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【J1:第25節 鹿島 vs 川崎F】レポート:開始8秒で鹿島が1点を返すも16分+5分でタイムアップ。未知の再開試合はリードを守った川崎Fが勝点3を得て首位に肉薄した(09.10.08)

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10月7日(水) 2009 J1リーグ戦 第25節
鹿島 2 - 3 川崎F (19:04/カシマ/22,323人)
得点者:19' 鄭大世(川崎F)、30' マルキーニョス(鹿島)、32' 鄭大世(川崎F)、66' ジュニーニョ(川崎F)、74' 岩政大樹(鹿島)
スカパー!再放送 Ch181 10/8(木)23:00〜(解説:柱谷幸一、実況:八塚浩、リポーター:高城光代,高木聖佳、スタジオMC:平畠啓史、スタジオゲスト:水沼貴史、スタジオアシスタント:伊藤友里)
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残り時間は16分。ロスタイムを追加しても20分あまり。この状況で、鹿島は1-3と2点のビハインドを返さなければ勝点を得られない。ただ、早い段階で1点を取れば一気に流れを掴むことができることは、誰でもわかる。しかし、それを実行に移すことは至難の業であることもまた、誰の目にも明らかだった。詰めかけた3,895人の両クラブサポーター が見守るなか、鹿島はチーム全員で実現して見せたのである。

試合後、曽ヶ端準は「監督がこの20分の試合への持って行き方を考えてくれた」と、オズワルド オリヴェイラ監督を讃えている。試合前、鹿島の選手たちのアップのやり方は通常時とは全く違うものだった。川崎Fの選手たちがロッカーに引き上げたあとも、センタリングからのシュート練習を続け、最後はダッシュ。試合開始ギリギリになっても選手がピッチに残り続けた。ユニホームへ着替える場所もロッカーではなく、ピッチのすぐ下にあるアップゾーン。わずか16分の試合に備え、開始からフルパワーで入る準備を行った。

そしていよいよ、試合が再開。スタメン発表や整列もないまま時計が再び動き出した。注目された最初のプレーはセンターサークルの鹿島陣側からの間接FK。小笠原満男が蹴るフェイントを見せたあと、伊野波雅彦が蹴り込んだボールは、美しい放物線を描き川崎F最終ライン目がけて飛んでいった。前線に待ちかまえていたのは田代有三とダニーロ。いずれも180センチを超え、ヘディングに自信を持つ2人が潰れ、さらにボールが前に伸びる、そこにいたのは岩政大樹。左足に当たったボールは川崎Fゴールへと吸い込まれ、再開してからわずか8秒で鹿島が1点を返した。

「最初のプレーが大事だったんですが、そこで入れられる最悪な状態でした」
ヘディングの強さを期待された谷口博之は、試合後にそうふり返る。川崎Fとすれば想定したなかでの最悪のシナリオとなってしまった。この得点で差はわずかに1点。流れは一気に鹿島へ傾いた。その後も、ダニーロのヘディングシュートがバーを直撃するなど、何度となくチャンスを迎え、同点・逆転も現実味を帯びてくる。川崎Fとすれば、いちばんやられたくない形での失点だっただけに浮き足立ってしまった。ボールを奪っても前線のジュニーニョや鄭大世にパスをつなげることができない。相手のロングボールを跳ね返すのに精一杯だった。

しかし、怒濤の攻撃を見せた鹿島だったが、連敗中に悩まされた決定力不足までは解消できなかった。田代有三や増田誓志らが決定機を迎えるも、ことごとくシュートがヒットしない。ゴールの枠をとらえたシュートは少なく、結局、奪った得点は1点止まり。この試合のためにバスツアーで大挙した1000人を超えるサポーターの声援が、最後まで川崎Fを後押し。試合終了後には、帯同した18人全員で円陣を組みサポーターとともに凱歌をあげた。3-2の勝利で勝点を49まで伸ばした川崎Fは首位・清水との勝点差を1に詰め、潰えてしまったアジアタイトルから国内タイトルへ、照準を変えることに成功。「(試合を終えて)すっきりしました。みんな引っかかっているものがありましたから」(中村憲剛)と、試合中断となった9月12日以降、調子を落としていただけに、この勝利を喜んだ。これで、上位4チームが勝点1差にひしめく大混戦となった。

鹿島としては5連敗となり、90分で決着した敗戦ではチームワースト記録を更新した。しかし、「なにかを掴めたというのはある」(新井場徹)という実感を多くの選手が持ったと思われる。特に、オリヴェイラ監督を中心に、チームが再びひとつにまとまる感覚が久しぶりに感じられた。連敗中にはなかった一体感が、この試合では見事に復活。川崎F相手にわずか16分での逆転劇を選手に信じさせることが出来る監督は、そうはいない。
試合後の記者会見で、川崎Fの関塚隆監督が「前回と変わっていたのは、オズワルド監督の服装ではないかな、と思います」と見抜いていたが、オリヴェイラ監督は普段とは違うジャージ姿で指揮をとった。自らアップを指揮して選手の心拍数をコントロールしただけでなく、そこにはチーム全体でともに戦う姿勢が示されていたのである。

1-4と大敗した名古屋戦のあと、鹿島の鈴木満強化部長は監督や選手と話す機会を持ったという。そこで感じたのは「意地というかプライド」だった。連敗で思い起こされるのは99年。ゼ・マリア監督を解任し、当時テクニカルディレクターだったジーコに監督就任を要請し、なんとかJ1に残留したという苦い経験だ。当時は選手も覇気がなく、敗戦も他人事のようだったが、そのときとは全く違うと鈴木強化部長も感じているようだ。

「おれたちはバラバラになったつもりは一度もない」
名古屋戦のことを聞かれると、新井場は強く否定した。
「苦しいときも勝ったときも一緒だし、みんなで勝ってみんなで負けている。誰かが下向きになったら助け合っていくのが俺ら」
これこそ、鹿島アントラーズだ。

以上

2009.10.08 Reported by 田中滋
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