10月11日（日）第89回天皇杯2回戦 Ｖ長崎 vs 横浜FM（13:00KICK OFF/長崎）
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☆天皇杯特集
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Ｖ・ファーレン長崎の地元で行われる一戦。「長崎」と言えば、横浜FMの兵藤慎剛、渡邉千真の出身地であり、母校の国見高校がある。凱旋する2人を迎え撃つＶ長崎の代表取締役社長・小嶺忠敏氏は、ご存知の方も多いと思うが、国見高の元監督。兵藤と渡邉は、恩師の前で成長した姿を見せたいだろう。
また、Ｖ長崎には2人にとっての大先輩も在籍している。それは国見高OBの原田武男。彼は早稲田大学卒であり、兵藤、渡邉も同じレールを進んだ。横浜フリューゲルスをはじめ、5つのJクラブを渡り歩いた大ベテランと、横浜FMの若武者２人による『国見対決』が実現すれば見ものである。

Ｖ長崎で「打倒、横浜FM」に人一倍燃えていると思われるのが、元横浜FMの佐藤由紀彦だ。仙台から戦力外通告を受け、練習生としてＶ長崎に加わったが、シーズン当初はベンチ入りすらできなかった。だが、めげずに這い上がり、定位置の右MFのポジションを獲得。現在はチームに欠かせない攻撃陣のリーダーとして君臨する。古巣との対戦を特別な思いで迎えるに違いない。元同僚・松田直樹とのバトルも気になる。

Ｖ長崎の攻撃の特徴は、シンプルにパスを繋いでからのサイド攻撃。佐藤由紀彦のピンポイントクロスと、元Ｃ大阪で左MFの小兵(身長158?)、山城純也の速さを生かした突破が最大の武器となる。敵地に乗り込む横浜FMは、JFL8位の格下が相手になるが、まずはこの2人への警戒を強めたい。
とはいえ、個の力で勝る横浜FMがポゼッションで圧倒するのは明白である。早々と先制点を奪い、確実に得点を積み重ねる、J1クラブらしい風格ある戦いを見せつけたいところ。

しかし、油断は禁物。横浜FMは04年、当時JFL所属の草津に延長戦で敗れた苦い過去をもつ。今回のＶ長崎も当然、番狂わせを狙っている。さらに彼らにとって横浜FM戦は、『悔しさ』をぶつける恰好の場でもある。
Ｖ長崎は、今季途中でJ2参入を断念した。理由は、Jリーグ加盟申請を行ったが、ホームスタジアム確保などで、問題があったため。よって、今季JFLで4位以内に入っても、J2昇格ができない。選手たちのショックの大きさは半端でなかったと察する。だから、「昇格できるだけの実力はある」ということを、全国にアピールしたい気持ちが強いはず。そのモチベーションは相当高いだろう。

天皇杯に『悔しさ』をぶつけるという意味では、横浜FMも同じかもしれない。J1リーグ戦では、現在11位と優勝争いから脱落。ヤマザキナビスコカップも準決勝で敗退している。栄冠を狙えるタイトルは、天皇杯だけになってしまったからだ。リーグ戦28節・対川崎Ｆとの敗戦後、渡邉は「次は天皇杯。狙えるタイトルは狙っていく」と力強く言った。ビッグクラブとしてのプライドを示すための戦いが、いざ始まる。
中澤佑二は代表戦のため不在だが、リーグ戦で2試合出場停止だった頼れるボランチ、小椋祥平が復帰するので不安はない。後はＶ長崎に負けないモチベーションの高さで臨むだけだ。

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2009.10.09 Reported by 小林智明（インサイド）