10月11日（日） 第89回天皇杯2回戦
ソニー 2 - 4 大宮　（13:01／秋田陸／681人）
得点者：20' 市川　雅彦（大宮）、22' ドゥドゥ（大宮）、72' 市川　雅彦（大宮）、82' マト（大宮）、85' 町田　多聞（ソニー）、86' 大久保　剛志（ソニー）
☆天皇杯特集
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普段戦い慣れない相手とシチュエーションに、大宮が苦しんでいることは試合開始から明らかに見て取れた。格下ではあるが、JFLでここ８戦負けなしと好調のソニー仙台は緊張の色は隠せないものの、大宮を相手に牙を剥こうとしている。大宮にしてみれば、技術的にも差がある相手だけに自分たちが主導権をとることは容易だ。だがそんな状況で、余裕を持ちきれないのがリーグ１４位の現状。時間の経過と共にミスを頻発し、中盤でカットされカウンターを食らう回数が増えていく。
すでに２回戦初戦では前日に湘南や水戸が敗れており、試合中にはイヤな予感がしたことは否定できない。前半に２点を先制し、後半さらに２点を追加したものの２点を奪われる結果に。「トーナメントの初戦の難しさが出た」と大宮・張外龍監督は振り返ったが同時に「反省することもある」とも話している。勝利の中にも、今後への課題が詰まった試合となった。

試合を振り返ると、立ち上がりは両チームに硬さが見られた。大宮には、格下には負けられないという意識があり、ソニー仙台側は「気負いがあったのか、普段やらないようなことをしてしまっていた」といった状態に。しかし、そこは大宮がやはり一枚上、前線からのプレスをかける。奪ってはラファエルが前線でキープすると、市川雅彦や両サイドのパクウォンジェ、ドゥドゥらが絡み、やりたいような攻撃が出来てくる。リズム、主導権を握ったかと思えたが決して完全に優位に立ったわけではなく、前述したように余裕からなのかミスも生まれ出し、カウンターからピンチも招く。２０分の先制点、それに続く２２分の追加点がなければ、結果はどちらに転んでもおかしくなかったほどだ。
２０分、生まれた先制弾は怪我からの復帰後初先発となった市川が叩き込んだもの。中盤で金澤慎が左サイドに展開、パクウォンジェのグラウンダーのクロスを、中央で待つ市川が左足を振り抜く。これがＧＫの手をかすめ、ゴールに吸い込まれていった。「とにかく打たなきゃ始まらないと思った。打って良かった」と笑顔を見せる一発。続く２分後には、今季なかなか先発のチャンスが得られず２度目の先発となったドゥドゥが追加点を挙げた。これは中盤での守備からマイボールとし、市川、ラファエルとつなぎ右サイドを走り込むドゥドゥが左足で流し込む。この日先発のチャンスをつかんだ２人の得点は、チームに勢いをつけた。この頃から、試合の流れはほぼ大宮の手中に収まっていく。

後半に入っても大宮は主導権を握り続ける。ハーフタイムには「守備はコンパクトにできている。攻撃はサイドからシンプルに」と張監督が指示を送っているが、大宮は幾多のチャンスを築き続けた。１２分ポストにあたったラファエルのシュート、１６分DFに寄せられ打ち切れなかった橋本早十の絶好機、２１分市川の右クロスに石原直樹が抜け出すもダイレクトシュートをふかしてしまう…など。また、後半４本あったコーナーキックも「ファーでマトが競り勝っているのに、中で打ち切れない」とキッカー橋本が振り返る反省モノの出来だった。
７２分には、石原直樹がインターセプトからDF３人を置き去りにする３０メートル以上のドリブルを見せ、GKが出たところを見計らって市川に「プレゼン
トのような」（市川）ラストパス。これを決めて３点目。４点目はマトの縦パスを石原がドリブルで運び、猛然とゴール前に走り込んだマトとのワンツーで決める。

ただ、これで試合が終わらないのが恐ろしいところ。大宮は、中盤でボールを持ちすぎ、奪われ、相手攻撃陣のスピードに翻弄されるようになる。８５分、中盤でパスを出し切れずにいるところを奪われると、それまでも再三イヤな動きを見せていた町田多聞に１点を返される。続く８６分には途中交代で前線を活性化させた大久保剛志が追加点。ヒヤヒヤさせられながら、４−２のスコアのまま試合は終了した。

番狂わせが起きている今年の天皇杯の中では上出来とも言えるが、多くの反省点を残した一戦となった。J1リーグ戦の次節では、首位争いを繰り広げる川崎Fをホームに迎える（１０／１７＠埼玉）。ソニー仙台戦と同じような展開になることはないだろうが、修正できるところはきっちり修正して臨みたい。

以上