を述べたのは宮本恒靖。しかし、「準備は何も変える必要はない。いつもと同じ戦い方で臨みたい」と徳重健太。いかに自分たちのサッカーができるかが、神戸にしろ、柏にしろ、勝つためには重要。自分たちのリズムをつかめば、今後にも弾みがつく。

果たして神戸が１つ前の試合、新潟戦の勢いそのままにホームで勝ちきるのか？　それとも、柏が大津祐樹、北嶋秀朗といった攻撃的な選手を活かして、得意のカップ戦で昨シーズン同様天皇杯の舞台で勝ち進むのか？　今回も厳しい攻防がホムスタでは繰り広げられそうだ。

以上


2009.10.30 Reported by 前田敏勝