10月24日(土) 2009 J1リーグ戦 第30節
柏 0 - 1 山形 (19:04/柏/9,946人)
得点者:57' 宮沢克行(山形)
スカパー!再放送 Ch183 10/26(月)08:00〜(解説:柱谷幸一、実況:倉敷保雄、リポーター:小野寺志保/成田ひみ子)
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「一番気をつけていた相手のカウンターに、自分たちが前がかりになり、コンパクトになっていなくて隙を突かれて負けてしまった」(柏・ネルシーニョ監督)。残留争いの渦中にある両チームの直接対決は、57分に山形が発動した狙い通りのカウンターで勝負がついた。
それはまさに一瞬のことである。ホーム日立台で勝点3を獲得すべく、猛攻を仕掛ける柏。56分に得たコーナーキックのチャンスもセカンドボールを拾い、2次攻撃を展開した。だが、右サイドからのポポのクロスが山形DFに弾き返され、これを拾った山形のMF宮沢克行がMF宮崎光平にボールを預けると、一気に前線へ駆け上がった。宮崎からパスを受けたFW古橋達弥は、宮沢が柏守備陣の背後へ抜け出す最高のタイミングで、対角線状のロングパスを送る。飛び出した柏GK菅野孝憲を左足のワンタッチでかわした宮沢は、その流れのまま右足で無人の柏ゴールへ流し込んだ。
前半からゲーム全体の流れは山形にあった。中盤と最終ラインで二層の壁を作り、自陣バイタルエリアでブロックを形成。そのうえ柏の攻撃が連動性に欠けており、山形の術中へさらにハマっていく。柏は両サイドの大津祐樹とポポが2トップとほぼ同じ位置までポジションを保っていたために、最終ラインとボランチを含めた6人と前線の4人に距離が開いてしまい、守から攻へ切り替わった際に、ボールをキープしたボランチの栗澤僚一、小林慶行がパスコースを見出せず、結局は後方に戻し、最終ラインからロングボールを蹴り込む展開を繰り返した。そして、それを山形DFに弾き返され、カウンターを浴びるという悪循環が続く。18分の長谷川悠、37分の古橋と、それぞれオフサイドとハンドの判定でノーゴールも、ゴール前の場面の多くは山形が作り出していた。
後半に入り、柏は2トップの1人がボランチとDFラインの間のスペースに降り、ようやくクサビのパスが入るようになる。また、途中出場のルーキー工藤壮人も奮闘し、前線で体を張って起点を作った。だが、51分、ポポの直接フリーキック、70分セットプレーから北嶋秀朗のバックヘッド、続くコーナーキックから近藤直也のヘディング、さらに87分には大津の左足と、決まってもおかしくはない場面で山形GK清水健太がファインセーブで柏のシュートをことごとく阻んだ。
小林伸二監督は2列目からの飛び出しの対応に付け入る隙があると柏の守備陣を分析し、それに対してのトレーニングを今週は徹底して行ってきた。たしかに後半は押されたものの、それはホームで柏が前がかりになるため、山形にとっては想定内のこと。柏DFの背後を突く狙い通りカウンターと2列目からの飛び出しで決勝ゴールを沈めた、まさに試合前に思い描いたゲームプラン通りの展開。1−0で勝利した山形は勝点を37まで伸ばし、残留へ大きく近づいた。
敗れた柏は依然勝点27のまま、16位と窮地に立たされている。「まだチャンスは残っています。残り4試合で4勝する気持ちで前向きにやっていきます」(ネルシーニョ監督)、「可能性がある限り諦めない」(大谷秀和)、「まだ勝点12ポイントを取るチャンスはある。今日、サポーターがやってくれたことを心に刻んで、僕らは必死に残留を目指してやるだけです」(北嶋)と、指揮官、キャプテン、精神的支柱の彼らが口にしたように、残留への可能性はまだ残されている。チーム、サポーターが一体となり、全身全霊を込めた柏の「総力戦」はまだ終わらない。
以上
2009.10.25 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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