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【J1:第29節 広島 vs G大阪】レポート:2万2180人を熱狂させたビッグアーチの激闘。広島、G大阪、相譲らず。(09.10.18)

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10月17日(土) 2009 J1リーグ戦 第29節
広島 2 - 2 G大阪 (14:03/広島ビ/22,180人)
得点者:41' 青山敏弘(広島)、44' 槙野智章(広島)、63' 橋本英郎(G大阪)、70' 佐々木勇人(G大阪)
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試合開始1時間40分前、ビッグアーチに大きな歌声が響いた。
「俺らの広島!」
紫のサポーターが集まって大きな歌を歌い上げ、無数のフラッグがはためいた。その中を、紫に染められた選手バスがゆっくりと入ってくる。激しく、熱く降り注がれる大声援が、どんよりとした雨雲を吹き飛ばした。

広島の布陣はとてもベストとは言えない。大魔神のような存在感で攻守を統べるストヤノフが、この日も内転筋の痛みで欠場。さらにチームの活性剤である森脇良太も出場停止と最終ラインの布陣に不安を残していた。
一方のG大阪も、絶好調の二川孝広がケガで欠場。遠藤保仁も体調不良のため、直前まで出場が危ぶまれていたほど。他にも負傷者が続出しているG大阪は、規定より一人少ない17人のメンバーで広島に乗り込んだ。

前半は共に右サイドからの攻撃を主軸にゴール前に迫った。しかし、遠藤がボールに触る回数が少ないためか、リズムの変化に乏しかったG大阪に対し、森崎和幸を中心としたパス回しでG大阪を揺さぶった広島が30分すぎから主導権を握る。
41分、森崎和がゆったりと持ちあがり、ハーフウエイラインを超えたところで服部にパス。その瞬間、佐藤寿人がクイック・スタートだ。
1歩〜2歩でトップギアに入る「寿人スペシャル」を服部は見逃さない。
アーリークロス。だがほんの数センチ、佐藤寿の足にボールが届かない。しかし、柏木がクリアを拾ってミキッチへ。鋭いクロスが逆サイドに飛び込んでいた青山敏弘のヘッドにピシャリと当たると、ボールは美しい放物線を描き、ゴールに吸い込まれた。

勢いづく広島にロスタイム、ビッグプレーが生まれる。柏木のサイドチェンジから服部、そして高萩につなぐ。優しいボールでお膳立てした高萩の想いものせて、槙野智章がハードヒット。ボールはうなりをあげてネットに突き刺さった。爆発する広島ビッグアーチ!

後半、攻めるしかないG大阪・西野監督は、背番号7をボランチに下げ、攻撃的布陣にチェンジ。ルーカスを中心に前からプレスをかけ、運動量のある橋本と佐々木がそこに絡んできた。これが、日本最高の攻撃力を持つG大阪の迫力だ。
遠藤から縦に次々とボールが入る。広島も受け止めるが、その後の切り替えに問題があった。カウンターで一発を狙ったパスが、G大阪の守備の網にひっかかる。縦パスに連動して全体が前にあがれれば、ファーストディフェンスも「はまる」が、G大阪の強い圧力を感じていたのか、守備ラインのあがりは遅い。全体が間延びしてしまったが故に、もっとも危険な男=遠藤保仁がフリーになった。
63分、遠藤のパスが橋本へ。浮き球。飛び込んできたのは交代出場の播戸だ。シュート。中林止める。が、体勢が崩れた。こぼれをルーカスが奪い、橋本へ。フリーのシュートは逆サイドのネットの中に転がった。播戸の縦への鋭さ、遠藤の落ち着いたパスさばき、サポートの天才・橋本の知性に満ちたポジションどり。個の力が一本の線につながった、見事なゴールだった。

運動量が落ちた広島は、G大阪の攻撃を自在に操る遠藤に、適切な距離でプレスをかけることができない。押し込まれた状態で、それでもミキッチが前につなごうとする。しかしそのパスを読み切っていた遠藤がカット。3人に囲まれた7番が見ていたのは、一番遠くのサイドにいた16番だった。フワリ。優しいパスをトラップした佐々木のシュートは、強烈にネットを揺さぶった。同点だ。沈黙したスタジアムに、G大阪サポーターの歓声がこだまする。
2万人以上のサポーターの願いを受けて広島が前に出るも、その裏をついた播戸がGKと1対1。しかしここは、広島GK中林洋次が見事なストップ。その直後、高柳のスルーパスを受けた佐藤寿人の決定的なシュート。今度はG大阪GK藤ヶ谷陽介が弾いた。まさに、死闘だ。
ロスタイム、左クロスにルーカスが突っ込む。服部が身体を寄せて弾く。日本最高のMF遠藤保仁がトップスピードで入った状態で飛び込み、ダイレクトでループシュート!中林の頭上を超えた!逆転か?しかし、盛田剛平の高さが、弾き飛ばす。

死力を尽くした激闘は、言葉どおりの痛み分けに終わった。優勝争いという視点で見れば、勝点1は共に痛手。特に2点差を追いつかれた広島にとっては、ダメージが大きい。
しかしサッカーの娯楽性やドラマ性、美しさと激しさ、知性と情熱がギュッと凝縮された90分間の激闘は「これぞJ1」というクオリティを見せつけた。試合終了と同時にパタリとピッチに倒れてしまった広島の勇者たち。肩で息をしながら、膝に手をついたG大阪の強者たち。一人のサッカーファンとして、彼らに敬意を表し、そして誇りに思いたい。

以上

2009.10.18 Reported by 中野和也
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