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【J2:第46節 甲府 vs 横浜FC】レポート:継続か変化か。残り5試合を見据えた判断を迫られる甲府(09.10.22)

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10月21日(水) 2009 J2リーグ戦 第46節
甲府 0 - 1 横浜FC (19:03/小瀬/10,501人)
得点者:82' 難波宏明(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch180 10/23(金)14:30〜(解説:前田秀樹、実況:横内洋樹、リポーター:難波紀伝)
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負けたから言う訳ではないけれど、負けたから言えることがある。J1再昇格に賭ける残り5試合、継続するのか変化をもたらすのか判断が必要な時期かもしれない。それはシステムのこと。昇格できればどちらの判断をしても正解だけれど、継続を選択して昇格を逃せば固執したと責められるだろうし、変化を選択して昇格を逃せばブレたと責められる。甲府のサッカーのスタイルは変わらないし、継続するのが当たり前。「システムはスタートポジション」であって大きな意味がないということになるのかもしれないが、3−5−2と4−3−3ではスタートポジションの違いは小さくないと思う。サッカーの考え方は変わらなくても、この違いは起用する選手選択に大きな違いをもたらすからだ。

残り5試合を考える上で、もっと難しい判断はシステム、つまり林健太郎と秋本倫孝の同時起用を継続するかどうかだと思う。守備陣にケガ人が多いこともあるが、同時起用するために3−5−2を選択している今の甲府。相手のあることだが、今節は3−5−2にシフトしてから一番いい内容だったといってもいい。過密スケジュールなのに選手のコンディションも素晴らしくよかった。前半の開始直後から主導権を取って横浜FCの選手にずっと守備をしている気分を味わわせた。取材ノートはいつも真ん中に縦線を引いて、左に甲府のゴールやシュートシーンやメモを書いて、右にアウェイチームのそれを書く。ノートは左側ばかりが埋まっていって、右側はスカスカだった。全部を書くわけではないが、横浜FCのシュートシーンは15分、21分、22分の3つ(公式記録はシュート4本)だけ。「主導権を取っているとき、こういうシュートは怖い」とメモしているが、「甲府が2回連続でミスしないと横浜FCのチャンスにならない。横浜FCは2回連続で精度の高いプレーをするか運が味方しないと決定機は来なさそう」とも書いている。

甲府については「オイル交換した車のように調子がいい」と書いて、例えが違うように思って、「脱皮したカニのように…」、「彼女が出来たぶ男のように…」と書き加えて、もっと違うような気がして、例えることを放棄して淡々とシュートシーンを書き続けた。そのうちゴールが決まるという楽観はなかったけれど、満足して試合を見ていた。
甲府のキックオフで始まった後半のノートも同じようにページが埋まっていった。ただ、時間が経つにつれてこれまでの満足が一気にひっくり返る心配が少しずつ募っていった。これだけ攻めてもゴールを決められないのなら、攻めさせてカウンターを選択する方がゴールの確率が高くなると感じ始めていた。良くも悪くも甲府は一本調子。しかし、攻め込まれてボールを奪った瞬間にちゃんとロングボールを使ってカウンターを仕掛けていたので、選手は正しい判断をしていると満足していた。自陣のゴール前では無理なボールキープをしない判断も出来ていた。金信泳は前で起点になっているし、ダニエルもハンマーヘッドを炸裂させていた。マラニョンも大西容平も挑み続けていた。

横浜FCの10番・安孝錬については褒めるメモを書いていたが、運動量の少なさがキープ力やパスの上手さの足を引っ張っていた。でも、後半のノートの2ページ目になると横浜FCのシュートシーンが増えている。76分には左のタッチラインギリギリの縦パスが通って、ミドルシュート3連発を甲府は食らう。身体を張って守っていたが、こぼれたボールが横浜FCに渡る。西田剛が打った3発目は甲府のGK阿部謙作の手に当たってバーを直撃と、決定的なシュートだった。甲府は井澤惇、森田浩史を連続で投入してゴールをねじ込もうとする。井澤は第26節以来の出場。スカパー!の放送席の近くに座っていると、調べなくてもアナウンサーがデータを教えてくれる。井澤はドリブルでかき回すことが出来る選手だから、パスパスパスで崩そうとする甲府に足りないピースを埋めてくれると期待したが、79分にはペナルティエリアのすぐ外でボールを受けるとターンして期待通りシュートを打った。このシュートはGK大久保択生の正面だったが、ガッツリとした守備のブロックを作る相手には、バイタルエリアで積極性を出せる選手が必要。そろそろ決めないとここまで判断よく守っていた守備にほころびが出ることを心配したが、82分に拾われたクリアボールがそうなってしまう。小野智吉が蹴ったボールを安が頭ですらして、ファーに流れて難波宏明の足元にこぼれて、シュート、そして、ゴールネットが揺れる。

3分間のロスタイムを含めた約11分間、甲府はパワープレーでまず1点を取りにいった。ようやく焦りとイライラがスタジアムに充満し始めた。攻めながらも点が取れなかった0−0で感じていた妙な満足は何だったのだろうかと考えていた。普通なら0−0でもイライラするはずだったのに、失点するまで何故かイライラしなかった。残り5試合を勝ち抜くためには消化しなければならない満足感の理由。相手を見下していたのか、甲府の成熟に自信を持っていたのか…どれも違う。3−5−2に変えてから一番の内容だったことは今思い返しても事実だと思う。だから満足していた。でも、同点にすら追いつけずに18位の横浜FCに敗れた。公式記録のシュート数は甲府が15本で横浜FCが12本と差は小さいが、内容では完全に甲府が判定勝ちのペースだった。それが、12ラウンドに一発フックを入れられて膝をついてダウンしたような負け方。それまでは10対9か10対8の採点でほとんどのラウンドで勝っていたのに…横浜FCから1回もダウンを取れなかった。終わってみればロッキー・バルボアは横浜FCで、甲府はリッチで傲慢なアポロ・クリードの役。

楽天が日本ハムに8−4でリードしていながら9回の裏に5点取られてサヨナラ負けをした「勝負のあや」とは違うと思う。甲府の選手はいいプレーを見せていた。負けたこと以外に強く批判する点はなかった。そのなかで批判するなら、前半から何度もあったシュートチャンスを、「これが最後で唯一のチャンス」と思ってシュートを打ちにいっていたのかということは思い浮かぶ。多すぎるチャンスは執着心を薄めてしまうのか。今節は1点も取れなかった1点打線。15安打で0点という野球みたい。サッカーの攻撃と守備は表裏一体だから野球のように明確に分けられないが、1点打線を2点打線に持っていくことと1失点覚悟の守備を無失点に、それを同時に目指すのか、どちらかに重点を置くのか考える必要があるかもしれない。前者は直ぐに出来ることではない。1点打線で勝つ後者に重点を置くなら4−3−3に戻して、アンカーに秋本を入れるという選択肢がある。前節の栃木戦( /jsgoal_archive/result/2009/1018/20090200030120091018_detail.html )もそうだったが、主導権を取りながらも1つのミスで決定的なカウンターのチャンスを与えてしまう戦い方で残り5試合を乗り切れるのか。甲府のサッカーはサッカーの王道を目指しているものだと思っているが、秋本をアンカーに入れてセーフティなポイントを作ってもいいのではないかと思う。林がすごくいいだけに、彼をベンチスタートさせることはもったいないが、1点で勝つには割り切る必要もある。甲府の戦い方は選手の負担も大きく、これ以上エンジンの回転数を上げることが本当に出来るのかという思いもある。継続か変化か、判断はすごく難しい。

以上


2009.10.22 Reported by 松尾潤
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