10月31日（土）第89回天皇杯3回戦 山雅 vs 岐阜（13:00KICK OFF/秋田陸）
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天皇杯二回戦において、ビッグサプライズを起こしたのは、浦和を下した松本山雅だった。
正直、これは予想外の展開だった。栃木とのJ2決戦を制した岐阜の選手、スタッフは誰もが次なる相手が浦和だと思っていた。それが栃木戦後に浦和が0-2で敗れたことを伝え聞くと、一様に驚きを隠せなかった。

岐阜にとっては非常にやりづらい相手となったと言える。松本山雅は浦和を撃破してから、千葉県で行われた全国社会人サッカー選手権大会で優勝し、JFL昇格をかけた全国地域リーグ決勝大会に駒を進めるなど、いま勢いに乗っている。逆に岐阜はリーグ戦で7試合連続勝ち星なしと、決してチーム状況がいいとは言えない。勢いに乗っているチームを迎え撃つ格好となり、シチュエーション的には難しいものがある。
ただ、岐阜に光は差し込んで来ている。前節の愛媛戦でこれまでゴールから見放されていた佐藤洸一と西川優大が揃ってゴールを決めたことだ。ツートップのアベックゴールはチームに勢いを取り戻すことに十分で、いいイメージを残して次なる戦いに挑める。松本山雅を相手にもゴールを奪うことが出来れば、次節のリーグ戦にもいい形で繋がるだけに、しっかりとFWが結果を残した上で、勝利を勝ち取ってほしい。

不安要素があるとすれば、愛媛戦で2試合連続ロスタイム弾を浴びるなど、終盤に失点を重ねていることだろう。これは単純な守備面での問題や、試合運びの不味さに起因するが、守備面で言うと、センターバックとワンボランチの橋本卓との連携が、しっかりと噛み合っていないことが挙げられる。岐阜の調子がいいときは、ここの連携がスムーズで、挟み込みやチャレンジ&カバー、ビルドアップがしっかりと機能し、岐阜の精度の高いショートカウンターをうまく引き出していた。しかし、ここ7試合では、ここの間のスペースを相手に有効活用され、崩されるシーンが目立つ。特に愛媛戦はそれが顕著だった。相手の3トップがバイタルエリアに残って、ポジションチェンジを繰り返し、そこに2列目が絡んで岐阜のマークを混乱させると、アタッカーがセンターバックのギャップを巧みに突いて、ゴールをこじ開けた。松本山雅にはFW柿本倫明という波に乗っているアタッカーがいるだけに、彼をうまく連動して抑えられるかがポイントになる。
時間の使い方という面では、今回は引き分けの無い一発勝負のトーナメントだけに、より終盤は状況に応じたサッカーをしなければならない。リードしていれば、バックラインでのボール回しなど、相手を『いなす』サッカーをして、リードされていたら、リスク覚悟で攻めに掛かる。当たり前のことではあるが、今の岐阜にはそこが欠けており、改めてしっかりと状況を見てやるべきことを徹底しなければならない。

そして、この試合はもう一つ注目点がある。それは一昨年まで松本山雅に所属していたFW片山真人が遠征に帯同するかと、昨年まで岐阜に所属していた松本山雅MF北村隆二が出場するかだろう。片山は一昨年に松本山雅のエースとして活躍したのが認められて、岐阜にやってきた。昨年は活躍したが、今季は出番が無く、低迷を続けている。古巣との対戦でチャンスを掴んで、浮上のきっかけを作れるのか。
北村は昨年、岐阜でキャプテンマークを巻いており、地域リーグ時代から岐阜の躍進に貢献し続けた。彼が古巣を相手にどういうプレーを見せてくれるのか。片山VS松本山雅、北村VS岐阜。ここも楽しみの一つだ。
果たして不気味な相手・松本山雅に、岐阜がカテゴリー通りの戦いを見せ、念願のJ1チームへの挑戦権を得ることが出きるのか。それとも松本山雅が連続のサプライズを起こすのか。秋田の地で勝ち名乗りを挙げるのはどっちだ。

以上


2009.10.30 Reported by 安藤隆人