10月11日（日） 第89回天皇杯2回戦
神戸 5 - 0 東海大　（13:01／ホムスタ／2,587人）
得点者：10' 茂木　弘人（神戸）、27' 茂木　弘人（神戸）、40' 茂木　弘人（神戸）、47' 石櫃　洋祐（神戸）、67' ボッティ（神戸）
☆天皇杯特集
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いつものクリムゾンレッドのユニフォームの神戸と、お馴染みのイエローとブラックの縦縞とは違って、ブルーのユニフォームに身を包んだ東海大学。天皇杯ならではのカードとなった一戦では、まずキックオフからカウンターをベースに東海大学がチャンスを演出。坂本勇太、田中大二郎といった中盤が左サイドへ飛び出してクロスを上げたり、前線で忍穂井大樹、早嵜大輔らがハイプレスをかけるなど、積極果敢に神戸ゴールに迫ったこともあって、開始前の和やかなムードから一変して、一発勝負の雰囲気が出てくる。

すると、これで目を覚ましたのか、逆に10分という早い時間帯で神戸が先制点を得る。左サイドから田中英雄が右アウトサイドを使ってループ気味にショートクロス。これをゴール前に入ってきた茂木弘人が右足で押し込み、決定力の差を見せ付ける。ただ、その後も「人とボールが動くという形ができなくて、ちょっとボールタッチ数が多かったり、個人でやるところが多かった」（我那覇和樹）神戸は攻めあぐね、逆に東海大学にペースを奪われることもあった。

それでも、ボールがワンタッチ、ツータッチで回りだした27分、ボッティのパスから我那覇のつなぎを茂木が決めて2-0とリードを広げると、ここからは神戸が攻勢。40分には茂木がこの日3点目となるゴール。またもボッティのスルーパスが、フリーランでエリアに入ってきた田中英雄に通ると、田中英雄からの折り返しを茂木が流し込んだ。今季ストライカーとして輝きを取り戻した21番のハットトリックで、神戸は前半のうちに勝負を決めてしまう。

3-0というスコア、相手にシュート1本しか打たせなかった前半の神戸だったが、「内容的には非常に不満足。チームプレーに徹することができないプレーがやや目立った。戦術的なミスもちょっと見受けられた」と振り返った三浦俊也監督。ハーフタイムで再び手綱を締めなおして臨むと、「後半に関しては非常に規律よく、集団でプレーすることができた」（三浦監督）。後半開始早々の47分にも、相手のファウルで得たFKを石櫃洋祐が直接ゴール。そして、マルセウ、岸田裕樹を投入して前線をさらに活気付けると、東海大学に反撃の機会さえ与えず。後半途中にはバイタルエリアを攻め崩し、古賀誠史の左クロスにボッティが飛び込んだところで相手のファウルで倒され、PK獲得。67分、このPKをボッティ自身が決めて、とどめとなる5点目を記録した。

神戸としては相手の退場などでさらに追加点のチャンスもあったが、岸田、馬場賢治らに訪れた好機は活かせず。最後、ちょっとした隙が生まれたのか、守備陣にミスも散見されてピンチを招いたものの、古賀らの身体を張ったプレーもあり、試合終了のホイッスルが鳴るまで無失点で守りきった。結局、5-0という大勝で、神戸は今季の天皇杯初陣を飾った。

大久保嘉人、金南一といった日韓代表勢を欠き、榎本達也、宮本恒靖、吉田孝行といったベテランもこの日はベンチ入りさせなかった神戸。課題も見受けられたものの、「大量得点を取れたので、交代も問題なくできた。そういう部分では有意義なゲームだった」と、指揮官も安堵の表情を浮かべていた。また、「（失点）ゼロで抑えたのは大きいと思うし、次にしっかりつながる」と北本久仁衛も言うように、格下の相手を注文どおりにシャットアウトしたことで、J1リーグ戦残り試合にも、いい流れを継続できるだろう。

逆に東海大学は試合の入り方こそよかったものの、「開始の10分、15分までを不用意なミスをせずに入ろうということ。競り合いで負けないよう、気持ちで負けないようにすること。この2点を強調した」（今川正浩監督）というゲームプランが早々に崩れての大敗。番狂わせを演じることはできなかった。しかし、「非常に貴重な経験になった」この一戦を、目前の関東大学リーグで、そして未来に向けて活かしたいところ。シュート2本には終わったが、「サポーターも来てくれたし、自分たちも最後まであきらめない気持ちでやっていた」と、主将の藤野洋平。正々堂々と戦い、すがすがしさを残して、東海大学イレブンは今季の天皇杯の舞台から姿を消した。

以上

2009.10.12 Reported by 前田敏勝