10月17日（土） 2009 J2リーグ戦 第45節
草津 1 - 0 岐阜　（15:04／正田スタ／4,610人）
得点者：67' 都倉賢（草津）
スカパー！再放送 Ch182 10/18（日）10:00〜（解説：秋葉忠宏、実況：吉田学、リポーター：円戸由香）
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シーズン終盤、草津は確実に変化した。11位草津と12位岐阜の今季３度目の対戦は、草津が１対０で勝利を収めて中位対決を制した。最近６戦を５勝１敗とした草津は暫定ながら10位へとランクアップ、９位東京Ｖとの差を詰めて１ケタ順位まであと一歩へ迫った。敗れた岐阜は内容を結果へとつなげることが出来ず最近５戦で１分４敗となった。

今季、岐阜に２連敗していた草津は、ＣＢ藤井大輔、右ＳＢ崔成勇を起用しＤＦラインに変化をつけてゲームへ挑む。一方の岐阜は、草津の過去２戦で２点に絡んだ染矢一樹を起用、４−４−２のダイヤモンド陣形で草津の３タテを狙う。ゲームは、ポゼッションを主体とする両チームの特長がぶつかる展開となった。

前半は岐阜が主導権を握った。前線からのプレッシングで草津を囲い込むと、ワンボランチ橋本卓が絶妙なゲームコントロールを魅せてリズムをつかむ。切り替えの速いサッカーを演じた岐阜は、長短のパスをつなげて草津ゴールへと迫る。30分には、左ＳＢ秋田英義の攻撃参加で佐藤洸一が決定機を迎えるなど時間とともにゴールへ近づいていく。一方の草津は、カウンターから都倉賢、小池純輝が決定機を迎えるがシュートに力が入りゴールを割ることができない。前半は岐阜優位だったものの、両者ともに決め手を欠いて後半へと向かう。

ハーフタイム、草津・佐野達監督は「ボールを動かせ！」と指示を出し、岐阜・松永英機監督は「フィニッシュで終わろう」と選手を送り出した。ともに前半の修正だったが、それを忠実に実行したのは草津だった。前半やや劣勢だった草津は、中盤の運動量が上がりパスワークが発揮されていく。47分には左サイドを突破した小池のクロスに櫻田和樹が飛び出して決定機を迎えると49分には小池のクロスを後藤涼がボレーで合わせてチャンスをつかむ。ともにゴールにはならなかったが得点の予感が漂い始める。

そして迎えた67分、中盤でハンターと化した櫻田和樹が岐阜のパスをセンターサークル付近でカット。絶妙なタイミングで駆け上がる櫻田を、岐阜はファールで止めるのが精一杯。そのＦＫを熊林親吾がクイックで都倉へとつなぐ。一瞬の隙を突いてゴールへと突進した都倉は、櫻田とのワンツーでペナルティエリアまで進入しＤＦ２人を引き連れながら右足を振り抜きゴールネットを揺らす。「前半から相手のクイックへの反応が甘かったので狙っていた。コースを狙ってうまく振り切れた」と都倉。岐阜・菅和範は「前半からケアが甘いのは気付いていた。あの場面は対応も遅れたし、（都倉に対して）力負けした」と振り返った。

草津はエースが奪い取った１点を、組織化された守備で守り抜き、サポーターへ勝利を届けた。黒子に徹した松下裕樹、ピンチを未然に摘んだ有園真吾が危険スペースを埋めるなど、ゲームの流れを読んだリスクマネジメントが出来ていた。13試合ぶりに先発出場となった崔成勇、CBに入った藤井大輔も気迫のプレーで勝利に貢献した。

前半の岐阜は、菅、橋本ら中盤がイマジネーション溢れるパスワークを魅せ、連携がさらに発展している印象を受けた。だが、後半になってゲーム全体が間延びし、中盤のハードワークが生かせなくなった。「終盤は後ろからの押し上げがなくなり、セカンドボールが拾えなくなった。良かったときの勢いがなくなっている」（西川）。岐阜にとって今は正念場。今季の成長を示すためにも残り６試合で、もう一度、上昇気流をつかみたいところだ。

攻守の歯車をがっちりと合わせて勝利を勝ち取った草津は、シーズン終盤になって快進撃を続けている。現在のＪ２で最も勢いがあり、安定したチームと言えるだろう。第２クールまでは「歩」だった草津は、シーズン終盤に来て「金」へと成り上がった。草津は残り６試合中、３戦が昇格争いを繰り広げる仙台、Ｃ大阪、湘南との対戦となる。進化を遂げたチームが上位相手に番狂わせを起こしても何ら不思議ではない。

以上

2009.10.18 Reported by 伊藤寿学