スカパー!生中継 Ch183 17:50〜(解説:川勝良一、実況:西岡明彦、プレーヤー解説:名波浩、リポーター:高木聖佳)
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■リーグ戦上位クラブ 直近3節の試合結果と次節対戦相手
第27節 | 第28節 | 第29節 | 第30節 | 第31節 | |
川崎F | ●1-2 G大阪 | ○2-0 横浜FM | ○3-2 大宮 | 広島 | 千葉 |
広島 | ●1-2 新潟 | △1-1 清水 | △2-2 G大阪 | 川崎F | 大宮 |
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一般的に言われている7割というPKの成功率を援用した場合、2本連続でPKを外す確率は30%の30%で、9%という事になる。そもそも同一のチームに対し、同一の試合の中で2回のPKが与えられる事自体が稀なケースである。そんな稀な試合が100試合あったとしても、91試合で最低1本はPKが決まるのである。そういう点からして、川崎Fにとっての前節の大宮戦は非常に珍しい試合だったといえる。
通常であればPKをもらったチームはそのPKにより状況を好転させる事がほとんど。ところがこの大宮戦で川崎FはPKを2本とも失敗。おまけにそのキッカーの座を巡り、内紛まで起きてしまった。2点を加えるはずのPKが、その失敗により、チーム内崩壊を起こしかねない状況になったのである。さらに言えば大宮に2本のPKが与えられており、その両方を決めていた。つまり川崎Fはかなり高い確率で負けていておかしくはなかったのだ。ところが、結果的に川崎Fは勝利する。確率論だけでは割り切れないサッカーの面白さが如実に出たという事が言えるのかもしれない。
大宮に勝てた事でよしとしていた川崎Fに、その後鹿島と清水の試合結果が伝えられる。その中でも特に驚きをもって伝わったのが、清水の敗戦だった。首位清水が対戦したのは、その清水戦にでも降格となる16位以下が決まろうかという最下位の大分。確率論的に言えば、清水の勝利は固いはずだが、最終的には大分が逆転勝利。結果が出るまでは何一つ確定的なものはない、という事を改めて示した試合となった。
川崎Fは5試合を残し、首位に立っている。しかし、この時点で首位に立つ事のアドバンテージは一つしかない。残っている5試合を5連勝しさえすれば優勝できるという事のみである。現在の首位という立場に安心し、緊張の糸を切らした時点で転落は始まる。常に戦う姿勢を持ち続けなければ、優勝はおぼつかないだろう。ただ、そうしたメンタルコントロールでは選手たちは自覚を持って首位という立場と向き合っている。たとえば鄭大世は「鹿島の背中を追いかけてきて、やっと首位に立てました。やっと追われる立場に立てた。そういう喜びはあります」として「追われる立場」というものを積極的に受け入れていた。また中村憲剛は「首位に立てたのはいいと思う。でも、最後にそこに立っていないと意味はない。だからこそ、ここからの戦いが大事になる」と話し、浮かれ気分を強い口調で戒めていた。
川崎Fに関係する誰もが切望する初タイトルに向け、川崎Fは残り5試合の時点で首位に立った。優勝のためには、ここからの残り試合の意味が非常に大きなものとなる。そしてその大事な初戦として、広島との一戦が行われる事となる。
広島といえば高い技術に裏打ちされたテンポのいいボール回しが特徴的であり、その攻撃を防ぐには守備面での連携が不可欠となる。そういう点で、谷口博之の出場停止はかなり大きな損失と言える。その穴をどう埋めるのかがこの試合を左右するポイントとなるが、中村憲剛を一列落とすのか。それとも違う選手を起用するのか。関塚監督がどのような判断を下すのか、注目である。
枚数をかけてくる広島の攻撃はそれだけでかなりの脅威となるが、その一方で攻撃にかかる選手が多すぎて、守備面での危機管理に課題を残すのも事実である。金曜日に行われた川崎Fの紅白戦で、仮想広島の一員としてレギュラーメンバーと試合をした谷口は、練習後に、手薄になりがちな広島の守備陣について言及していた。川崎Fにはジュニーニョというカウンターの名手が存在しており、また控え選手にも快足を飛ばせる選手が複数控えている。攻めさせてからのカウンターという攻撃パターンが繰り返される可能性は高そうである。もちろん広島とすればそうした弱点については織り込み済みのはず。ディフェンダーを攻撃参加させた後の守備で川崎Fの早い攻撃にどのように対処するのか見てみたい。
なお関塚監督は広島の守備ブロックについて「5-4-1になって守備に入ったときにどうはがすのか」が対広島におけるポイントの一つであると語っていた。カウンターのみならず、時間をかけた攻撃でどのように広島を崩すのか、じっくりと見てみたいと思う。
首位に立つ川崎Fが連勝を4に伸ばし、首位の座を固めるのか。それとも優勝の可能性を残す広島が直接対決で勝ち点を手にするのか。共に攻撃的なスタイルのチーム同士の対戦は、見所の多い試合になるものと予想され、サッカーの面白さを直感的に伝えられる試合になるのではないかと期待している。
以上
2009.10.24 Reported by 江藤高志