10月17日（土）J1 第29節 山形 vs 神戸（14:00KICK OFF/ＮＤスタ）
スカパー！生中継 Ch181 13:50〜（解説：越智隼人、実況：小出匡志、リポーター：成田ひみこ）
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先週の天皇杯では、ともにリーグ戦から数人のメンバー入れ替えを行い、大学チームを完封で下した。それぞれが課題と収穫を手にリーグ戦に戻る。

より勝点を必要としているのは15位・山形だ。次節に直接対決を控えている16位・柏との勝点差は４。前節・大分戦で加えた勝点１で結果的には差を広げた形となったが、「ボールは回っているんですけど、誰かが飛び出したり、予測して絡んでいくというのが少なくて、ボールだけ回って、最後はサイドからクロスという形しか取れなかった」（小林伸二監督）と攻撃時の課題を挙げている。メンバーは多少違うが、天皇杯２回戦の日本文理大戦でもポゼッション時にはミスが目立っている。攻撃精度の向上は、目標とするＪ１定着へ向けた当面の課題だが、残留争いの喧噪に煽られることなく、一歩ずつの前進でそれを実現したい。

前節・大分戦のプレー中に右足首の負傷箇所を再発した長谷川悠も、天皇杯をはさんで２週間ぶりとなるこの試合には出場準備を整え、大分戦と代わらないメンバー構成となりそうだ。対戦相手である神戸との勝点差は３。得失点差で並んでいるため、勝てば順位で逆転可能だ。と同時に、今季何度も乗り越えようとして跳ね返された中位グループの外壁を、今後こそ突破できるチャンスが巡ってきている。

神戸がこの一戦を、逆転可能なポジションで迎えることになったのは、９月以降、勝利から見放されているためだ。２−３と三浦体制で初黒星を喫した第25節・Ｇ大阪戦から、４試合で２分２敗。三浦俊也監督によってチームの組織化は着々と進んではいるが、敗れたＧ大阪戦も０−２から一度は追いつくなど、リードされて追いつくケースが多い一方で、リードした試合で追いつかれるパターンも発生。90分間のどこかでバランスが崩れる試合が続いている。一時は11位まで順位を上げたが、この一戦に敗れれば降格ボーダーライン上に直に乗り兼ねないだけに、なんとしても勝点を奪って帰りたいところだ。

前節は金南一が出場停止で京都と１−１のドロー。「ボールの収まり、流れという意味では、前半は特にうちは金南一が、京都もディエゴがいない中で、互いに攻撃が単調になったかな」と三浦監督もその影響を認めたが、その金は韓国代表経由でチームに復帰する。さらに、日本代表３試合で計145分間プレーした大久保嘉人もチームに合流。連戦でコンディションが気になるところだが、今季山形戦で得点を挙げ相性がいい茂木弘人も、天皇杯２回戦ではハットトリックを達成。誰が出ても高いパフォーマンスを維持できるメンバーがそろっている。

互いに守備の組織は整っているが、それをどう破るのか。攻撃の特徴にはそれぞれ違いがある。神戸にはボッティや金など、ボールを握れる選手はいるが、突破口はディフェンスラインからのロングフィードやアーリークロス。相手の裏を突き、スピードと運動量のあるフォワードが走り込んで劇的なチャンス演出を狙うが、最低でも山形のラインを下げさせればボッティが生きてくることになる。また、相手をワンサイドに寄せてから一気にサイドを変えるサイドチェンジのボールもある。クロスが上がるまでの間、フォワードや逆サイドの選手が相手の視野から消えながら、あるいは意図的に引きつけながらどれだけ人数をかけることができるかも勝負を分ける大きなポイントだ。

山形は奪ったあとの切り換えを早くすることが大前提。そのうえで、中盤の両サイドやボランチ宮本恒靖周辺のスペースに起点をつくりながらフィニッシュまで持ち込みたい。サイドに起点をつくった場合、相手のボランチが対応すれば中央に、サイドバックが対応すれば縦にと、相手が空けたスペースを抜け目なく使いながらパスをつなぎたい。パスを出すタイミングで複数の選択肢があればベター。そのためにも、プレー精度と３人目で飛び出す意識は常に必要となる。

J１リーグ戦は残り６試合となったが、小林監督は「技術も戦術も大事なんですけど、それと同様にメンタルも大事。勝ちたいと思う気持ちが強いほうに転がる可能性だってある」とする一方、「でも、そのたくましさを冷静にコントロールして戦っていけることも要る」と話す。勝利の女神は、じっとその様子を見ているのかもしれない。

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2009.10.16 Reported by 佐藤円