10月31日（土）J2 第44節 愛媛 vs 熊本（14:00KICK OFF/ニンスタ）
スカパー！生中継 Ch181 13:50〜（解説：サカクラゲン、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
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他会場では天皇杯3回戦が開催されるこの週末。本来なら愛媛は鹿島に、熊本は新潟に胸を借りる対戦を目指していた。しかし、2回戦で愛媛は福岡に、熊本は横浜FCに敗れ、共にJ2決戦を勝ち抜けなかったことで、台風によって延期されていた第44節の代替試合がこの週末に開催される運びとなった。

残念ながら、既にトーナメント戦の楽しみはなくなってしまった両チームだが、だからこそ、今節を含めたリーグ戦の残り5試合で、1つでも多くの勝利をサポーターにプレゼントしなければならない。そして、選手自身は来季の契約を勝ち取るために、結果を残していかなければならない。特に愛媛のFWには、地元愛媛の出身で名古屋を始めメキシコやスペインでも活躍した福田健二の加入が決定。ライバルが増える中で、今節はチーム得点王の内村圭宏が出場停止となり、必然的に控えに回っていた誰かのもとに必ずチャンスが巡ってくる。

現在、愛媛はバルバリッチ監督が就任後、3トップを採用することが多くなっているが、中でも評価を高めているのがドド。天皇杯2回戦の福岡戦、第45節のC大阪戦で2試合連続ゴールを叩き出し、ゴールを目指す積極的な姿勢で猛アピール中だ。そして前節の岐阜戦では怪我から復帰したジョジマールが4ヶ月ぶりのゴールを決めているが、こちらはまだコンディションが万全ではない。となると、今季はまだ十分な結果を残せていない田中俊也にもスタメンのチャンスが回ってくる可能性も大きいが、このシステムで3トップに入るのはFWだけではない。
両サイドのFWは守備に回ると若干ポジションを下げ、システムで言えば4-1-4-1の2列目の「4」の両ワイドのような位置に入る。3トップの1人として考えれば攻撃の能力が求められるが、攻守が入れ替われば中盤の選手のように守備の能力も要求される。必然的に、トレーニングでも横谷繁や内田健太、千島徹といった中盤の選手も3トップの一角を担い、熾烈なポジション争いを繰り広げている。

その中で前節、岐阜から3得点を奪ってコンビネーションを成熟させ始めたドドと内村、ジョジマールの3枚の組み合わせが変わるのは残念な気もするが、そこに新しい選手が組み合わさって生まれるバリエーションも楽しみではある。もちろん、現在の愛媛の攻撃には2列目から永井俊太や赤井秀一が飛び出してくる厚みも加わっており、誰がゲームに入っても大きな戦力ダウンはないだろう。

その点では、愛媛が2試合連続完封中の熊本ディフェンスをこじ開ける力は十分にある。ただ、2列目の飛び出しやサイドバックのオーバーラップといった流動的で厚みのある攻撃は熊本が今季、シーズンを通じて築き上げてきたもの。第2クールの対戦(第32節＠高知陸)では愛媛のベンチメンバーが足りず、左サイドバックに青野大介、右サイドバックに赤井と、中盤の選手が不慣れなサイドバックを務めるという非常事態だったとはいえ、サイドからゲームの主導権を握られ、2列目から飛び出してきた吉井孝輔に2ゴールを決められて完敗。攻撃の連動性では、熊本に一日の長があるといえるだろう。

逆に、守備面から見ると愛媛は前節の岐阜戦でも課題の60分から74分の間で逆転ゴールを許した。今季、愛媛の失点数が突出して多い時間帯だが、逆に熊本から見れば最も得点数の多い時間帯。攻撃面では魅力の多い両チームの対戦だが、接戦のまま時間が経過した際には、この時間帯で勝負が決する可能性も高い。つまり、終盤まで目が離せないスリリングな攻防が期待できそうだ。

こうしてみると、愛媛と熊本の一戦は両者の攻撃的な姿勢が見物。さらに愛媛はここ2試合で1勝1分、熊本は2連勝中と共にチーム状態が上向いているだけに、観る者を魅せるゲームをニンスタのピッチで展開してくれるだろう。今季のラストスパートをかけるためにも、この一戦をスッキリと白星で飾りたいのは愛媛も熊本も同じ。どちらが最後まで突っ走れるか、土曜日のキックオフをスタジアムで楽しみに待ちたい。

以上


2009.10.30 Reported by 近藤義博