10月11日(日) 第89回天皇杯2回戦
徳島 1 - 3 鹿体大 (13:00/徳島球/946人)
得点者:3' 倉貫 一毅(徳島)、13' 桃井宏和(鹿体大)、39' 桃井宏和(鹿体大)、89' 桃井宏和(鹿体大)
☆天皇杯特集
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試合開始早々の3分、左サイド・挽地祐哉からのショートクロスを羽地登志晃が正確なポストプレーで落とすと、そのボールを倉貫一毅がDF陣の間を割るように持ち出して冷静なフィニッシュでゴールネットを揺らす─。大きなポイントと予想された試合の入り方において、徳島はこのように非常に良い形を見せた。やや力みが感じられる大学生チームの出鼻を経験豊かなJクラブらしく見逃さず突いた見事な先制点だったと言えよう。
しかし、これが必要以上に良過ぎたのかも知れない。あっという間にリードを手にしたチームはその後徐々に気分的余裕が悪い方へと出てしまい受身の戦い方に。その結果、逆にいきなりの失点で気持ちが吹っ切れた鹿屋体育大学の積極さに後手を踏みまさかの3失点。徳島は昨年に続き大学生チームに敗れて天皇杯から姿を消すこととなってしまった。
冒頭の先制シーンも含め、確かに徳島のスタートは勝利に向けて十分なものであったと言っていい。アンカーの位置に構える青山隼が左右の挽地と麦田和志にボールを散らせば、1列前の倉貫と米田兼一郎が素早くフォロー。寄せてくる鹿屋体育大学のプレスの合間を縫ってパスを通し、再びサイドチェンジを行うなど幅のある組み立てを披露出来ていた。
が、先制後少し時間が経過しゲームが落ち着き始めた10分頃から、チームには甘い部分が見え隠れするようになる。特に守備面においては全体の連携があやふやで、思うような追い込みとボール奪取が出来ない。明らかに組織としての守りのバランスが崩れていたと言わざるを得ないだろう。すると迎えた13分、鹿屋体育大学MF赤尾公に無抵抗のままドリブルで抜け出されチャンスメイクされると、最後はゴール前のこぼれ球をMF桃井宏和にプッシュされ同点に追いつかれた。
またこの同点弾により徳島はスコア以上に厄介な状況を招いてしまう。プレビューで「怖い」と書いた学生たちの、ノリによる底知れぬ勢いを出させてしまったのだ。中でも同点弾を決めた桃井にはまさにそれを体現される。39分には逆転弾をも叩き込まれたのだが、「対応に行った選手の甘さを少し感じた(美濃部直彦監督)」ことを差し引いても彼のプレーは驚きのもの。明らかに気持ちがノっていたからこその完璧な一発であった。
さらに、後半2トップにシステム変更し反撃を試みる徳島だったが、逆転して折り返したことでハッキリとプレーに自信が表れてきた鹿屋体育大学をほとんど崩せない。チームはハーフタイムに投入された林祐征へのクロスからも突破口を開こうとするものの、これも勢いの差だろうか、セカンドボールをことごとく拾えず厚みのある押し込みをし切れなかった。
そして徳島はゲームの最後にも学生たちの勢いの怖さを痛感させられる。他でもない、やはり彼に。後半ロスタイム、桃井にハットトリックとなる3点目を奪われ、ついに息の根を止められてしまった。
もちろんJ2リーグ戦でアウェイ2連戦を戦ったばかりという影響はあったはず。選手たちが十分なコンディションでなかったのは間違いない事実である。とは言え、この敗戦が徳島にとって「何の言い訳も出来ない(倉貫)」結果。しかも大学生チームに2年続けて苦渋を舐めた現実はこれ以上ない大きな屈辱だ。しかし、決してしまった勝負をやり直すことは出来ない。チームはこれを潔く受け止め、今後への糧としていくしかないだろう。
以上
2009.10.12 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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