10月7日（水）J1 第25節 鹿島 vs 川崎Ｆ（19:00KICK OFF/カシマ）
スカパー！生中継 Ch180 17:00〜（解説：柱谷幸一、実況：八塚浩、リポーター：高城光代，高木聖佳、スタジオMC：平畠啓史、スタジオゲスト：水沼貴史、スタジオアシスタント：伊藤友里）
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☆第25節 試合再開に伴う実施要項

どんよりとした分厚い雲から雨がシトシト降り続ける。肌寒さを感じるなか、ミーティングを終えグランドに姿を現した選手たちは、濡れた芝で滑らないよう取り替え式のスパイクを履いていた。表情は、いつもと変わらずリラックスしている。しかし、いったんボールを蹴り始めるとすぐに熱を帯び始めた。体が十分に温まったのか、野沢拓也は着ていたウィンドブレーカーを脱ぎ捨てた。そして、練習開始から16分が経過したところで前日練習は非公開となった。

10月7日、再開試合となるJ1第25節鹿島対川崎Ｆは、今回もまた雨に見舞われることになるだろう。心配された台風の上陸は翌8日と予想され、再び中止という事態はまぬがれそうだが、スリッピーなグランドが選手たちを待ちかまえる。相手ゴール前に混沌を生み出したい鹿島にとって、恵みの雨とも言えるだろう。

試合が再開されるのは後半29分から。スコアは1-3と2点のビハインドの状況で、ピッチ中央の鹿島陣側の間接FKから試合が始まる。また、交代枠は鹿島だけが1つ残している。ベンチに座るのは大迫勇也、中田浩二、パク・チュホ、大岩剛、そしてキーパーの小澤英明。はたしてオズワルド・オリヴェイラ監督はどういう戦術を取ってくるのか注目されるが、前日の記者会見では「厳しい試合になると思う」と表情は硬かった。
「大半の得点は試合の残り20分で生まれる。ロスタイムを入れて残り20分からの再開と言われるが、実際は試合開始から20分の戦いになる。厳しい条件であることに変わりはない。また、試合に対してどういうアプローチをしたのかを説明してしまえば、非公開練習にした意味がなにもなくなってしまいます」

しかし、選手たちがリラックスしていたことを問うと、それこそがプロフェッショナルな姿勢であることを説いた。
「焦る必要はないし、ナーバスになる必要もない。与えられた条件のなかで試合をするのは当たり前のことです。そのなかでやるべきことを選手たちがしっかりと整理してくれているのだと思う」
さらに、リスタートの間接FKのことを問うても静かな表情は崩れない。「自陣からのスタートですし、皆さんがそんなに驚くようなことはできません」と答えた。

とはいえ、前節の試合終盤、ピッチに立っていたのはこの再開試合とまったく同じ選手たちだった。FWにはマルキーニョスと田代有三、2列目にはダニーロと増田誓志が並んだ。この布陣で前節、新潟をゴール前に釘付けしたことは自信になっている。特に、これまでFWの田代を途中起用してもその活かし方がハッキリしなかったが、新潟戦では選手の意志が統一。オリヴェイラ監督も「選手が意思の統一をはかって一生懸命やろうとした」と讃えている。今シーズン、いまだゴールのない田代だが、鹿島逆転の鍵を握っていることは間違いない。

川崎Ｆという強豪を相手に20分ほどで2点を奪うことは至難の業だ。オリヴェイラ監督は「やるべきことはやった」と言う。
「あとはそれを実行に移せるかどうかだと思う。わたしに不可能なのは試合結果の予測。やってみないとわからない」
1つのゴールがいつも以上に大きなうねりを生む。密度の濃い16分間が、始まる。

以上

2009.10.06 Reported by 田中滋